1.シートン
2.アーサ 
3.クレタ 
4.マリモ 
5.ミルチア

〜84期生について〜


=シートン=


盗賊講座入門編の講師。主人公トレド達のお師さんである。


『盗人講座』は当初、主人公と先生の師弟愛をかっこよくシナリオにしたいと思っていました。
主人公が「孤児」から「王子」に変わった為、シートンの設定も少々変更しましたが、
無愛想な性格とおいしいところを持っていくのは最初の役割通り。
ミスト盗賊組合のメンバーに男性が少ないのは
シートンの見せ場を増やすため・・という理由もあったりなかったり。

ゲーム中はかっこよく扱われることが多い大人の男。ミストでも現在実力No,1の盗賊である。
ただ腕は良くても性格に難あり。対人関係で不器用なところが多い。

会議室での密談や組合員の日記帳などから推測できる彼の過去は凄惨。
8年前の事件で友人を助けられなかったこと、街を離れていく仲間達・・・
トラウマとなってその後のシートンを縛り続けていたりします。
2度と同じ想いをしないために、彼は己の能力を高めることに没頭する。
大盗賊の末裔にふさわしい実力は努力から生まれた…けっこう暗いんですよね、設定は。
彼の講義はぶっきらぼうですが、生徒達には中途半端な技術は教えまいと考えています。

少々人間不信というか、他人の力をあてにしないシートンは、
酒場の給仕さんがいうように友人らしい友人はいません。
(街の入り口を見張る衛士は愚痴を聞いてくれる貴重で奇特な人物)
マリモ達が帝国から逃げ込んでくるまで、他人のことがあまり目に入っていなかったシートン。
組合長や葉月達のように彼を見守ってくれている人物に全く気がついていませんでした。
この「にぶちん」ぶりが一番の弱点だったりします。
(葉月の恋文を無視してしまったため、後日エディから張り手を食らうという災難にも遭う)

帝国砦突入後は昔の仲間達とぎくしゃくしつつも和解。
数年後、祖父のノイマンに代わり組合長となる。
トレドが王子へと戻り、帝国相手にレジスタンス活動を始めると
全国の盗賊組織に呼びかけ共闘することになる。

平和な時代に入ってからは組合長としての業務に終われる日々となる。
ぶっきらぼうな動向のため、後見役の事務局長達を悩ませつつドタバタした生活を送る。
遠い異国の地から時折届く、講座卒業生達やアーサからの手紙を楽しみにしつつ・・

最も当初のイメージ通りになったキャラクター。


=アーサ=


王子の護衛役。トレドを見守る強く優しいお姉さん。


たった一人でトレドを守る彼女は剣の腕も超一流。
ドナパルトの親衛隊の中でも屈指の剣士である。
ゲーム内では剣士としての見せ場は少ないものの
強さと優しさ、過去の因縁、適度なボケっぷりを見せてくれる。
気持ちよく作れたキャラクターの一人。悪友マリモとの絡みは気に入っています。

ミストで生まれ育った彼女は特に迷いもなく、当然のように盗賊の道を志しました。
同じくミスト出身のシートンたちの幼馴染でもあります。
盗賊講座の上級編に所属していたこともあり、ブランクはあれど実は盗賊技術は高い。
マリモやメルウの日記からは『逆切れ会議室立てこもり事件』や『地獄のアーサ』など
かなり荒れていた受講生時代がちらほら見え隠れする。
『立てこもり事件』は当時むかついた担当講師を人質に会議室を占拠した事件。
ミストの街でも札付きの悪、伝説のレディースとして君臨していた過去はまた別の話。
組合長の孫シートンと昔から仲が良かったため、
講座内での彼女の暴挙も黙殺されたとかしなかったとか。

同級生ミルチアの死は荒んでいた彼女を変えるきっかけとなりました。
盗賊稼業に疑問を持った彼女は街を出て、一人流浪の旅に出ます。
必要に迫られ身につけた剣術は、元々の腕っ節の強さとあいまって
彼女を一流の剣士として大成させました。
旅の途中に立ち寄ったドナパルト王国で王(トレドの父)の治世に触れ、
王族を守る親衛隊員になることを決めました。彼女はすぐに頭角を現します。
彼女の高い忠誠心は盲目的な主従関係、騎士道精神ではなく、
支配階級の優れた政治が良い世界を作ることだと考えているからです。

砦突入後は王子に戻ったレットーを助け、王国奪回&帝国討伐に多大な功績を上げました。
終戦後。共和制国家の建国を決めたレットーの言葉に従い、
彼女は新生国家の将軍の座につきます。王子失踪後も長く平和な時代を守り続けました。
自分を連れていってくれなかった王子に少しの不満と寂しさを感じつつ。

=クレタ=


幼いトレドに盗賊の素晴らしさを語った男。永遠の腕白坊主。


回想シーンでしか登場しない重要人物。
トレドにシートン、アイゼル達レジスタンスにも多大な影響を与えている。
本当はもっと出さなきゃいけなかったヒーローキャラなんですが、
クライマックスのボリューム調整で外さざるを得ませんでした。一番の反省点です。
性格も大盗賊ビュッセとかぶるなど問題があって、最後までいじってましたし。

自称義賊の彼は「裕福な者から盗んで貧しい者に分け与える」といった活動を
メインに行っています。ネズミ小僧なんかを連想してもらえばOKでしょうか。
王子の私室に一人で侵入してしまうあたり、高度な盗賊技術を持っていることが伺えます。
圧倒的な行動力、ノリの軽さと熱く、くさい男気が彼の良いところ。
ただ物事を深く考えるより、まず行動してしまうタイプの人間だったので失敗も多々ありました。
盗賊団『蒼い隼』のメンバーには世話の焼ける、困ったリーダーとして愛されています。
彼の無茶は女房役のマリモ達にいつもカバーされていました。
街を出るきっかけはアーサと同じく、同級生の死。
盗賊として、彼自身にとって最高のスタイルを探して彼は街を出ます。
理想を追う、単純な性格の男は何度も壁にぶち当たることはありましたが、
その度に健やかに逞しくパワーアップしていきました。
彼の理想『かっこいい盗賊像』は義賊であり、少し子供っぽいところもあるようですが、
挫折したりそれを見失うことはありませんでした。
目標はシンプルに、行動は躊躇なく全開に。彼は動きつづけます。
その結果、彼を慕う人々が集いました。彼の足りない所は周囲の人間がフォローしています。
それが彼を「ヒーロー」としている、「ヒーロー」でいられる所以・・・
・・・という風にしたかった! (爆)

マリモの語る84期生の過去話で、彼らが講座卒業後に
自分たちだけで盗賊団を結成する予定だったことがわかります。
『蒼い狼』か『紅い隼』・・・
新生盗賊団の名前としてシートンとクレタが主張した案でした。
結局、84期生による盗賊団は生まれませんでしたが、
後にクレタは2つの案から一字ずつを取り、盗賊団『蒼い隼』を作ります。
ほんの小さなエピソードです。

帝国砦から救出された後は、今まで通り世界各地を飛び回りました。
勿論、トレドとの数年ぶりの再会を果たした後に。


=マリモ=


微妙な関西弁を使う84期生のムードメーカー。


当初、マリモは男キャラで顔グラフィックもなくクソ真面目なキャラでした。
話が作りづらいという理由でノリの軽い女性キャラにしてみたところ、話が進む進む!
女盗賊マリモの登場は、ただの堅物だったアーサやシートンのキャラを立たせてくれました。
ゴシップネタが大好きで女傑アーサを軽く転がす彼女。
実は作者を救ったかなりの功労者だったりします。

8年前の事件を語るとき、「標準語をしゃべってしまった!」と彼女は口にします。
というのも元々彼女は標準語を話していました。
彼女がいかがわしい方言を使うようになったのは事件が終わってから。
意気消沈する仲間達を盛り上げようと軽い言動をとるようになった・・・というのが裏設定。

彼女は人と行動する際に大事なことは「役割分担」だと考えます。
シートン、アーサ、クレタ・・・頑固な石頭軍団である84期生内にあって
彼女はムードメーカーの立場を取ります。
癒し系の同期ミルチアがいなくなってからはより研著に。
こまごまと喧嘩しがちなメンバーの中で彼女は中立の立場。
誰とでも気軽に接触が持てました。
世話好きという性分もあって、実は一番冷静に仲間を見ていた人物も彼女です。

クレタを追っかけてミストの街を出たということになっていますが、
恋愛感情というよりは何かと危なっかしいクレタを放っておけなかったという方が正しい認識。
永遠の腕白坊主クレタやピッケルを始め、仲間達の世話を焼き、
時にはからかい続ける生活に彼女は幸せを感じていたりします。
彼女にとってアーサなど不器用さの伴う仲間達は可愛くてしかたのない存在です。

帝国砦突入では盗賊団「青い隼」のメンバーを救い出すため奔走します。
その後は仲間達と世界中を股にかけつつ盗賊業を続けました。
新たに入団したマッコイという名の新人をいじくりながら。


=ミルチア=


8年前の盗賊講座卒業試験で命を落とした5人目の84期生


〜8年前の事件のおさらい〜
ある奴隷商から宝石「星の胎児」を盗み出すこと・・・それが84期生に与えられた試験。
現場に着いた彼らが見たのは、凶悪な盗賊団『ガゼル・ファミリー』が行う略奪の光景でした。
彼らの目的も同じ宝石でした。そして宝石は赤ん坊の腹の中に隠してあったのです。
宝石を奪う為、赤ん坊の腹にナイフをつきつけようとしている盗賊達の中に突っ込む84期生、
なんとか赤ん坊を救い出し、その場を死に物狂いで逃げ出した彼らでしたが
ミルチアは一人脱出することが出来ず、命を落としてしまいました・・・

ミルチアがどういう人物だったのかは、ゲーム中に深く突っ込むことはしていません。
8年前の事件、故人に対し主人公トレドが出来ること、知りうる情報・必要性はありません。
ただシートンやアーサ達に深く関わる人物なので、
ちらほらと人物像の破片は彼らのセリフや日記帳から出してみました。

84期生の中で最も足が速く、心優しかった男。それがミルチアという人物です。
クセ者ぞろいの中にあって穏やかな彼は母親的存在。喧嘩等の仲裁役でもありました。
盗賊技術はシートンやクレタ達に適わないものの足だけはめっぽう速かったようです。

決戦前の会議室、シートンとアーサの口から彼の名が出ます。
トレドとミルチアはどこか似ているというアーサ。
一番足の速かったミルチアの死んだワケを口に出しかけるシートン。
同期の中でも特にミルチアと仲の良かったシートンは彼の死後、気づくことになりました。
他の仲間たちを無事に逃がすため、ミルチアが自らオトリになってくれていたことを…。

テキストのみですが、自分では丁寧に作ったつもりのシーンでした。
情報量が少なすぎてうまく伝えそこなった感がありますが、これはこれでよいかなぁと。

マリモの回想で初めてミルチアの姿が出ますが、
画面が暗転して彼が消えるシーンもお気に入り。
彼の幽霊を出すアイデアもありましたが、止めといてよかったと思ってます。


〜84期生について〜

主人公トレド達のOBにもあたる、彼らの設定キーワードは「同級生ミルチアの死」です。
それぞれのキャラがこの事件でショックを受けて、月日を経て自分なりの答えを出していく・・・
説明は少ないですが、そんな過程を遊んでもらった方に少しでも感じてもらえれば嬉しいです。

盗人講座本編は新米盗賊トレドの視点でシナリオが進行します。
84期生の過去話イベントは見なくてもクリアできるわけなんですが、
大人には大人の物語があるということ、
ゲームの主人公が全ての問題を解決できるわけではないということ。
そんなところを出したかったんです。

トレドは彼らの過去を聞き、自問自答する。
シートン達大人は大人でトレドの行動によって奮起させられる部分がある・・・・
この互いに影響し会う距離感がいい感じに出せればなぁと思っていました。

84期生全般についてですが、大人のキャラの葛藤は作るの難しいなぁとつくづく思いました。
悩みの内容もその解決法も、大人らしく納得出来るものにしないといけないので、
やはり少年少女キャラよりは人物像を考える時間が長かったかなと今は思います。
また大人なセリフをしゃべらせすぎると説教臭くなるのも問題。
シートンが講師という元々説教臭い職業だったことには救われたかな・・と。

当初の予定よりキャラが生々しくなっちゃいましたが、結果オーライかなと思っています。

(このページは2007.12.16から再掲載)


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