『エリザベート2005』 2005年9月帝国劇場


ミュージカル『エリザベート』が小池修一郎さんの手によって、日本で1996年に初演されて以来、宝塚で東宝でと上演され、大きな成果を上げています。同時に一路真輝さんも宝塚ではトート役を、卒業後は東宝におけるエリザベートとして主演されているのは誰もが知るところです。

豪華キャストにも恵まれ、2000年、2001年と東京帝劇を皮切りに、名古屋中日、九州博多と上演。
再々演となった2004年はフランツ・ヨーゼフ役に石川禅さんがダブルキャストとして加わりました。また、井上芳雄君に代わって、浦井健治君とパク・トンハさんのダブルキャストで新ルドルフが誕生しました。
トートダンサーも東山君らが抜け、ほぼ新メンバーで構成され、振付が大幅に変わりました。

そして、2005年9月、再び帝国劇場で1ヶ月間上演されました。ルドルフ役は浦井君、パクさんに加え、初代井上君が復帰しました。皇太后ゾフィは初風さんに代わって、寿ひづるさんがチャレンジしました。
では、今年の感想をキャスト中心に記したいと思います。

皇后エリザベート役の一路さんは、より極め細かな表現力と前向きな歌唱力、とても安定性のある演技力でエリザベートを堂々と演じていました。衣装においては皇后の正装は勿論の事、どの衣装もお似合いなのですが、私的には2部の初め、ナンバー「私が踊る時」に着用されていた白に紺(青)入り衣装が特にお似合いで、とても素敵だと思いました。

内野トートについては、エンターティナー性がより充実しており、行き届いた歌いっぷりが素晴らしいです。さすが数々の作品をこなし、今や役者としても油が乗りまくっている内野さん、またまた飛躍ですね!外見的には死のイメージを濃くし、謎めいた所がオドロオドロしていて、結構リアルです。(笑)

ルキーニは初代から一匹狼の高嶋さん、良い味を出していて、この人に勝るルキーニはいないと定評がある位です。いや残念、私が拝見した時にはお怪我をなさった後で、詳しくは判りませんが、以前のような動きはなく、歌のみって感じで勤められました。千秋楽に村井さんが少し話されましたが、大怪我をされたのですね。一路シシィーも重い荷物を押すなどして、高嶋ルキーニに協力していました。でも、千秋楽まで勤められて良かったですねぇ〜お大事に!(拍手)

石川フランツ、禅さんの歌は語尾が丁寧で、正統派テノールです。皇帝陛下の気持ちに寄り添っている感じが濃く出ていて、上品で静かに歌っています。ピアニッシモが言うまでもなく素晴らしく優しさのあるフランツです。外見的には衣装がパンパンで窮屈そうですね。(失礼!)念入りなメイクは顔が引き締まって見えます。目の化粧が不自然ではありますが…。(但し、私は禅さん応援派)
先輩鈴木フランツは、役柄がすっかり身に付いており、外見的と言い、衣服にも歌いっぷリにもゆとりがあります。暖かさや包容力が感じられますね。

皇太子ルドルフ、今回は井上君ねらいです。『モーツアルト』を大熱演後のルドルフ役ですから、それはもうダイナミックな成長ぶりが伺えました。ナンバー『闇が広がる』は観客をあっと驚かせるほどの歌いっぷりでしたから、出番が短くても充分に堪能できます。
新な振付もクリア!ダンス力もアップしました。今や動き始めた王子、今後が注目です!塩野、笘篠ちゃんも年少皇太子にピッタリでとても可愛いかったですね。千秋楽は笘篠和馬ちゃんが立派に勤めました。

エルマー率いる革命家、縄田さん、野沢さんが美形で格好良いです…。
皇大后ゾフィさん、初風さんに代わって寿さんが演じられました。品位が漂いお綺麗な方で、立派にその役目を果たされていました。(拍手)

トートダンサーの表現も面白いです。若手が勢揃いと言う感じですが、初演の柱銅像はやっぱり良かったですよねぇ!今回は無言で何処かに這いつくばっており、閣下がお出ましになると、オドロオドロと動き出すって感じです。これはこれで良いですけど、観る側の席が後ろの方だと暗くて見落とす事が多かったりします。また、動きが速いので、よーく見れないですね。それが狙いですかねぇ〜。エリザベートを操っている所など上手いですよねぇ。腰掛けたり、身を任せたりとヤヤコシイ振付ですから1つ違うと怪我に繋がりますから、責任重大だと思います。

アンサンブルの方がたは東宝ミュージカルではお馴染みさんが多く、迫力満点です。ミルクの場面では春風さんに代わる徳垣さんが目立っていました。

背景構成は、初演の頃の豪華な装置は取り払われ、画家による映像を使っています。再々演ともなるとセットも簡略化されるのでしょうか?出演者の実力が物を言い、本物を見せてくれるからかも知れません。
私の感想としては、取りあえずはこんな所です。今回は山口トートが観れなかったのが、少々残念です。おわり

 2005年10月5日yuko記


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