2000回達成スペシャル記念公演『レ・ミゼラブル』観劇記

帝国劇場2005年5月24日〜5月29日

たった1週間しか無い、2000回スペシャル記念公演を、運良く観る事ができたので、軽く感想を書きたいと思います。

まず始めに、1番楽しみにしていた石川禅さんのマリウスが何と言っても素晴らしかったです。外見上は少々ふくよかにおなりになったけど(大変失礼!)、テノールの歌声はスケールの大きさに加え、響き、輝き、ニュアンスなど申し分無いです。『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフを経たせいもあるのかしら?更なる磨きが掛かったように思いました。
それにメークも上手くなったし(笑)、おっとり感はあるものの、かなり昔のマリウスの表情に戻っていたし、「あぁ〜友よ〜♪」なんて最高!そうすると、今年9月のエリザベートの旦那さん、フランツ・ヨーゼフを観るのがますます楽しみになってきたぞぉ!

次にアンジョルラス役の岡幸二郎さん、かつては響き渡る歌声に加え、唐突で若さ溢れる青さや冷静さで人を引き付け、岡さんならではの長身で格好良い学生達のリーダーだった印象が強く残っています。それが若干物足りなかったように思えるのは私だけかな?この人も外見的に少々ふっくらしたかもしれない…。
それに今年は(ジャンバルジャンを捕らえる為に自分を試す為にも彼を追いまわす刑事)ジャベールと言う内面的な大役にずっと取り組んでいた為か、アンジョルラスが大分大人になった感じがします。ジャベール上演中で練習期間もさほど無かったであろうにも、かつての役を難なくこなしていた事には頭が下がります。少々のイメージダウンに文句を言ってはいけない。(笑)充分にアンジョルラスなのだから。

島田歌穂さん、期待のエポニーヌ役です。この人が歌うと、客席が水を打ったような静けさになる。観客の全てが息を潜めて聞き入っているのでは?と思う位に観客の心が1つになった気がしました。あの”オン・マイ・オウン”を歌わせたら天下一品!表情が豊かになって、きめ細かな歌いっぷりが更に成長したようにすら思いました。少しお痩せになったかしら?と感じたけど、機敏で軽やかな動きは変わらない。世界が注目するエポニーヌだけに、本当に申し分なし!

ジャン・バルジャンは今井清隆さん、私はこの人のジャン・バルジャンを始めて観ました。『キス・ミー・ケイト』でも思ったけど、この人の歌声はピアニッシモがとても綺麗な事。立派な体格で貫禄があるし、歌も難なくこなしていますね。やはり、「神よ〜♪」が良い!戦場から救い出す際、少々ふくよかな禅さんマリウスを背負っての演技は、さぞ重かっただろうなぁとつい同情したりして…。(笑)

フォンティーヌは岩崎宏美さん、歌声は当時のか弱さを思わせるほど、繊細で可憐な歌いぷりでしたね。
後はジャベールに鹿賀丈史さん、雰囲気がピッタリでしたよ。コゼットは残念な事に純名りさではなく、知念里奈さん、特に難なくこなしてはいたけど、若さの面で見た目が1人浮いていたかも。

テナルデェの斉藤晴彦さんはマダム役の森久美子さんと、アドリブ入りの余裕ふざけぶりで、大いに笑わせてくれました。結婚式の場面では、役代わりした岡幸二郎さんのホテルボーイがすました顔つきで、2人のアドリブに無言で加わっていたのも、超笑えました。

こうした、またと無い?スペシャルな『レ・ミゼラブル』を思いがけず観れて聞けて、当時の懐かしさが蘇り本当に良かったです。

2005.6/16yuko記

yukohomeに戻る    その他観劇記へ    過去版レ・ミゼラブルへ