日記・エッセイ2003
1月10日(金)晴れ 【博多1日目】
待ちに待った博多行きの日がやって来ました。前夜は心して早く床に入ったのに、ほとんど眠れないまま朝を迎えてしまった。お天気は暖かな冬晴れ、準備は万端、初めて1人で乗る飛行機、未知の世界、博多座へGO!
我が家から羽田空港までは2時間近くかかる。モノレールに乗る所から、ちょっと緊張が走る。羽田空港には予定通り着く。事前に調べた通りに、チェックインを済ませ、荷物検査を通り過ぎ、搭乗口を確認すると、最初の不安が解決。出発までは1時間近くあったので、昼食をしたり、ロビーでくつろいだりしていると、気分はもう、福岡。もうすぐ直ちゃんの居る博多へ行ける喜びで、心が浮き立った。
いよいよ搭乗が始まった。また、僅かな緊張が走る。自分の座席を見つけるまでは、顔が強張っているのが判る。荷物を棚に入れて、窓際に着席すると、ほっと一安心。機内は結構空いていた。自分の隣に誰も来なかった事もラッキー。いよいよ離陸!真上から見る富士山は初めて、やっぱり綺麗で凄い!その真上を飛んでいる自分にも不思議なワクワク感が走った。やがて雲海に入る。なかなか気分がよい。まさに天空を飛んで直ちゃんに会いに行くのだから、宝塚へ行くのとはちょっと違って、冒険の旅みたいだ。(笑)音楽を聴いたりして、ルンルン気分に浸っていると、早くも福岡上空だ。来たぞ、来たぞぉー!はい、無事着陸!
地下鉄に乗って、4つ目位が中州川端。博多の一つ先の駅だ。まずはホテルへ、荷物を置くと、博多座の方に向って歩いてみた。広々とした静かな街だ。空気も綺麗し、車や人通りも少ない。静かに川が流れ、橋を渡ると、そこはリバレイン、博多座はこの文化施設の一角にあるらしい。大通りに面していて、格式高く立派な劇場だ。今は公演の真っ最中とあって、人はほとんどいない。裏に廻って、楽屋口を確かめると、近くの喫茶店で終演を待った。
午後4時過ぎ、再び楽屋口に行ってみると、バラバラと人がやって来た。顔見知りの関西人が1人やって来た。直ちゃんファンである。また、2人と関東人もやって来た。
この日観劇した2人が、心配そうに直ちゃんの舞台の様子を説明してくれた。そう、2、3日前に直ちゃんは舞台上で腰を強く痛めてしまったらしい。それが思いの外、ダンスに影響し、ここ2、3日は一部分代役が付く状態になっていたのだ。ロイスのプロローグと、トム・ディック・ハリーの場面の振り付けが変わっていたのだ。私達はとても心配しながら、直ちゃんが出て来るのを待った。
出演者達が次々と出て来た。一路さんも、とても明るい笑顔で、元気良く手を振りながら、タクシーに乗って行った。カジュアルな出で立ちで、クルクルと巻き込んだお茶目な髪型だった。
鈴木さんも毛糸のお帽子に赤いマフラー、にこやかに元気良くお帰り。太川さんが坊やを抱っこして、綺麗な奥様を引き連れて、ニコニコ顔で、足早に通り過ぎていった。微笑ましいご家族で幸せそう。舞台のギャングよりも2枚目パパさんでしたよぉ〜。
さぁ、1時間半が過ぎた。ほとんどの出演者達がお帰りになったようだ。辺りは閑散として、私達4人だけになり、寒さも身に凍みてきた。直ちゃんはどうしたのだろうか?出口はここだけかと気になったりした。2時間が過ぎた…。誰も諦めずに寒さと戦いながら(大げさかな)待った。
午後6時過ぎ、突然ドアが開いた。直ちゃんだぁ〜!準備体制でなかった私達は、ちょっとあわてて、体制を整えた。かなり疲れた感じの直ちゃん、スタッフが一人ついている。直ちゃんは私達が待っていたのが思いがけなかったのか、「有難う」と言いながらとても優しく丁寧にお手紙を受け取って下さった。やっぱり直ちゃんだなぁ〜。寒い中を待った甲斐があると言うもの。
しかし、歩く姿は腰が痛いらしく、ゆっくりゆっくりと辛そうで、ほんとに可哀想……。4人並んで、その場に呆然と立ち尽くしたままで、後姿を見送っていると、何度も何度も振り返って、手を振って下さった。寒さを忘れたとても暖かな時間が通り過ぎていった。
1月11日(土)曇り 【博多2日目】
昨夜はくたくたに疲れていて、朝、目覚ましが鳴るまでぐっすり眠れた。朝食を済ませると、夕べの楽屋口に行ってみた。開演2時間前なのに一路さんだけは、すでに入っていらっしゃるようだ。出るのも早くて、入るのも早いんですねぇ〜。
今日の夜は親睦会があるので、直ちゃんファンが全国から集まってくるはず。
来ました来ましたよ。東京からも四国からも大阪からも到着。ずらりと並んで直ちゃんをお出迎え。コンビニの向こうから姿を現わした直ちゃんは、ずらりと並んでいる私達を遠くから見て、前髪をなでおろす。ファンに接する体制を整えて下さったのかな?(それとも考えすぎ?)
夕べよりは元気そうだ。腰の痛みも「何とか〜まし」との事。ちょっと、心配だけど、無理にならないように無事を祈るようだ。
賑やかになった私達はワイワイと開演時間まで、喫茶店で待った。
まもなく会場時間になった。劇場内客席は天井が高く、広々とした空間を感じる。細々とした土産品が並んでいるのも地方の劇場らしく、つい、目が止まる。
ちょっと、懐かしい音楽が流れ、「キス・ミー・ケイト」が始まった。直ちゃんの登場。あの、ピンクとブルーのチェックワンピースから〜、とても可愛い!やっぱり、私はこの洋服姿が一番好きだ。
でも、ロイスの赤い稽古着で赤坂君と踊る所は、直ちゃんは出て来ない。赤坂君が主に1人で踊り、2人の女優さんが交代で、組んだ。直ちゃんは台詞の所から赤い稽古姿で登場。必ず、他の男優さんが、交代でエスコートしている。自然だから皆に可愛がられてるんだなぁって感じ。突然笑うロイスに、仲間の女の子が頭をポコンと叩くおふざけもない。ちょっと静かなロイスになってる。
2部の馬車の所は、昨日までは次のステージのビアンカのピンクドレスだったらしいのが、今日はもう、赤いドレスに戻っていた。「トム・ディック・ハリー」では、噴水の所で座ったまま歌った。男の子達が3人で踊り、求婚する形になっていた。振りが違うのに誰も自然で、間違いもなかったのが、凄いなと思う。姉が箒で妹を追いまわす所も、ビアンカは立ったままで、すぐに上手に下がる。「オッラー!」と男声が聞けなかったのが、ちょっと残念かな…。(笑)
他の所は、今までと変わらず、魅力的なロイス&ビアンカを演じてくれた。
鈴木フレディは、今井さんとは、また違ったキャラクターで、とても自然に、全体に溶け込んでいる。歌も流暢に歌いまくっているし、リリーとのやり取りも問題なく、喧嘩を楽しんでいるよう。エリザベート皇后とフランツ・ヨーゼフ皇帝、元夫婦ですからねぇ〜。息もピッタリでしょうよ。(笑)
ギャング2人組は、相変わらず楽しくマイペースでやっていらっしゃる。太川さんが綱引きの時、懸命にゴマちゃんをやってくれている。「パクろうシェクスピア」で客席から現れる所はニューバージョンだねぇ。
カーテンコールは、皆遠慮だ、今一つパッとやってくれない〜。
12時公演と5時公演を楽しんだ後、直ちゃんファンは集まった50人程で、キャナルシティのとある居酒屋さん?で親睦会をした。直ちゃんの回復を願って、乾杯!
と、そこへ、なんと、痛々しい直ちゃんが見えたじゃないですか!みんな大喜び。カジュワルっぽい、可愛らしい感じのお洋服がとても似合って、凄く綺麗だぁ〜。
やっぱり直ちゃんだねぇ、皆が集まってるのを知って、具合が悪くても来てくれて、ほんとに嬉しかった。15分位だったかなぁ〜、腰を痛めた事について、退団発表について、今後のご予定について等、一気に話された後、いつものようにプレゼント抽選をして下さり、お帰りになった。ほのぼのとした気分が残る中、皆でワイワイと午後11時まで、おしゃべりをして、それぞれのホテルへ帰った。
1月12日(日)晴れ 【博多3日目】
もう、帰る日が来てしまった。
昨夜の親睦会でご一緒だった方が、2人も自分と同じホテルだったので、朝食を共に出来た事も嬉しい。今朝の楽屋口は、親睦会の翌日なので、直ちゃんファンがいっぱいいらっしゃる。ワイワイ賑やかにお出迎え。直ちゃんは、より一日と元気になられているようで、歩く姿も大分普通になり、少しほっとした。
12時公演では、ほんと、大分回復のよう。「トム・ディック・ハリー」の所が、立てるようになって、結構以前の振り付けどうりになって来た。激しく回る所とリフトや股くぐりはないけど、後はリズミカルに踊ってくれた。何となく心配で、ハラハラして観ていたけどね。
良くなる兆しを見届けて、私は博多座を後にした。
福岡空港で友達から頼まれていた辛し明太子を買って(笑)、帰りは、もう緊張する事無く、無事に羽田空港に戻って来た。