バウ・パフォーマンス 『Switch』 75thコラボレーション

2002.10.5(土)〜12(土)宝塚バウホール

(宝塚歌劇88周年記念・TAKARAZUKA SKY STAGE 開局記念)

出演者 伊織直加〔専科〕 湖月わたる〔専科〕 嘉月絵理〔月組〕 美穂圭子〔雪組〕

スタッフ 〔構成・演出〕 藤井大介 〔音楽〕宮原透 木川田 新

      〔振付〕 名倉加代子 若央りさ  〔ファイティング・コーディネーター〕 亀山ゆうみ

      〔友情振付〕 AYAKO  〔演奏〕 宝塚オーケストラ   〔製作・著作 〕宝塚歌劇団 

      〔製作・主催 〕宝塚クリエイティブアーツ     ー以下省略ー

『Switch』は、直ちゃんを初めとする75期生の4人が、力を合わせて創り上げた、骨のあるお芝居と観ごたえのあるショーでしたね。短期間だったから、まるで夢のようだったし、其々実力のあるメンバーだったから、大成功を修めたのですね。
友情が暖かく4人を包み、ディナーショーの豪華版みたいで、観る人を心地良いハッピーな世界に誘ってくれました。TCA主催だったので、舞台奥に生オケが乗っかって、迫力満点でもありました。

【ACT T】

お芝居は、映画『フェイス・オフ』のストーリーを元に、息子を殺された刑事と国際的な殺人鬼の不思議な物語です。短時間なのに、上手く纏めてあり、無駄のない舞台演出に感心させられました。

何と言っても、直ちゃんとわたるちゃんが、その名の通り「スイッチ」される所が、物語のテーマでもあります。つまり、外観が入れ替わり、物語を複雑にして行きます。顔を切り裂く手術の場面は、白いお面を付けた直ちゃんとわたるちゃんのダンスになります。卒業後、演出家となられた同期生の彩子さんの友情振付だそうです。なかなか変わっていて良かったです。

大詰めの戦いの場面は、階段や高所を使って、凄まじい生死の戦いです。足で踏んづけたり、階段から転がり落ちたり、上着で首を絞める所も凄い!まるで、アクション映画の決闘場面のようです。男役をした女性同士なのに、単純ではない所が観る者にとって、とても面白いんですが、一つ違うと危険です。でも、専門のファイティング・コーディネーターの指導の下だったんですね。(以前から、月組公演のジャズマニアの続きをやりたいと直ちゃんが言っていたので、実現出来て良かったですね。)

絵理ちゃんは1人で5役を立派に演じて、びっくりです。中でも弟役が可愛い〜!囚人になって、牢獄に閉じ込められている所に、ナルディの顔をした刑事が囚われて来た時の、「兄貴〜!」と喜ぶ所がとても良くて、可愛いです。ナルディの愛人でお色気たっぷりのクラブの歌手、パメラもやってくれているんですから、凄いですよね!

刑事さんの妻役の圭子ちゃんも上手でしたね。時には恐ろしさに震え、おびえたり、優しさに溢れたりと、細やかな演技が良かったです。(さすが雪組のベテラン娘役ですね。)

直ちゃんは、殺人鬼と刑事の2役を、熱く、懸命に、体当たり演技を見せてくれましたね。衣装も豪華な黒いコートに赤いコート、白いコートと場面によって着替え、大胆に跳ね上げた髪、その名はナルディ「フラック・テキーラ」!銃を手に、凄い荒くれた声で、嘲笑います。
スイッチした後は、ナルディの顔のままで、刑事さん(ウォルター)役です。グリーングレイっぽいレザースーツがよく似合います。首から上は殺人鬼ナルディのままだけれど、刑事だから正統派の男役ですね。苦悩して、自分の顔をした本物のブラック・テキーラに復讐心を燃やします。妻ケティとのやり取りやラブシーンが
とっても真剣です。こんな場面は久しぶりで嬉しいですね。エンラブを思い出します。(私個人的には、殺人鬼より、こちらの刑事直ちゃんの方が好みです。ハイ!)

一方、わたるちゃんも、さすがベテラン演技者です。真っ白で正統派の刑事をやっていたのが、180度替わって、刑事ウォルターの顔をした本当の殺人鬼ですからねぇ〜。スイッチした瞬間、わたるちゃんのイメージが180度変わったのには驚きです。(月組公演「大海賊」悪役エドガーよりも新鮮な感じでいいですね。私個人的には、わたるちゃんに関しては刑事役よりもこちらの方が、面白くて好きです。)

そして、終盤、直ちゃんとわたるちゃんの凄まじい決闘になります。前記しましたが、専門家の指導の下に、チャチじゃなくて、大人の素晴らしい演技力を感じます。2人共本当に上手い!!1つ違うと、とても危険なのに、これが結構長いんですよね。だからチャチじゃない!(笑)

結局は殺人鬼(わたるちゃん)が十字架の前で血を流して、果てるんですけれど、十字架に血が流れてリアルです。目を見開いて、死に様が素晴らしいです。(笑)(エドガーの時も目を開けて、凄い死に方をしてましたね。あの時も上手いなと思ったけどね。)

クラブの歌手パメラは愛する人とも知らないで、ナルディに打たれて死んでしまいます。哀れな最後ですが、これがまた、物語に一味添えていますね。

絵理ちゃんの目の廻るような早替りは、大変だったでしょうね、ご苦労様!話の最後は絵理ちゃんの牧師さんで終わるのですが、いきなり帽子を取って、「兄貴〜!」って弟になる時はご愛嬌ですね。

冷たい雨の降る十字架の墓の前に立って、思い出を語る牧師(絵理)の歌から始まって、牧師の語りで終わっています。結局、ナルディの顔をした刑事が残り、名医によって元の顔に戻り、どこか遠くで妻と幸せに暮らしたそうです。
たった4人で、これだけの重い物語が出来て、音楽は効果を上げ、演出や振付も素晴らしかったと思います。

【ACT U】 ショー

ディガ・ディガ・ドゥ変奏曲 4人揃って黒燕尾で登場です。各々の紹介とバウ・パフォーマンスに対する個々の感想や日替わりMCです。
Beautiful Maria Of My Soul  ご挨拶の後は、襟元と腕まくりで、格好良く決めた直ちゃんのソロです。客席に降りて来ての大サービスです。
Little Boy Blue  絵理ちゃんの歌で、わたるちゃんと圭子ちゃんが踊ります。椅子を使って、怪しげで、思わせぶりな男女のやり取りが、なかなかいいです。大人の雰囲気ですね。わたるちゃんの完成されたシャープな男役ダンスはとても素敵です。
Making Love Out Of Nothing At All  わたるちゃんのソロになります。紺色の素敵な上着(とてもお洒落なブレザー)を羽織りました。紺のスーツ姿が似合う人ですねぇ。
Too Darn Hot  赤いブレザー姿の直ちゃんが弾けたように登場です。圭子ちゃんと爽やかで、お茶目なツーダン・ホットです。つまり、外部とは違って清潔感に富んだ宝塚バージョンなんですね。(笑)
Let The Good Time  直ちゃん、わたるちゃん、絵理ちゃん、男役3人のダンスと歌です。
HAVING IT ALL  圭子ちゃんが熱く歌い、直ちゃんとわたるちゃんの男役同士のダンスです。気だるい音楽なのにリズムがしっかりしています。2人の動きがピッタリと合い、ハートが怪しく揺れる雰囲気で、結構長いし、なかなかの見所でした。
煙が目にしみる  ちょっと雰囲気が変わって、絵理ちゃんのソロです。なめらかに、たっぷりと思いを込めて歌ってくれました。
Everybodys Free  圭子ちゃんのコスペル・ソングです。裏声が綺麗で耳に残ります。何処の美しいご婦人かと思ったら、わたるちゃんの娘役ダンスです。柔らかで、形ポーズが美しく決まり、凄く素敵です。お顔も、優しげで可愛らしく、娘役の表情です。ほんと役者ですね。この人も七変化だわ。
Je suis Malada  直ちゃんのソロです。綺麗な藤色の衣装に、確か、長い同色のリボンが左肩から流れていたような気がします。
C−46 フィナーレはこれ、チャゲ&飛鳥の曲ですか?とても心和む音楽ですね!色とりどりの宝塚的なエレガント衣装です。圭子ちゃんは紫、絵理ちゃんはブルーグリーンかな? わたるちゃんは青、そして直ちゃんは真っ白です。直ちゃんは白がとても似合うんですね!私個人的には、煌びやかでタップリとした、とても素敵な、この直ちゃんの純白衣装姿が一番好きでした。(昔、ユキちゃんのサヨナラショーの最初に、着ていたのとそっくりです。シメさんも着ていたとか…。トップさんがよく着る衣装に似ていますね。)

アンコール拍手の後は、My Wayです。直ちゃんを先頭に直線になって、順に歌います。途中でリズムが弾けて、ロック調に明るくなります。客席にも2手に分かれて降りて来ます。客席と一体になって手拍子、足拍子です。大盛り上がりのうちに幕を閉じました。

4人が4人共、お芝居が出来て、歌えて、踊れる事が素晴らしく、4人が気持を一つにして、楽しみながら舞台を作っていた事がまた素晴らしい。本当に暖かくて、良いものを見せて頂きました。75期生、バンザイ!大きな感動を有難う!

10月12日yuko記

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