伊織直加お茶会 【2002年10月6日(日) 宝塚ホテルにて】
『Switch』 バウ・パフォーマンス★75thコラボレーション★
アントニオより少し高めの若い男役の声で、ナルディ・トロバトーレの歌を歌う直ちゃんのご登場です。
ナルディは殺人鬼、ブラック・テキーラでもあるから、ちょっとぶっきらぼうな歌い方で、これがまた凄く良くて、とても魅力があります。ジーンズに赤いシャツ、ベージュっぽい上着だったかなぁ?ジーンズの幅広い裾に、ちょっと豪華な模様がついているのがとてもお洒落で、印象的でした。
髪は茶系で、無造作に前髪を下ろして、女っぽさが少し残った可愛い感じです。丁寧に客席を廻って下さった後、真ん中に立ち止まって、「正面を(横側と)間違えてしまった!」とおっしゃりながら着席された直ちゃんでした。
「本日は『スイッチ』のお茶会に、ようこそお越し下さいました。専科の伊織直加です。今日は夢の同期共演の裏話を沢山して帰りたいと思いますので、最後までよろしくお願い致します。では、いいですか、グラスを持って、乾杯!」ー拍手ー
質問コーナー
★本日は2回公演お疲れさまでした。今回の公演は同期4人で、今までにない試みと言う事で、初めて企画を耳にされた時など、どのように思われましたでしょうか?
「そうですね。やっぱり、かなり嬉しい。企画を耳にしたと言うか、企画を持ちかけた方ですけど〜。専科になった時に、わたるとずっと言っていたんですよ。それが現実化されるとは思わなかったんですよ。自分がディナーショーをやっても良かったんですけど、4人が揃うのはこの時期しかなかったので、今しかないと思って企画を持ち掛けたら、これが通ったので本当に良かったと思っています。
こう言う事って、なかなか出来ないなぁと思いました。私とわたるが専科に行ったから出来るし、絵理とわたるが、たまたま月組に出てたし、花月雪星だと、絶対にスケジュールが揃わないから。私は外部から帰ってきた所だったしぃ〜。本当は東京にも行きたいんですけど、スケジュールが合わなくて、やっぱり、4人揃うのは難しいなと思いましたね。
凄い強行手段で幕を開けたので、1公演終わったら、皆、ヘロヘロなんですけど…。4人しかいないので凄い体力いるし、1公演終わったら、かなり、も抜けの殻みたいなんですけどね。」
★お芝居は洋画の『フェイス・オフ』を題材にされたと言う事ですが、以前にも直ちゃんのお好きな映画と言う事で、会報記念誌に載せさせていただきましたが、アニーよりもお好きな作品ですか?
「はい、『フェイス・オフ』は専科に入った時から、わたると『やってみたいね』と言ってたんです。役者としては絶対やってみたかったので、1時間ちょっとしかないのですが、かなり凝縮して、絵理が5役でかなり無理してるけど、声入れたら8役かな?絵理も挑戦してみたい事で、圭子も歌が大好きで沢山歌いたいので。皆がやりたい事が出来たんですよね。普段好きな曲を選べないから、今回は皆好きな曲を選んだんです。
入れ替わる話はよくやってるし、キスミーでも2役だから、一つの役を2人でやるのがやってみたかったので。同期でないと、出来ないかなと…。かなりのディスカッションするし、喧嘩するし、歩み寄らないと出来ないからね。わたると私はキャラクターが全く違いますよね!わたるのウォルターと私のウォルターは全然違うから、話合った結果、わたるがちょっと弱くして、私がちょっと強くしてウォルターが出来る。ナルディも私の声を少し高くして、創っているんです。台本も逆に読んだり、お互いに稽古の時に観ッコしたりして。稽古期間がもう少し欲しかったのですけど、ショー的お芝居で、ショーの中のストーリーダンスに台詞が入ったみたいな感じになってるし、自分達も昨日開いたばかりなので、まだ、こんがらがってる所もありますけど。でも、楽しんでやってます。フェイス・オフを題材にやってます。」
★手術の所で、仮面は手を離されてるのに、どうしてあんなに、顔にぴったりと付いているのか、不思議なのですが〜?
「笑、はぁ、そうなんだぁ〜…。不思議?ガムテープが裏にくっついてて〜〜、簡単!(笑)それは嘘です。
口にくわえるようになってて、木が突き出してて、ガーゼが巻いてあって、咥える状態になってるんです。プロデューサーに『湖月と間接キスになるがいいか?』と聞かれたんですけど、『結構です。同期だから〜』と、そう言う事になってます。だから、口紅も付いちゃって、今回は口紅を抑えちゃってますけど…。今回汗でドロドロで、今も目が痛くてしょうがないです。全部汗が目に入るんです。衣装が全部、皮なのでサウナ状態で、1公演で1キロ痩せてるので、ちゃんと食べようと思ってます。あの仮面はそうなってます。
絵理が目に合わせてドーンとメスで切ってくれてるんですけど、パッと被せる時に目に合わせてくれなかったら、変なとこに突きささっちゃうんですけどね。昏睡状態で、放された時、ピクピク(?)ってなっちゃうんですけど…。」(笑)★踊りながらベッドの方に行かれますが、ぐらつきそうな狭い手術台で危なくないですか?
「危ないと言ったら、この芝居は出来ないですね。ブランコも命綱付けてないし、初めは付けてたけど、動きが取れないし、私も、もう怖くなかったので、『もういいです』って取ってもらったんです。立ち回りも生傷絶えてませんから。」
★上から降りてくる気分はいかがですか?
「舞台稽古の初めは、怖いと思って『エンラブ』のゴンドラを思い出しましたね。でも、ゴンドラの方が怖かった。自分で持ってなかったから揺れて怖かった。今回は自分の手で、持ってるから怖くないのね。打たれる所とか、結構、役に入れば怖くない。『エンラブ』は名古屋が怖かった。愛知厚生年金会館は5メートル80位あるから、ワイヤーが切れたら死ぬって思った。私はジェットコースターや観覧車は乗れない人なんです。機械をあまり信用してないんです。だから何か手で持ってると凄い楽で、『エンラブ』より怖くないです。」
★今回のお芝居でお好きな場面は何処ですか?
「ケティにウォルターだと解ってもらえる時です。オペがかなりのネックで、かなり替わるので、役を切り替えないといけないので好きですね。
宝樹彩がニューヨークで5.6年勉強して帰って来ていて、公演もあったけど中止になって、一路さんと話してた時、『そうだ、オペは彩子が入ればいいじゃない』と言ってて〜。一路さんのディナーショーの振り付けをした後、やってくれたんです。
これは、宙組『カステル・ミラージュ』で、最後の時計の(レオナードが死ぬ時)金森先生の振り付け、フォンテポラリーダンスって言うんですけど、あの系統のダンスなんですよね。カウントがずれちゃうので、ピーと言う音やドラムの音で取ってるんです。ほんとに難しいですが挑戦したんですけど、稽古場で11時や12時になってましたね。ですから、オペの所もネックになってて好きですね。ケティの所とね。人は外見じゃない、魂で解ってもらえると言うか、そこが一番好きですね。ブラック(テキーラ)も楽しいけど…。」★お気に入りの衣装はどれですか?
「どれも好きですが、最後の白かなぁ〜。コート系が好き。最初は悪魔っぽいし、ナルディの仮面はラブ・ビートの吸血鬼の黒い鬘をはずしたのだと判ります?黒と赤と白とコート系が好きです。」
★生オケを、バウ公演で使われるのは珍しいと思うのですが、どのように思われますか?
「普通の歌劇団主催バウ公演ではないんですよ、私のディナーショーとかのTCA主催なので、生オケが入ってるんです。迫力が凄いんですよね。おかげで後ろへ行くと負けそうで、返りがないと言うか自分の声が聞こえない。響きが返って来ないんです。台詞も口の動きとかで判断して、勘で言っているから凄い不安で頑張っちゃうんです。SE(効果音)は多いし何にも聞こえない。客席には聞こえてるものと信じてやってます。それだけオケは凄いから、声を潰さないように気をつけてます。リズムは乗り易いので、ショーはいいですね。ずれた時は困りますけど。」
ーここで、お客様がお見えです。ー
「おーい、直ちゃん!」「ウッフォ!」「ウッフォ!」とわたるちゃん、絵理ちゃん、圭子ちゃんです。噂の共演人物、同期達がやってきました。
「同期会の最中じゃなかったの?抜けて来ちゃったのぉ?」と直ちゃん。「ここにも喉飴あるんだ。直ちゃん、いつもなめてるんです。」とわたるちゃん。「これ、売上凄いと思うよ、私。」「紹介して!」
「わたると圭子です、絵理です。」直ちゃんが紹介しました。
「ナルディが基本なんで、『ウッフォ!』、これ基本だよね、いい発声練習になってるよね。」「今回はほんとにバタバタと、入れ替わって、お前は誰だみたいな、あんた消せ!とか〜。女になったりね」とわたるちゃん。
「私は誰かとか思わない?」「思うよ」「今度、わたるがやった時に呼んで、私、挑戦したいわそれ、やりたいわ。」「えぇ〜?女になったり、色々やるんだよ〜。」とわたるちゃん。直ちゃんはやる気充分。
「どう?二人でラブシーンしてる圭子ちゃん」
「えっ、すみませーん。有難う御座います。戸惑いはなくぅ〜みたいな、『同期とかだと恥ずかしいじゃないの?』って言われるけど、そんなに…。なんか、ショ−の方がやばい、危なくなぁーい?」と圭子ちゃん。「稽古場で二人で踊る前に、直ちゃん、ニァーと笑うの」と、わたるちゃん。
「私もそれに負けないようにしようと思うんだけど、男役なりきり度?キスミーやってから、弱くなった。キスミーとかの稽古場で、実際の男の人相手だと、全然キザらないから、それが基本になってて、私も、キザるのが恥ずかしくなる時あるけど、あんた、めちゃくちゃキザるでしょ!なんか目とかで〜。(笑)ゴメン、失礼!私も真似しようと思うんだけど、ちょーっと、なかなかねぇ〜、ごめん、我慢して。」
「そうよ、私も外部公演やったよぉ〜」「あんたは、男に間違えられる女だったじゃない、途中立ち回りとかあったし、私はキャピキャピだったけど〜。ゴメン!」「だったよねぇ」
「また、やるんだよぉ」「うん、やらなきゃいけないんだけど、もう出来ない、声が低くて戻らない。アンサンブルの人がチャーリーガールで来てるんですけど、電話掛かって来て、『直ちゃん、こんなに声低かったっけ?』って、『今男役だからあまり喋りたくない』って言ってるんですけど。」
「結構、影響されやすいよね。」「うん、影響されやすい。私、絵理みたいなの、ややこしくって、やってられない。」
「面白いね。今回、直ちゃんの天然面白かったねぇ。」「そう言うけど、今回、天燃ばかり残ってるんだよ。」
「その中でも直ちゃんは極めつけ天然、もうかなわないわ。」「私のとこまでおいでよ」(笑)「そうね、直ちゃん・・・」
「千秋楽まで宜しくお願いします。」「ほんとにぃ〜、よろしくお願いします。」
こんな具合にぽんぽんと、直ちゃんとわたるちゃんのやり取りが多くて、どこまでも会話が弾むようでした。「また明日、楽屋で〜、有難う!」「お邪魔しましたぁ〜!」「また、会おう兄貴ぃ〜!」「弟、いやだぁ〜」
と、楽しく愉快な同期の皆さんは帰っていかれました。
「どよめいてますよね。ほんとに、仲いいですよ。嵐の去った後みたい」と直ちゃん★最後の質問として、同期共演のお稽古中などで、何か面白い話などありますか?
「宙、月組でいろいろやっていたし、さほど、14年間の差がないんですよね。パッと一緒になると、その分埋っちゃうと言うか、私も天然だけど、結構皆もそうで、天然グループが4人残った感じで、キィキィした人がいないって言うか、ほんわかしてますね。『先生の話ちゃんと聞きなさい』って言う位喋ってるしね。お稽古してても観合いっこしてますね。例えば私と圭子がラブシーンやってたら、わたると絵理が観てるとか、逆を観てたりね。お互いに必ず観っこしてます。そんな感じで、日頃がそのままお稽古場って感じですね。」
ゲーム、プレゼント コーナー
持ち物調べと称して、直ちゃんのハンドバックの中身の品を、客席の方がどの位、同じ物を持っていらっしゃるかと言う、全員参加型、数の多い方で勝敗が決まるゲームです。
居ましたよ。9種類位お持ちの方が…。○○テーブルの○○さんがご当選で、直ちゃんから香水を貰いました。続いて、テーブルごとに直ちゃんと記念撮影をして、プレゼントコーナーです。
直ちゃんからと、会場の皆さんから直ちゃんへと、お互いに交換致しました。私達から直ちゃんへのプレゼントは、とても素敵なデニムの長いジャケットコートとブーツでした。
そして、歌のプレゼントです。『Je suis Malada』(ショーの最後のソロで歌って下さった、難しくて、シャンソンぽい歌ですね)
★楽しい時間はすぐに過ぎてしまうんですけど〜…。
「私の真似してない?(笑)」と直ちゃん。(笑)★最後に直ちゃんより、今後のご予定とご挨拶をお願い致します。
ーご予定ー
「バウ・パフォーマンス、『Switch』75thは、まだ昨日始まったばかりです!私もまだ、舞台稽古から来て、慣れてない状態で、スゥーと突付かれたら歌詞が飛んじゃう状態です。大劇場とか同じような内容で、覚えるものも多かったんですけどね。何とか幕が開いて、ホッとした所です。自分としても5ヶ月位必死に女になろうと、やって来たんですけど、一瞬にして戻って、声もかなり低くなって、全然高い声が出ないんですけど〜。今回あれだけ怒鳴って、出ずっぱりなんで、声潰さないように一回一回大切にやって行きたいと思います。12月12日の土曜日までやっておりますので、是非、毎日、足をお運び下さい。
その先は東宝ミュージカル『キスミー・ケイト』博多座に出ます。来年1月2日から1月27日までやっておりますので、是非、観に来て下さい。また、これが終わったら東京に戻るんですけども、女になる訓練しないといけないので…。ロイス&ビアンカで、キャピキャピになるのでね。今はとても出来ないんですけど、毎日発声で『なぁに、フレディ!いやだぁ〜』とか、やってると、わたるに『気持悪いから止めてよぉ』と言われます。出なくなったら怖いんで、一応やってますけどね。今後のスケジュールは、一応そこまで決まっております。博多座の方も沢山来て下さい!」ーご挨拶ー
「毎日、毎日、12日まで、大切にやって行きたいと思っています。こんな機会はめったにないし、2度とないと思うので…。これがいつか東京に行けたらいいなと思いますが、いろいろ劇団といくら話し合ってもスケジュールが4人揃うのは難しいですね。いつかいつの日か、もう一度、やれる事があればいいなと思っております。と言う事で、是非12日まで皆さんも、私の久々の男役を堪能して下さい。今日は楽しい時間を有難う御座いました。」
【ほんとに丁寧に大切に、過密スケジュールの中を4人で創り上げて来られたのが伝わってきますね。オペの所は難しいんですねぇ〜。観る側の私は、本当に珍しくて、素晴らしくて、大好きな場面でした。取りあえずはこんな感じで、いつもよりは、若干短めなお茶会だったような気もしますが、この日は2回公演だったし、出ずっぱりの直ちゃんはとてもお疲れだったと思います。終始笑顔を絶やさず、いつもながら、ほんわかと柔らかに、出来るだけ解りやすく私達の質問に答えて下さいました。筆者の聞き違えや理解不足、聞き落とした点や、凝縮させていただいた所などありますが、70パーセント位はこんな感じだったという事でご理解下さいますように…。m(__)m 】
10月17日yuko記