その他観劇記 2011〜2012年 井上芳雄編

2012年12月9日(日)『組曲虐殺』銀河劇場

井上ひさし生誕77フェスティバル’12、戯曲『組曲虐殺』を観ました。
昭和初期、プロレタリア作家小林多喜二の苦々しい29年の生涯を描いたもので、主人公小林多喜二役を井上芳雄君、姉役に高畑淳子さん、恋人役に石原さとみさん、他にも芸達者な方々が出演され、それぞれの役を熱演されました。
上演中の銀河劇場はりんかい線と東京モノレールが通る天王洲アイル駅近くです。りんかい線が開通してからは初めてだったので、劇場に辿り着くと過去に2度ほど訪れた記憶が蘇りました(笑)。
伊央里直加さんの公演や井上芳雄君の初コンサートにも行っていて、懐かしく当時を思い出しました。お台場の1つ手前の駅ですが、新宿から1本で行けるなんて便利になったものです。この公演は12月いっぱい東京でやっており、その後日本全国を廻ります。



2012年9月15日(土)
日比谷、シアタークリエにて『あしながおじさん』ーDaddy・Long・Legsー。

シアタークリエはこじんまりとした劇場です。
このお話は何と2人芝居ミュージカルなんですね。日本初演だそうです。
『あしながおじさん』役はお馴染み井上芳雄君です。孤児院育ちの娘さん役には初共演の坂本真綾さん、レ・ミゼラブルのエポニーヌ役で、私も彼女の歌を聞いているかも知れません。
実は私、この有名な小説を読んだことがなかったので、いったいどんな話なの?と言う感じでしたが、そっかぁ〜なるほど、足の長いおじさんと女の子のお話でした。

1人の孤児院育ちの少女を大学にやり、生活も援助もするというお金持ちのおじさん。見返りは無しで、1か月に1回、学校生活の様子などを手紙で知らせる事!だけが約束なのですって。いつかは彼女が作家になれば良いなと言う考えもおじさんの頭の端にはあるけど。
素直でまっすぐな少女の手紙は楽しい大学生活や少しの悩みなどが綴られ、ジルーシャ役の坂本さんがほとんど読み語り、時には歌います。滑らかな口調で、違和感が全然ありません。坂本さんの身体の中にジルーシャが入っているかのように自然体に演じていました。
あしながおじさん役の芳雄君はもらった手紙を読み、自分の姿も想像されるままです。禿茶瓶頭の足の長ーいお年寄りとか〜?本当は若いお金持ちなのに〜、ジルーシャの想像のままです。
歌ももちろん歌いますよ。ちょっとだけハラハラドキドキしますが、最後がハッピーエンドだったんですね!ホッとします(笑)。
終演後はあしなが育英会への寄付願いもありました。
また、今更遅いかも知れないけれど、原作を読んでみようかなと思い、児童文学書を帰りがけに見つけて帰りました(笑)。



2012年
7月31日(火)第20回上半期 読売演劇大賞 男優賞ベスト5

2012年4月〜5月に、『負傷者16人』でパレスチナの青年役に挑んだ井上芳雄君。
歌唱力に優れているので、ミュージカル出演がほとんどの彼ですが、このストレートプレイに挑み、歌なし、踊りなしの芝居を好演しました。
今年度上半期、『負傷者16人』は第20回読売演劇大賞の作品賞候補ベスト5に選ばれ、しかも男優賞では井上芳雄がベスト5に選ばれました。
非常に喜ばしい事で、確かに中身の深さと衝撃的な演出は思った以上に良かったですし、パレスチナの青年役に成り切って演じていたのが大変好印象を受けました。
多数の演劇人の中で男優賞に選ばれる事はほんとに素晴らしいと思います。井上芳雄君、おめでとうございます!!



7月27日(金)ミュージカル『ルドルフ』帝国劇場

毎日猛暑が続いていますが、皆様、ご機嫌いかがですか?

7月は私なりに観劇が混んでいます。中心は宝塚星組観劇なのですが、その合間を縫って、帝国劇場にも2度(13日、27日)出掛けました。

帝国劇場ではこの7月に、ウイーン&東宝ミュージカル『ルドルフ』が新たなる演出と主演の井上芳雄さん以外は新キャストとして上演されています。
この公演は、オーストリアの皇太子ルドルフの人生を描いています。

オーストリアの皇帝フランツ・ヨーゼフの長男としてルドルフは生まれますが、生まれて間もない頃から母親(エリザベート)からは離され、皇太后によって国王になる為の厳しい教育を受けます。
立派な若者になったルドルフは、政治的にも思想的にも皇帝と意見が合わず、偉大な皇帝を前に自分は歯が立たない事を思い知ります。

ルドルフはある日、英国の皇太子エドワードやプロイセン皇帝ウイルヘルム歓迎の舞踏会で、1人の美しい男爵令嬢マリー・ヴェッツェラに出会います。
他のご婦人には無い勝ち気さとしっかり者の彼女、しかも皇太子の政治や思想的考えに対してもかなりの理解者である事を知ります。

2人は、たちまち恋に落ちますが、色々と厄介な事が2人を取り巻き、幸せな時は束の間です。周辺はざわめき、2人の間に多々の困難が立ちはだかり、行く手を遮ります。皇太子には皇太子妃ステファニーもいますし、マリーにも親、家族がいます。

2人は苦しみに苦しんだ末、マイヤーリンクにある皇帝一家の別荘で、ピストルの音が2発響き!お互いの命を絶ちます。
お話はそこで終わっています。

今回の演出は結構リアルで何度も死を予感したような場面が出てきますし、何か不気味です。本物のタバコ?を吸い、ろうそく等の火も使います。皇太子妃の苦しさ、悔しさも非常に観客の同情を誘います。
美しいのは2人の純愛だけです。つまり、演出がはっきりとして、美しいものを浮き出させているのですね。

ルドルフ役の井上芳雄君は、命かけんばかりに演じ、熱唱しています。私は2度共、最前列で観ていたので、熱唱故につば飛沫がかなり噴霧しているのが何度も見えましたからね(笑)。
男爵令嬢マリー役は今回初めての和音美桜さん。彼女は宝塚宙組出身です。元々、歌の上手さに定評がありました。私も、宙組娘役2番手時代に彼女の歌を聞いていますし、宝塚のCDでも歌い手として参加していましたから、在団中は歌える次代の娘役トップスターを期待していました。ところが、突然宝塚を辞めてしまい残念に思っていましたから、こんな形で再び聞ける事が嬉しいですね。
やはり、素晴らしい歌声で堂々と歌う姿はほんとに凄いです。清楚な感じで品位もあり、井上皇太子とよく似合います。

そして、マリーの友人である伯爵夫人ラリッシュ役は一路真輝さんです。優しさと思いやり深い姉様的存在で、皇太子とマリーの事をとても心配しています。
変わらず美しい声で、丁寧な歌いっぷりと上品なご婦人を演じられています。

フランツヨーゼフは村井国夫さんです。昔はエリザベートのパパ役(実家の父)をしていた人です。
オーストリアの首相は坂元健児さん、この人の歌は安心して聞いていられます。歌を自由自在に軽々と操るかのようです。深みのある歌の名手です。

それから、皇太子妃役の吉沢梨絵さん。私は初めて知る方ですが、劇団四季を経て数々のミュージカルに活躍し、テレビドラマにもしばしば出ていると言う経歴のある方なんですね。
歌は印象的で、勝ち気さと寂しさが織りなす妻の内面的なっ気持ちをしっかりと歌っていました。心の痛みを表した歌に感動し、大きな拍手を送りました。

その他、アンサンブル団は大衆役をを面白くユニークに演じていました。宝塚の娘役を卒業された方々が結構多く出演していました。
つい最近、宝塚の舞台に立っていたはずの大月さゆさんが大衆の中で大胆に演技していてびっくりしました。まだ若々しくて可愛らしいのに大したものです。

以上です。外の熱さを忘れて舞台の人達の熱演、熱唱に聞き入り、感動を共にするひとときは充実感に満たされます。
明日は千秋楽!井上君、一路さん、和音さん、坂健さん、その他の皆さん、素晴らしいミュージカルを有難う!!



2012年5月3日(木)記 『負傷者16人』新国立劇場小劇場にて(長文です)

4月29日は数年ぶりに京王線初台駅にある新国立劇場に行ってきました。
開場1時間前に現地に着きましたが、劇場周辺の様子などはすっかり忘れ、とりあえず小劇場入口だけを確かめてから、手軽な昼食所を探してみました。休日のせいか、辺りは閑散としており、人通りも少なく、目立ってお気に入りレストランなどありませんでしたが、やっと、ドトールCafeを見つけ、そこで本当にお手軽昼食を済ませました(笑)。

題名『負傷者16人』と言う演劇は井上芳雄君が主役と聞き、チケットを入手したけれど、いったいどんな作品なのか〜、全く判りませんでした。チケットはすでに満席状態で2階のテラス席と言うのかな、真横から見る所しかなかったけれど、凄いお得な特別割引が効き、何と2千円代で観れたのですよ。そんなですから、まぁ良いか〜という感じで気楽に観ることにしました。観客は30代〜50代位の女性が圧倒的でしたね。
さてさて、これは2004年にブロードウェイで上演され、日本では初めての作品公開だそうです。
何と、リアルで重たくショッキングな作品だったんです!!
主役を演じた井上君は爽やかで嫌みがなく、それほどの重圧感もなかったのですけど、内容の凄さは充分伝わって来ました


では、どんな内容か?
フーリガン(ならず者)に銃で撃たれ、血だらけになったパレスチナ人の青年マフムード(井上芳雄)は、オランダ(アムステルダム)でパン屋を営むユダヤ人ハンス(益岡徹)と出会い、助けられます。
マフムード(井上演じる青年)は温和なパン屋の主人ハンス(益岡演じるユダヤ人)の計らいにより、パン屋で働かせてもらいます。そして、そこで知り合った女性と結婚し、まもなく子供が誕生します。
そんな穏やかな新家族の幸せに包まれようとしていたある日突然、マフムードの兄が現れ、忘れようとしていた彼の過去をリアルに呼び覚まします。
マフムードは過去の絆に苦しみ、葛藤の末、妻もまだ見ぬ子も残し、恩義あるパン屋のハンスの説得も甲斐なく、全てを捨てて飛び出していきます。その直後、彼は大変な事件を起こします。

『負傷者16人』の題名はそこにあったのですね。結末が何ともショックですよ!
物語の背景には宗教の違いや、育った環境や歴史の違いがあり、たとえ、敵だと言われた他民俗であっても人間同士の暖かな営みによってそれらを越えられるか?と言うのがテーマになっているのではないでしょうか?
考えさせられる所で物語は終わっています。
様々な事に心痛める昨今ですが、世界ではもっと痛ましい事件が今も尚、起こっているのかも知れませんねぇ〜。この作品で何かを教えられたような気がします。

出演者はたった5人ですが、それぞれが与えられた役柄を自然体で演じ切り、凄いなと思いました。
井上君は膨大なセリフを見事にこなし、熱い青年を力いっぱい表現していました。パン屋の主人ハンス役の益岡徹さんは成りきり度100%で演技力抜群でした。ほんと、この2人のやり取りが凄まじかったですよ。
舞台構成は極めて簡素で一幕のみ、照明で上手く表現しています。派手さ加減など微塵もないのに、内容に吸い込まれたのは出演者の熱意と内容の重大さですね。正味3時間上演は結構長いのに、それ程に感じなかったから不思議です。

この作品は新国立小劇場にて5月20日まで上演の後、兵庫県立芸術文化センターに行くようです。
長文、お読み下さり有難うございました。

2012年2月17日(金)『ハムレット』観劇

2月17日(金)、シアタークリエにて上演中のミュージカル『ハムレット』を観に行きました。原作はシエクスピア『ハムレット』で、ロック音楽で綴るミュージカル盤としては日本初上演です。

脚本・作詞・作曲、ヤネック・レデツキーさん。脚本、ロバート・ヨハンソンさん。演出、栗山民也さんです。
キャストは、ハムレットに井上芳雄さん。オフィーリアは昆 夏美さん。レアティーズには伊礼彼方さん。ホレーショー、成 河さん。
ポローニアス、
山路和弘さん。ガートルードは涼風真世さん。クローディアス、村井國夫さん。名もない墓堀り、川口竜也さん‥‥、他でした。

幕開きから草臥れ薄汚れた巨大なデンマークの国旗なる?布が、壊れそうな薄暗い城壁を背景にして垂れ下がっています。実際のデンマークの国旗は赤地に白十字ですが、ここでは白地に赤十字の模様…。只今始まろうとする物語がいかに不吉なものであるかを物語っています…。

有名な物語とは言え、私はかつて、この芝居を見る機会や本で読み知る事もなかったので、興味深かったですね。


物語は、ハムレットの父であるデンマーク王が突然亡くなった!その1ヶ月の経たないうちにハムレットの母ガートルードは伯父クローディアスと結婚します。舞台はその告別式から暗く厳かに始まりました。
ちゃっかりとした計算づく?の母ガートルードは息子ハムレットを可愛がりながらも義父と仲むつまじい〜。どうも合点のいかない若きハムレットはそれを素直に受け入れられない…。
ある夜、夢の中に亡き父が現れ、「伯父クローディアスが私に毒を飲ませ、殺したのだ!」とハムレットに告げる。

そこから、ハムレットの運命の歯車は音を立てて狂い始めます
いつかは父の復讐を果たさん!と、密かに執念を燃やすハムレット。自分には心から愛してくれる純真で可愛いオフェーリアがいると言うのに…、ハムレットの復讐心は固い。
ある日彼は、不運にも、オフェーリアの父ポローニアスを気づかずに剣で刺し殺してしまうのです。

それを知ったオフェーリアは様々な心の葛藤から次第に気が狂い始めます。彼女には妹思いの優しく真面目な兄レアティーズがいました。
精神の世界を彷徨うかのようにフラフラと歩くオフェーリアは兄の目前で断崖から飛び降りて死んでしまいます。狂気のように怒った兄はハムレットと命を賭けた決闘をします。
そんな時、伯父のクローディアスは自分を狙う邪魔なハムレットを毒殺しようと試みたのですが、それを母が飲んでしまい、母ガートルードもまた死に至ります。

ハムレットとレアティーズの勝負は射しつ射されつで戦いが続くうち、ハムレットは母をも毒殺した憎きクローディアスを射し殺します。そして、レアーティーズも倒れました。
最後の目的の為に母、恋人、恋人の兄と父を巻き添いにして、自分も果ててこの物語りは終わっています。


改めてその悲惨な流れと結末を知り、何とも切ない物語なんですね……。あぁ〜、その後、王家はどうなったのだろうか〜?

役者さんにとっては、内容が変化に富み、非常に難しい作品ですから大変としても、やりがいがあるのでしょうね。

ミュージカル役者として成長真っ只中、いや早くも中堅所になりつつある井上芳雄君は歌唱力が更にずぅーんと大きくなった感じがします。体力を限界まで使ってる感じです。苦痛なる命の叫びを歌で表すなんて本当に難しいでしょうね。
救いようの無い心痛を抱えて、暗く、まるで奇人変人のように振舞う姿が良く出ていたと思いますよ。
衣装は現代に置き換えたような今の若者風で、それがまた抵抗無く自然体で良かったですね。

恋人オフェーリア役の昆夏美さんは見事な歌唱力で聞かせてくれました。ぽあんとした汚れなき純粋な女の子の雰囲気が可愛らしくて良かったです。
兄役の
伊礼彼方さんは、爽やかで妹思いな実直青年役がぴったりでした。昨年再演された「アンナ・カレーニナ」で一路真輝さんと共演した第2の彼でした(笑)(初演は井上君でしたらね)。
涼風真世さん、疑惑的で美しい雰囲気を持つ母ガートルード役にぴったりでしたね。元々安定した歌唱力の持ち主ではありますが、またまた更に飛躍、本当に素晴らしかったです。宝塚元トップ男役です…。

墓堀場面は非常にユニークな演出で、川口竜也さんが一生懸命コミカル風に歌いますが、前景の暗さがショックで、何故か楽しめないんですね…。レ・ミゼラブルの(少し似た場面)ようには行きませんね。その辺りがお馴染みさでない初作品なのかも知れませんね。
村井國夫さんは「『エリザベート』のパパ」でお馴染みですが、今回は憎々しい悪役ですね。ドスが効いていました(笑)。

もう1人、オフィーリアの父(ポローニアス)役の山路和弘さんも『アンナ・カレーニナ』で好演していましたが、今回は全くイメージが変わりましたよ。
ユーモアに富んだ人生の模範的かつ合理的な歌を明るく歌い、こんな役も似合うんだなぁ〜と思っていましたら、意外な事であっけなく殺されてしまうんですよねぇ〜。事故みたいなものなんですけどね。

原作を舞台化し、芝居で全部通すとしたら5時間もかかるとか〜、それをロック、ミュージカル化され、更に栗山民也師の演出により、2時間20分位に凝縮されていました。
スピード感に溢れた物語の美味しい所取りで、無駄を省いたかのようなミュージカルになっていました。何も物言わぬ最後がちょっと物足りないんですけどね……。


 

2011年8月10日(水)『三銃士』観劇

この日は体操をおさぼりして、「レ・ミゼラブル」以来の帝国劇場に出掛けました。
演目は帝劇100周年記念公演の一つである日本初ミュージカル『三銃士』です。

主演ダルタニアンは井上芳雄君、三銃士はアトス橋本さとしさん、アラミス石井一孝さん、ポルトス岸祐二さんです。
アンヌ王妃
シルビアグラブさん、王妃の侍女コンスタンスは和音美桜さん、ロシュフォール吉野圭吾さんは片目の眼帯男悪役です。
色男バッキンガム公爵は
伊藤明賢さん。ルイ13世には今拓哉さん。ユニークで歌の上手い坂元健児さんは旅芸人の座長とバッキンガム公爵の執事ジェイムズ役、謎の女ミレディは瀬名じゅんさん、リシュリー枢機卿はベテラン山口祐一郎さんです。
これほどのミュージカル界蒼々たるメンバー出演を前々から楽しみにしておりました。

一般的には大変良く知られている冒険活劇『三銃士』です。私も子供の頃に本を読んだ覚えがあるのですが、内容はすっかり忘れていました。
フランスの片田舎に生まれた青年ダルタニアンは近衛銃士志望。父親から譲り受けた剣を持ち、パリに向って旅に出ます。
途中で三銃士に出会い、ひょんな事から仲間入りします。三銃士は個性豊かな3人の銃士で、フランス国王に仕える近衛銃士隊でした。王妃はイギリスとフランスの戦争を避けるために、イギリス王の寵臣であるバッキンガム公爵に大切な首飾りを捧げたところ、枢機卿の企みで、国王と王妃の間に亀裂が入りそうになります。

フランス国王ルイ13世の下、枢機卿が陰謀を計り、従臣が悪巧みをします。王妃の名により、侍女コンスタンスは正義の味方ダルタニアンと三銃士に願いを託します。海の向こうに渡った王妃の首飾りを取り戻しにイギリスのバッキンガム公爵の下へ向わせたのです。

途中、謎の女ミレディは怪しく冷たい魅力で登場し行く手を塞ぎます。王妃の首飾りを取り戻した勇敢なダルタニアンはフランスに戻りますが、枢機卿が企てる陰謀は火を噴き、宮殿に辿り着くやいなや戦いとなります。

力を合わせたダルタニアンと三銃士は勝利を挙げ、首飾りは王妃の下へ戻り、めでたい王の誕生日祝宴が行われます。しかし、犠牲となったのはダルタニアンが恋したコンスタンスの死。そして謎の女ミレディの身投げです。

ミレディは元宝塚男役トップの瀬名じゅんが演じています。アトスへの思いを内に秘め、冷ややかでキリリとした女を魅力的に演じていました。
純粋快活なダルタニアン役の井上芳雄君は飄々としていて、さわやかな青年を好演していました。沢山歌もありましたし、立ち回りもありました。始まった途端、剣が折れるなどのハプニングがあり、上手くアドリブに変えていましたが、「あっ、折れた!」とつい叫んでいました(笑)。

他の三銃士達も其々に歌の上手い人ばかりです。大物揃いが見所ですね。元宝塚娘役出身の和音美桜さんの歌が聞けて良かったです。宝塚でも歌姫でしたからね。今回は音楽が始めて聞くものばかりだったので、まだ親しめていませんが、コメディチックな場面もあり、結構面白かったです。


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