骨董を通じてみたアジアの変化
人生ってどちらに転んでも70〜80年。そのうちで金を儲けて楽しく使う期間は前と後ろを切るとせいぜい40年程の間だ。組織の中で頑張るのも一つの生き方だが何か一つびっくりするような宝物を手に入れるためその時間を費やせば必ず夢はかなう。
宝物、信仰、女、健康 なんでもいい。一つ手に入れれば人生帳尻は合う。
元染付大壺はどこから出てきたのか
1970年代後半、はじめて東南アジアを旅したが思い描いているような原住民やジャングルなどどこにもなかった。しかし、行く先々でそれらの宝物の代わりに骨董という、僕の心を揺さぶる宝物を発見した。現地ではまだ骨董など殆どの人が興味を持っていない頃だった。それが昨今では様変わりしていて「良いものがあれば持ってきてくれ」と度々いわれるようになった。
近頃ではバクテリヤや原種の種、漢方薬の材料など宝石や骨董ハンター南方見聞録を越えた新しい宝物を求めてさまよい歩く”サイエンスハンター”の時代になっている。
こんな事があった。田舎の骨董屋で頑固そうなイギリスの老人にであった。
「幸せってなんだろうね」という僕の問いに彼はこういった。
「ノリキさん、健康・金・女ですな」と、きっぱり言い切った。
この本は色々な生き方があるというコンセプトで書いた。
貧しくても幸せ。豊かなのに次々とモーチベーションを高くして、幸せ疲れしてしまう人。大国の思惑に翻弄される山の民。そんな人達の生き方を書き綴っています。
目次
第1章 王の呪いに取り付かれた男 国境の古寺の地下に眠る元染付けの大壺。それを掘り出しホテルを買い取った男の話。骨董とは一発勝負の世界だ。 黄金仏 パガン時代(ビルマ |
|
元鉄絵龍文壺 |
|
第2章 チェンマイに消えたピッピー 金と女をどこまでも追いかける日本人ヒッピー。それは男の夢かもしれない。 「ノリキ、今でも思い出すよ。細身なのに出るとこはツンと出て、よかったよ」といった彼はゴールデントライアングルの彼方に消えていった。 ゴールデントライアングルの国境の渡し |
|
第3章 猿回しとうたかたの夢 貧しくてもアッラーを信じるムスリムの生活。 「待て、ジャック。この話聞かなかったことにしよう。お前を知らないところへ連れて行って、もしもの事があればワシは生きてゆけん」といって爺さんはサルの頭をペタペタと叩いた。 ジャカルタ、ジャヤンスラバヤ通 |
|
第4章 チームワーク 銘文に書かれた文字には・・・・・ 黄金の仏典、輝く明星のサファイヤ、サタンの血の色のルビーを収め贖罪の証とすると書いてある。 「ほー、そりゃ、たいしたもんだ」 パガン遺跡 |
|
「お前ら、死ぬぞ!みんな、死ぬぞ!余はこのパゴタの主である」ナポレオン帽が竹竿をがっしり握って瓦礫に上に突っ立っていた。 インドパーラー朝の様式を取り入れたパガンの至宝八相磚 |
|
第5章 停まらないメリーゴーランド 女たちは金の匂いを嗅ぎ、男はギンギンの孔雀になる。そんなマニラの置き屋の女アリスが結婚した。相手は60歳も年の離れた外国人だった。その作戦を書いたのはティーチャーと呼ばれる置き屋のやり手ババア、ローリーだった。 「お前、よーく考えろ、爺さんは早く死ぬんだ。遺産はがっぽりお前のところに行くんだぞ」と、言ってアリスの目をじっと見た。ブーゲンビリヤの咲く飯屋のテーブルで二人は話し合っていた。 マニラ湾と女 |
|
第6章 天空のシャングリラ 元ラマ僧の彼は熱いチャイを飲みながら言った。 「寺を抜け出すのは40歳代がいちばん多いのです」 僕は考えた。四十にして惑わずという言葉があるがそれは迷うからそういっているのだろう。 チベット菩薩像 |
|
「僧侶から煩悩のとりこになった男が見たものです。黒雲が生じてからは男女の交合神や般若波羅密多菩薩を見る目が変わってしまいました」 バザールの細い路地にシタールの粘っこい音が流れてきた バザールの中を行く楽団 |
|
第7章 香木堀 若い女のお化け 「開けて。公安が来る」 僕は数時間前に着いたばかりだから問題はないと思うのだが、きれいごとばかりやっているわけでもない。女の声は切迫している・・・・・・。 「アメリカ軍とのミックスよ。あの子達、客をとらないと生きていけないの」 複雑な口調でバンさんがいった。 ジャングル(安南山脈) |
|
「あるじゃないか」といいながら、一枚の麻袋をばっとはがした。黒光りのする僕の腕くらいのが4,50本積み上げられていた。「 最高級の伽羅だぜ!こんなの見たことがない。どこでほったんだ、えっ!」 「ラオス国境で見つけたんだ。これを掘り出したからワシラは決心したんだ」と長老は言った。 「ジャポンの兄さん、アメリカってどんなところだね」 「そうだな。矛盾だらけの国だよ」 山岳民族のマーケット |
|
第8章 聞かなかった話 ノリキ朝食をとったら例の家に行こう」 「指輪を持ってきた男の家か」 「そうだ。まずそこからやろう。何人か知り合いの堀屋がいるが後回しだ」といいつつ我々は宿を経った。 スラウェシ島の洞窟 |
|
トラジャ王が残した至宝。男は洞窟の中で懐中電灯を照らした。椅子の上や床に散らばる白骨は、それぞれ首飾りや指輪、クリス(短剣)をつけていた。 インダス文明のカーネリアンネックレス |
このホームページをご覧頂いたいた方、
本著をお読みください。あなたをリヤルな南海の宝探しの現場に主人公が誘ってくれます。ぜひぜひ。
アジアン・ヒーローズ
|
本文前書き(抜粋)