和歌と俳句

霞 かすみ

一 二 三 四 五 六 七

一葉
わたつ海の波のいづこに立ち初て果なくつゝむ春の霞ぞ

一葉
春がすみたちさりかねて見つるかなこやふる里のあとと思へば

行く人の霞になつてしまひけり 子規

大国の山皆低きかすみ哉 子規

境に入つて国の札とふ霞かな 碧梧桐

旅人の台場見て行く霞かな 漱石

霞立つて朱塗りの橋の消にけり 漱石

霞むのは高い松なり国境 漱石

登りたる凌雲郭の霞かな 漱石

女木に登り軍見てゐる霞かな 虚子

塔五重五階を残し霞みけり 漱石

子規
霞む日をうてなに上り山を見る山遠くして心はるかなり

鬚剃るや上野の鐘の霞む日に 子規

節
筑波嶺ゆ振放見れば水の狭沼水の廣沼霞棚引く

節
筑波嶺の巌根踏みさくみ國見すと霞棚引き隔てつるかも

節
春霞い立ち渡らひ吾妻のやうまし國原見れど見えぬかも

節
筑波嶺の的面背面に見つれども霞棚引き國見しかねつ

節
春霞立ちかも渡る佐保姫の練の綾絹引き干せるかも

我妻もかすめばをかし根深畑 虚子

大いなる港に作る霞かな 碧梧桐

熊の来て牛闘ひし霞かな 碧梧桐

風立てば霞の奥も波白し 碧梧桐

故郷を舞ひつつ出づる霞かな 漱石

御堂まで一里あまりの霞かな 漱石

山霞む山にも運河記念林 碧梧桐

千樫
かへり見る鳥居の奥の夕がすみ木ぬれの空はいまだあかるし

千樫
ゆふがすみうすくつつめるこの丘の社の町に灯はともりたり