和歌と俳句

千載和歌集

釈教

一 二 三

顕昭法師
谷水をむすべばうつるかげのみや千歳をおくる友となりけん

法橋泰覚
朽ちはてて危ふく見えしをばただの板田の橋も今渡すなり

藤原敦仲
うらみけるけしきや空に見えつらん姨捨山をてらす月かげ

蓮上法師俗名成実
日のひかり月のかげとぞ照らしけるくらき心のやみ晴れよとて

皇太后宮大夫俊成
さらにまた花ぞ降りしく鷲の山法のむしろの暮れがたの空

中原有安
待ちいでていかにうれしく思ふらん二十日あまりの山の端の月

中原清重
朝まだき御法の庭に降る雪は空より花の散るかとぞみる

恵章法師
望月の雲かくれけむいにしへのあはれを今日の空に知るかな

俊秀法師
清く澄む心のそこを鏡にてやがてぞうつる色もすがたも

寂然法師
けぶりだにしはしたなびけ鳥辺山たちわかれにし形見とも見ん

平康頼
鳥のねも浪の音にぞ通ふなるおなじ御法を説けばなりけり

藤原定長朝臣
世を救ふ跡はむかしに変らねどはじめ建てけん時をしぞおもふ

天台座主明雲
常ならぬ定めは夜はのけぶりにて消えぬなごりを見るぞうれしき

律師永観
みな人を渡さむとおもふ心こそ極楽にゆくしるべなりけれ