映画と原作・木戸浩一の心


 映画、原作とも、得体の知れない男、木戸浩一。原作では特に顕著で、それは、彼の心が分からないからです。
 ちゃらちゃらした感じのする木戸ですが、映画では、触った倉田かおりの口を通じて、又、最後のメッセージ(どうやったのかは不明)で、「泣きたいほど好き」と表現されていることから、青木淳子を愛していたのは本当のことのように思えます。ただ、組織を優先させ、淳子の「処分」に踏み切ってしまいました。(大きいものに逆らえなかったあたりは、並みの人?この点は、普通の人・多田一樹の終盤の行動と、対照的。)
 原作の木戸は、自分には心が無いと言ってのけています。木戸に心が無い、つまり、淳子が愛されていると感じていたのは、幻だったということ・・・・。しかし心が無いと言ったのは、事実だったのかどうか、分かりかねます。大体、人間が心を完全に捨て去ることが出来るものか?孤独な木戸の、寂しい強がりに過ぎないのではないか?
 「淳子、君を処分する。その方が君も幸せだ」と言いつつ、涙ぐんでいた映画の木戸は、原作に比べると余程正直です。



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