網棚に長物スキー横たはる
巡礼の島のぐるりの砂の浜
春潮の底掻く酷き網曳いて
碧の鯉加へて海の鯉幟
山に埼ありて摂津の国霞む
高千穂の神山狭田をまだ植ゑず
噴煙を直角に曲ぐ南風の力
蛍火の決意急転換に知る
川渡りして来し蛍火の捕へらる
苗代を割つてあまたの長方形
苗代の密生密の密なるもの
早苗投ぐ青の塊飛んでゆく
吾が投げし早苗の束はみな倒る
紫の裾濃の几帳祇園祭
鉾にゐて稚児の眼あらぬ方を見る
船鉾の黒塗の舵水を切る
盆の僧額の丘を光らせて
衆のため大師の使道をしへ
高稲架の上の上から穂を垂らす
高稲架の垂り穂数へて十二段
高稲架に潜り門あり稲毛門
芭蕉忌の紅き蝋の火穂長にて
浮御堂浮寝の鴨に燭消さず
藁塚の議事堂吾を迎へたり
聖夜餐スープ平らに搬び来し
金銀の聖樹駐在所に飾る