庖丁を取りて打撫で桜鯛
桜鯛料る尾が飛び鱗散り
病める目にすぐ湧く涙梅白し
参道の遠賑はひに梅の茶屋
たたみ来る春の潮に籬せる
我が宿の落花に栖める四五戸あり
花一木あり人これを四方より
寺町に尼寺一つ花御堂
尼寺の畳の上の花御堂
閻魔以下十王胡坐し春暮るる
春ゆくにまかせ百日紅芽ぐむ
寒明や寺の裏なる隠居寺
寒明けし心竹石小景図
芝を焼く煙の中の人と梅
草餅や古る山里の言雅び
紅梅の残りし花に一茶亭
山浅く大滝かかる梅花村
滝川の流れ出てすぐ梅花村
長閑さや山焼く煙山を這ひ
廟の扉を花に押し開け時宗忌
花人のこの廟所まで来るは稀
残花飛び萼吹き落ちて風烈し
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ
惜春やすこしいやしき紫荊