『古事記のものがたり』・本のできるまで
その1


「自分の本は自分で売ります。
 “古事記のものがたり”出版までの奮闘記」その1


直販出版でもこんなに本が売れる!
プロローグ
もしも自分の書いた本が書店に並んだら……。
そんな夢を描いている人は世の中にたくさんいると思う。しかしよほど才能があって、すばらしい原稿を書く作家であるとか、もしくは誰にも真似ができないような経験をしたという事でもない限り、普通の人が大手の出版社から本を出すことは不可能に近い。たとえ運良く出版できたとしても、書店に並ぶことなく消えてしまう、というのが現在の出版事情だ。

今の出版界の現状を全く知らなかったぼくたち二人は、「古事記のものがたり」の本の原稿がやっと完成したとき有頂天になった。始めのうちは「自分たちの本を出版して、本が売れて、印税生活だぁ〜」。なんてノーテンキなことを考えていた。原稿さえあればどこの出版社からでも本を出してくれると簡単に考えていたのだ。

おまけに「出版社は選ぼうね」なんて大それたことを真顔で話し合い、真剣に「この出版社はダメだ」とか、「印税の交渉はどうしよう」と目を輝かせて討論していた。いま考えると本当に世間知らずの会話だった。

そして二人で書店を回り、大手といわれる出版社の住所を書き写し、おおよそ15社ほどの会社に原稿を送った。もし全部から出版申し込みがあった場合を想定して、勝手に会社のランク付けまでしていた。それからは電話が鳴るたびにどこかの出版社から出版申し込みの連絡ではないかとどきどきしながら受話器をとった。

ところが一週間たっても、二週間たってもどこからも何の返事もなかった。一ケ月がすぎたころ、ぼくたちがランクの一番にあげていた大手の有名出版社から丁寧な断り状と一緒に原稿が送り返されてきた。それを皮切りに次々と原稿が手元にもどってきた。「へえ〜、断り状ってこんなふうなんだ」としげしげ眺めた。(あとで公開します)

こうしてほとんどの出版社から断られるという現実に直面し、「出版社は選ぼうね」から「出してくれるならどこでもいい」に考えがかわっていった。何も返事をくれないところもあったが、中には倒産した出版社もあった。三ヶ月以上すぎたころ、ようやくどこの出版社からも出してはもらえないということがわかった。そして初めて自分たちの考えの甘さに気がついた。戦後最大の出版不況だったのだ。

普通ならこのあたりで出版するのをあきらめるのだろうけれども、なぜか僕たちはあきらめなかった。どうしてあきらめなかったのか? 今から考えてもわからない。とにかく熱にうかされたように「古事記のものがたり」を本にして世に出したいと毎日毎日二人で考えていた。

1999年の10月24日に初版3000部を出版してもうすぐ二年が経つ。2000年の2月に第二版目を2000部、2001年1月に第三版を3000部増版した。そして今の在庫が約1000部。今までで7000部を読者の方が買い求めてくれた計算になる。これは直販出版(店頭に本を置かずに、直接の注文のみで販売すること・作者自らが販売すること)としては考えられない数字だとプロの編集者がビックリしていた。(2010年8月現在3万9千部突破!)

「自分の本は自分で売ります」。出版までの奮闘記をこれからシリーズでここにアップしてゆきます。本を出したい、書きたいと思っている人には必ず参考になると思うので楽しみにしてください。以上、前書きでした。

直販出版までの涙のストーリー、つづく


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