和歌と俳句

伊勢物語

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四十八段

 昔 おとこ有けり 
馬のはなむけせんとて人を待ちけるに 来ざりければ 

  今ぞ知る苦しき物と人待たむ里をば離れず訪ふべかりけり

四十九段

 むかし おとこ 妹のいとおかしげなりけるを見をりて 

  うら若み寝よげに見ゆる若草をひとの結ばむことをしぞ思ふ 

と聞えけり 返し 

  初草のなどめづらしき言の葉ぞうらなく物を思けるかな