▼9月12日(金)晴 ダリ美術館

クーラーの水漏れはちゃんと修理されていた。なんだかんだトラブルの多いホテルではあるが(この後エレベーターの電球も切れた。これは帰るまで切れっぱなし)、言ったことにはきちんと対応してくれるのでありがたい。スタッフも親切。

フィゲラスという町にあるダリ美術館へ行く。サンツ駅から電車で1時間半〜2時間。あらかじめ書いておいた紙を見せると窓口のおばさんはちゃんと往復の切符を売ってくれた。と言っても1枚で兼用だけど。車内では隣の席に座っていた子供がスペイン語で「アルプスの少女ハイジ」を熱唱。こちらでも放送されているんだね。(ドラエもんは見たけど。あとMIBのアニメを初めて見た)

フィゲラス駅まであと少しというところで、車掌さんらしきおじさんが私に話し掛けてきた。キレイな英語なんだけど、こっちがボキャブラリー不足なので理解できない。しきりに「Yes?」と聞いてくるのだが、内容もわからないのに迂闊に返事もできないでいると、しまいに「お願いだからイエスと言ってくれ!」ときた(笑)。それでも埒があかない私に、ついに紙と鉛筆を取り出したおじさん。どうやら私の似顔絵を描いてあげようと言っているらしい。そうか!それならそうと言ってくれないと!!(言ってたんだろうな)

電車はとっくに駅へ着いていたが、「あと1分だけ待って!」というおじさん。ようやく描き終わり私にくれると恥ずかしそうに「アディオス!」と言って足早に立ち去ろうとする。可愛いおっちゃんだ。引き止めて名前を書いて!というと住所まで書いてくれた(笑)。お礼に日本から絵ハガキを送るよ!

ダリ美術館へは駅から矢印が続いているので行きやすい。大きな玉子が乗っかった派手な建物がそれである。裏に回ると入り口があり、すでに人がたくさん並んでいる。話によるとプラドより混んでいるらしい。中はフラッシュなしの撮影可。いろんな絵やわけのわからんものが展示されていて、確かにプラドより面白いかも知れません。美術館の他に宝飾館もあって、こちらはダリの絵をモチーフにしたジュエリーが展示されている。ギフトショップではレプリカも売られているけど、けっこういい値段だったと思う。yuka・Bさんは、近所の店でダリデザインの時計を購入。

ヴェラスケスの絵に落書き(目玉焼き)をして遊ぶダリさん(右から2番目)

遅めの昼食をカフェでとり、16:02発の電車でバルセロナへ戻る。夕方からはまた買い物。遅くなったのでまたも夕食はデパ地下ですませる。スペインは驚くほどワインが安くて種類も豊富。たくさん買って帰りたかったけど重いので諦め、かわりに少し高価なワイン(つっても¥3000しないけど)を夕食用に買う。ところがこのワインが曲者であった。コルクがもろもろになっていてワインオープナーが噛まないんである。寝かせて保存しとけよこの野郎!と怒鳴ってみてもしょうがない。そして、引いてもダメなら押してみな!とyuka・Jさんがぐぐっとコルクを押し込んだ瞬間、見事にワインは逆流。哀れ、yuka・Jさんのパンツは朱に染まったのでありました。コルクの粉が浮きまくるワインは高いだけあって美味でしたが。(と思わないことにはやってられない)酒の肴に買ったなんちゃってキャビア(2ユーロくらい)はマジで美味しかった!

(左)Quilesという食料品のセレクトショップ。商品がぎちぎちに陳列されていて見るだけでも楽しい。ワインも豊富。

▼9月13日(土)晴 カテドラル カタルーニャ音楽堂

ついにスペインも残すところ今日一日。朝からカテドラルまで歩いて行く。ここもエレベーターで屋根の上に出られる。(2ユーロ。撮影可)。広場を挟んだ斜め向かいのビルの壁にはピカソの壁画があったりする。そこからまた歩いてカタルーニャ音楽堂へ。(7ユーロ。撮影不可)。ここはガイド付きのコースのみで、スペイン語、カタルーニャ語、英語の3種類。どれもわからないことに変わりはないので一番時間が近かったカタルーニャ語のツアーに申し込む。他にも日本人の女の子が二人と韓国人の女性が二人いた。みな気持ちは一緒のはず。1時間ほど待ち時間があったので、近所をぶらぶらと歩き回り、70セント(¥90くらい)のブタの貯金箱を貯蓄好きの母親へお土産として買う。

時間ちょうどにツアー開始。案の定、カタルーニャ語はひとつもわからん。一応聞いているフリをしつつ、きょろきょろと見回す。ツアーと言っても見ることができるのは客席のみで、あとは「カタルーニャ音楽堂の歴史」みたいなのをスクリーンで見るだけ。ちょっと物足りない気がした。

▼グエル邸

グエル邸に向かう途中でボケリア市場に寄る。野菜、果物、肉、魚、と色とりどりの食材がキレイに並んでいるのを見ているだけで楽しい。欲しいものを必要なだけ買えるというのはやっぱりいいね。熱心に写真を撮っているとスキンヘッドに全身タトゥーのマッチョな兄ちゃん二人連れと目が合った。どうも私が写真を撮る間、待っててくれたらしい。「ありがとう」と言うと見た目からは想像もつかないビッグスマイルが返ってきた(笑)。人は見かけによらないな。

(左)お肉屋さん。(中央)チーズ屋さん。(右)生ハム屋さん。蹄まで付いててリアルーーー!!!

グエル邸もガイド付きのツアーのみ。(3ユーロ。屋内は撮影不可。屋上は撮影可。日本語の案内書有り。←なぜかグエイ邸になってる)予約だけして、近くのバルで昼ごはん。

(左)カウンターにずらっと並んだ料理。指差しで注文できる。(右)エスカルゴより小粒のカラコレス。美味しいけどリアルなんだよね〜。角とかさ。

予約券を見せて中に入り、お金を払う。英語とスペイン語両方を話す、小柄で可愛らしいガイドさんに付いて部屋の中を回る。子供の遊び部屋からメイドさんの部屋、書斎、寝室ととにかく広い。やはり金持ちは違う。ガウディデザインのこの建物は最後に上がった屋上が特に面白い。思わず「可愛い!!」と言うとガイド嬢が笑っている。日本人はよくこの感想を漏らすんじゃないか。ツアーはここで終了。5分ほど撮影の時間を貰って解散する。見学料も安いし、オススメ。


▼カンプ・ノウ

時間があったので地下鉄でカンプ・ノウへ行く。ガイドブックでは駅から徒歩5分となっていたが、地上に出ても標識がないので道がわからない。近くにいた家族連れの女の子に聞いてみても「知らん」と一言。あんたも観光客か。どうするべと思っていると、バルセロナ・メガストアの袋を持ったおじいちゃん発見!!すかさず近寄り「カンプ・ノウはどこですか?」と聞くと「とにかくこの道をまーーっすぐ。まーーっすぐ行きなさい」と教えてくれる。そして、目の前にあるバス亭から帰るところだったらしいおじいちゃんは、グラーシアス!と歩き出した我々を再び振り返り、「ここをね。まっすぐ。まーーーーーーっすぐだよ」と念を押してくれた(笑)。よほど頼りないように見えたのか。とにかくいい人だった。

おじいちゃんに言われた通り、ひたすらまっすぐ行くと見えてきましたカンプ・ノウ。ところが厄介なことにカンプ・ノウが二つあるんである。ひとつは第2スタジアムらしいのだが、近づきすぎてどっちがでかいか分からない。「どっちや?どっちが本物や?」と騒ぎ立てながら、「若干、こっちの方がでかいんやないか」と思った方へ勘で進む。まったくバルサファンからはお叱りを受けそうな話である。そうこうするうちに目指す方向から観光バスが出てきたので、こっちで間違いない!と確信。しかし今度はスタジアムへの入り口が分からん。(処置なし)。あちこちに標識は出ているがどれもこれもスペイン語オンリー。せめて英語で書いといてくれよ!!そのうちなんとなく「ミュージアムへは9番ゲートから入れ」と書かれているような気がしないでもない看板を見つけ、そちらへ進むとようやく到着。何が駅から5分なんだ。15分は軽くかかったぞ!!(迷ったからな)

チケット売り場に並んでいると、さすがは世界からファンが集まるカンプ・ノウ。警備員も手馴れたもので、英語で「ピッチと博物館だけなら5ユーロ。それにロッカールームやらプレス・ルームやらを見学するスタジアムツアーが9ユーロだよ。どっちにする?」と聞いてくれた。せっかくなので9ユーロのコースにすると答えると、代わりにチケットまで買ってくれる。親切な男だ。

これまでオールドトラフォードとサンシーロでスタジアムツアーを体験したけれど、いずれもガイド付きだった。しかし、ここカンプ・ノウは違う。ほったらかし。各自、矢印の方向へただ勝手に進むだけである。それはそれで気楽でいいけど。まず向かったのはロッカールーム&シャワールーム。広い。残念ながらベンチに腰掛けることはできなかったけど、写真だけバチバチ撮る。それにしても浴槽が深いんですが。手摺りも何もないし、こんなとこサビオラはどうやって入るんだ?立ち泳ぎか?(失礼な)

(右)この丸いのが風呂。深いよー!!浮輪がいりそう。

その後はプレスルーム。私たち以外はカップルが一組、うしろの方のイスに腰掛けているだけの部屋で、記者になり切って写真を撮るミーハー丸出しの日本人。さんざんはしゃいで出ようとすると、いきなり男性の方が「コンニチハ」と声を掛けてきた。もしかしたら彼らは観光客ではなく、係りの人間だったのかも知れない。そう思うと張り切って手まで挙げていた自分が恥ずかしい。どうか見なかったことに。

ピッチにも出てみる。さすがにデカイ。デカイとしかいいようがないほどデカイ。ベンチに腰掛けて写真を撮ってみる。どうにも天井が低いんだけど(笑)。下から観客席を見上げてみると怖い気がするほどだった。

博物館にも行ってみた。レアルと違い、ここはブロンズの像が多い気がする。どれも同じポーズ(シュートしているような)なのが気になる。トッポジージョもいるよ。

途中で観客席にも出てみる。それにしてもイスが汚いな(笑)。VIP用らしき革張りのシートに腰掛けてみるとピッチが素晴らしくよく見える。この席で試合が見たい。誰か招待してくれんもんか。

一通り見て回った最後は嫌でもメガストアに出るようなコースになっている。品数が多い。全体にレアルと比べてこちらの方がフレンドリーな感じがした。気軽にあちこち見れるし、スタッフも親切。バルサファンでもない自分たちが充分楽しめたくらいだから、ファンにとっちゃまさに楽園。天国のような場所だろうと思う。


▼タイ・ガーデン

ホテルへ戻るとフロントの兄ちゃんが(年齢不詳。強面)電話でなにごとか遣り合っている。どうも今日の予約を入れた入れないで揉めているようで、「明日なら空いているけど、今日はとにかく満室なんだ!」と言っている。その間、鍵を預けようと待っている客は待たされっぱなし。マイペースというかなんというか。

あいかわらず電球が切れたまんまのエレベーターで部屋に戻り、少し休憩した後、最後の晩餐へ出かける。いい加減バルにも飽きていたので、最後の夜はホテル近くのタイ料理の店。その名も「タイ・ガーデン」へ行く。しかし、ガイドブックの地図から微妙にキレたところにあるので場所がわからない。しばらくぐるぐると回ってみても見つけられず、一度ホテルに戻りフロントの兄ちゃんに聞くことにする。すると、電話では埒があかんと思ったのか、先ほどの客らしいのが直接乗り込んできている!!!英語圏からの客らしい彼らの代表の女性は「私は絶対に今日、予約を入れたのよ!!」と息巻いているが、フロントの強面は「入ってない」と頑として譲らない。すっかりあきらめムードの男性陣が「他に空いているホテルを探してくれないか?」と言うと、強面は「とっくに探したよ。でもこのシーズン、バルセロナは観光客で一杯なんだ。どこも空いてなかった」と答えている。それに対して「ホントに探したの?」と噛み付く女。凄い。よくぞこんな強面相手にそこまで粘れるもんだ。(しかしアレだな。ふだんは全然ヒアリングできないというのに、こういう場面では英語がスラスラ耳に入るじゃないか私ってやつは)

睨み合った両者の間に割って入り、「タイ・ガーデンはどこですか?」と聞く勇気は持ち合わせていなかった。そこで、端っこで固唾を飲んで見守っている見習いらしい兄ちゃんを捕まえ聞いてみる。が、これが一向に通じないんである。だいたいにおいて通じにくい私の英語であるが、ここまで通じなかったことはない。凹むじゃないか。

ようやく諦めて帰った客を見送った強面に恐る恐る声を掛けると、一瞬、あん?という顔をされたが、「ああ、タイガーデンね。ちょっと待って」とささっと調べて教えてくれる。しかし、「二つ先の通りを左に曲がった角にあるよ」と言いつつ、腕は右を指している。どっちやねん?と思ったがつっこめなかった。とりあえず「角にあるんだよね」と念を押すと、「そうだよ」とニヤリと微笑む。怖いがな。半信半疑で行ってみると、やはり店は右側にあった(笑)。中に入ると思っていた以上にちゃんとしたレストランで客もけっこう入っている。案内の男性に英語のメニューを貰い適当に頼んでみたが、これがどれもこれも美味しい!!!素材で勝負のタパスも美味しいけれど、やはり食はアジアというか味の深みが違う。特にココナッツミルクの効いたエビカレーが美味くて!!「おいしいねー!」とビール片手にガツガツ食う私とyuka・Jさん。それに比べいつもの元気がないyuka・Bさん。どうも風邪を引いたようである。

食べ終わったのが23:00前くらいだったと思うけど、店はちょうどその頃ピークを迎えていたようで、入り口に人が大勢いた。人気店のようである。どうりで「予約してますか?」と聞かれたわけですな。お値段もそんなに高くないし、ここはオススメ。 ホテルに戻り例の強面に翌日のタクシーの手配をお願いする。なんと朝の4時にチェックアウトせねばいかんのだ。ふんふんと言いながら予定表の欄外(さすがにそんなに早く帰る客はいない模様)にメモする強面。顔は怖いが仕事はちゃんとやってくれるようである。(しかもちゃんと部屋番号を覚えていたようだし。)


▼帰国準備

部屋で恒例の買ったモノの撮影会を催す。寒いを連発して死んでいるyuka・Bさんはほっといて、yuka・Jさんと二人でせっせと品物を並べる。yuka・Bさんのも勝手に出す。今回はあまり買い物してないように思ったけど、並べてみるとけっこうあった。(といってもいわゆるブランド品ってのはひとつもないけど)

撮影会を済ませ手早く風呂に入る。出てくるとyuka・Bさんも起きて荷造りをしていた。続いてyuka・Jさんが風呂に入っている間に自分も荷造りする。靴二足がかさばるのでイライラ。私のスーツケースは小さいのだ。結局、ブタの貯金箱と共に手荷物にする。 遅くても朝というか夜中の3:30には起きねばならないので、服を着たままTVを見る。しかし、「私は寝ーへんで!」と言っていたyuka・Bさんがいの一番に眠りこけたのを機に、いつのまにか3人とも寝ていたようで、私がハっと目覚めたのが3:20。ここでまた目をつぶろうものなら確実に寝過ごすと思い、肘をついてTVを見ることにしたが頭がどうやっても前後左右にぐらぐらする。そこで思い切って顔を洗い起きることにした。他の二人は微動だにせず眠っている(笑)。3:45になり、二人を起こす。完全に死んでいる。



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