彼らは、彼らの仲間のうちでも、最も心の美しい種族である。
彼らの仲間がそうしたように、彼らは海へ出ることはない。
彼らはすでに、この世界が幸せであることを知っているのだ。
彼らのことを、最も神に近い存在だという人もいる。
彼らは次の世には天界へ行くのだと、村の故老は語ってくれた。
空を映した、青い水面に浮んでは消える彼らを見ていると、
私も「あるいは、そうかも知れぬ」と思ったりしたものだ。
イルカ伝説 第9章・聖水域