―オリジナルアルバム、上編―




はじめての氷室京介、其のニ

ここはベストアルバムを聴いて「オリジナルアルバムも聴いてみたい」と思ってる方や、「ベストアルバムぐれいじゃ俺を納得させるこたあできねえぜい」と格好つけてる音楽通な方向けのところです。ベストアルバムでは掴み取れない、氷室さんらしさが特にでているオリジナルアルバムを今回は紹介していきたいと思います。


アルバムはそれぞれに良さがあるので、どれが一番というのは言えませんが、はじめて聴く人に紹介するのが今回のテーマなので、「これだけは聴け」というものをシンド的に選びました。比較的多くの人に受け入れられてるものや、ファンの中で好まれてるもの、またはライブでよく演奏されてるものを中心にまとめてみました。

  • FLOWERS for ALGERNON
  • MISSING PIECE
  • I・DE・A
  • MELLOW
  • FOLLOW THE WIND
ファンの方から見れば異論もあるでしょうけど、とりあえずこれらのアルバムを紹介したいと思います。


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FLOWERS for ALGERNON  (88/09/01発売)

・・・「名曲は色あせない」、このアルバムにもその言葉が当てはまるのではないだろうか。氷室京介の1stアルバムであるこれは、詞・曲・構成全てが非常にずば抜けている。ロックあり、ポップあり、バラードありと多様なジャンルの曲が楽しめる上に、氷室京介自身の哲学が歌詞になっているのである。「ANGEL」「DEAR ALGERNON」「STRANGER」がそうだ。

少しだけ聴いてみれば、1988年に発売されただけあって音質が古いと印象を受けてしまうだろう。そこは否めない。だが曲をしっかり聴いてみれば、彼の音楽性がいかに深いものであるかわかると思う。人によっては洋楽のような感触を抱くだろう。多様な曲を歌えるボーカリストとして稀有な才能を持つことがよくわかる。是非とも聴いて欲しいアルバムである・・・。

とまあ、雑誌風に評論してみましたが如何でしたか。このアルバムは名曲が結構ありまして、最近のライブでもよく演奏されてます。曲も多様ですし、バランスも良く仕上がってるので、氷室さんを聴くならこれは外せません。確かに古いアルバムですけど、彼がどういう事をやっているか一番良くわかるものだと思います。ちなみにこの頃の彼の声はハスキーなので、それが好きな方には良いかも。



MISSING PIECE  (96/09/30発売)

最初と最後らへんを除けば、バラード中心なアルバムです。「魂を抱いてくれ」「WALTZ」はファンの中でも人気がありますし、名前くらいはご存知の方もいらっしゃるでしょう。その他のバラードもなかなかです。ピアノとギターの絡ませ方がオシャレに仕上げてあり、聴いてて楽しめるものであると思います。

実はこのアルバムは9枚目なんですけど、他のさしおいていきなりこれを紹介したのは、比較的聴きやすいからです。他にも沢山アルバムがありますけど、少々マニアックなので初心者には聴きにくいのじゃないかなあと思ったので控えました。それらについては、次のページにて改めて紹介しますので、そちらもよければみてやってくださいませ。



I・DE・A  (97/10/12発売)

氷室さんの歴史の中で転機となったアルバムといえばこれです。サポートとしてあのギタリスト、スティーヴ・スティーブンスを入れました。サウンド面においては大幅に強化され、力強いアメリカンロックが色濃く見えるものとして出来上がりました。作曲面でもスティーヴも参加し、ある意味ロックバンドとしての雰囲気もあるように思われます。

「NATIVE STRANGER」「LOST WEEKEND」では激しいリフを聴かせたと思いきや、「HEAT」ではポップなギターになっております。またそういうロックばかりでなく、「FLOWER DIMENSION」「堕天使」における音楽性の高さも見せられます。少なくとも、日本における既存のアーティストでは真似することはできないでしょう。

特筆すべきはやはり氷室さんの声です。スティーヴの音に殺される事無く上手く調和させながら、その中できちんと存在を主張してますね。以上のようにこれは、「ロックは生きてるぜ!」といわんばかりの内容がつまったアルバムです。



MELLOW   (00/02/23発売)

「永遠」「 Still The One」をはじめとするロックバラードが中心になっております。私なりに言わせて頂ければ「一音一音に重みがある」と感じられる一品です。激しい曲こそは収録されてませんが、ゆったりとした曲調の中で綺麗なメロディーが奏でられております。アコースティックギター中心なのが良いです。

特に「So Far So Close」は氷室さんの声に注目して欲しいです。サビや裏声の部分は、デジタルで処理されたとは思えない程かなりくるものがあります。ここらへんは氷室さんの声の真骨頂ですな。このアルバムは前作「I・DE・A」とは相対した内容になっており、非常に完成度の高いしっとりしたものになっております。一般的に有名な曲は「ダイヤモンド・ダスト」位でしょうが、聴くに値するものだと思います。



FOLLOW THE WIND   (03/08/20発売)

このアルバムの特徴は、氷室さんがラップ・ヒップホップを取り入れてた点がですね。最近の流行にあわせて作ったのかどうかはわかりませんが、とにかく彼流なアレンジでやっております。「VIRUS」「LOVE SHAKER」ではそれが見られますし、ポップな作りの「FOLLOW THE WIND」やお家芸「Claudia」といった氷室さんの良さが出てる曲が濃縮されております。

サウンドもかなり質が高いものですし、ノリがファンキー気味なので、十代から二十代の比較的若い人たちに受け入れやすいのではないかと思います。ただ、このアルバムからCCCD(コピーコントロールCD)が導入されおりますので、レンタルしてCD焼く方はご注意を。他のアルバムはそうじゃないのですけどネ。


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以上より、ここでオリジナルアルバムについてまとめてみますと、
  • 氷室さんの原点が知りたい人⇒FLOWERS for ALGERNON
  • サクサクっとバラード聴きたい人⇒MISSING PIECE
  • アメリカンロック好きな人⇒I・DE・A
  • 音重視の人⇒MELLOW
  • ラップ・HH系が好きな人⇒FOLLOW THE WIND
といった感じになっております。この中から貴方好みのものを選んで下さいませ。私ならば、甲乙つけがたいのですが、「I・DE・A」と「MELLOW」のセットで聴く事をお勧めします。何度も言いますが、これらは対称的なのでどちらが良いと決めれないのですよ。なので一緒に聴いてみれば良いかと思います。


さ、如何でしたか。とりあえず氷室さんの曲を聴いてみようかと思う人は参考になったでしょうか。「これだけは聴け!」と言ったわりには、5枚も挙げるのはどうかと思いますが・・・。まあそれでも氷室さんの良さが出ているものを選んだつもりなので、是非中古やレンタルで一度これらを手にとってみてくださいな。それでは「オリジナルアルバム、下編」に続きます。