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Message From Tokuda


  冬になり当たりを連続して読む Date: 2005-12-19 (Mon) 
11月以降、なかなか連続しておもろい本に当たりました。

あとなんか心体がいいあんばいで、早く読めるのがいい。好調なり。


まず、『UNKNOWN』のシリーズ続編、『未完成』。
この作者はすっかり、ヘビィな戦記物を書く人みたいになってるが、
この内部調査室シリーズ、軽妙で芯もあって、ファンは多いんじゃないかな。
もうしばらく書く気配が途絶えてますが、俺はまた出たら読む。

続いてなぜか小林多喜二の伝記を読んだ。
読み進めると、なんか本人の日記かのような詳細な内容が続いたので、
「ここまで詳細だと、もしかして……」
の予想通り、最後の拷問死の箇所は凄かった。。。

実はあまりの凄惨さに読み飛ばした。

特高の連中は最初から多喜二を殺すつもりで連行してたのだが、
その拷問班の連中が実名で記載されておるせいで、迫力は数倍増。

いつも思うのだが、特高に所属していた人達ってのは、戦後、なんの職に就いたのだろう?
そのまま警察に流れたのでしょうかね?

ま、しかし、多喜二その時30歳。
成年男子としてもっとも健康な時期。
だけに、拷問死というのはさぞ破壊的な暴力がその体に為されたのだろうとは思ってたけど、
まぁ久々に、途中で本閉じちゃったよ。。。

なんつーか、「戦争の是非」というより、
人間はここまでやれるのか…って話だよね。
多喜二尋問チームの人らも、この時だって家に帰れば普通のお父さんだったりしたんだろうし。
子供に「今日学校どうだった」とか、妻の尻にひかれてたり…とかさ。
さわやかに朝行ってきますと振った手には、数時間後木刀とか極太の畳針が握られてると。
そんで、彼らは俺や君のおじいちゃんだったかもしれない、んだよね。

多喜二達を密告したスパイに関しても詳細に記してあった。
つまり特高の抱えてたスパイ組織、について。
この密告者は完全なプロで、名前は分かってるが間違いなく偽名とのこと。
多喜二の死後、当然仲間が探しまわったそうだけど、姿を見た者はいないそうだ。


気を取り直して、『ロンド』。
現役の版画家だかの美術家が作家デビューした一作。
もちろん、エキセントリックな画家による謎の絵、についてのミステリー。
探偵役は市立美術館の学芸員だ。

美術界の様子がとーぜんリアルでおもしろし。
犯人は読者にさらされるのだが、意外とそこからが長い。


続いて予告通り、フランスの本格ミステリ『第四の扉』を読んだ。
<フランスのカー>のキャッチコピー通りで最高。
作者も、フェル博士ものとして書いた(けど、許可が下りなかった)などと言ってるくらい。
テンポが早く「怪しいやつが死んでいく」という黄金パターンもキメていて、
とどめの怪奇趣味。
トリックは、国内のとある新本格とまったく同じものだったが、これはもちろんどちらにとっても偶然だろう。


ここで気分をかえまして、『ノルウェイの森』。
これで、10代、20代、30代と3回読んだことになる。
やっぱおもしれーというのが正直な感想。
そしてやはり『螢』のパートの存在感は相当なものだった。
あそこは面白いよね。
ところで『セカチュー』も読んだが、『ノルウェイの森』の2行分の価値しかなかった。
伝統のヒロイン爆死ものなわけだが、『ノルウェイ』や『風立ちぬ』にまったく遠く及ばない。
タイトルがもはや孫引きなのも笑わせるよね。
『ノルウェイの森』というとなんだかバブリーなイメージがあるが、単純におもろいっすからぜひおすすめ。
古本屋でハードカバー美品上下セットで¥200で手に入ります。


さてもいっちょ予告通り、北森鴻の、
『触神仏』。
シリーズ物の第2弾だが、これはたいへん素晴らしかった。
連作短編集で、キャラもの…とも言えるのだが、なにしろ内容自体が切れ味よい。
民俗学ネタですし、京極夏彦や「トリック」などお好きな方は手に取るとよいと思います。

続けてシリーズ第1弾の『凶笑面』。
こっちはもうひとつ。でもそれは『触神仏』に比べて、ということ。
今年の夏に出た第3弾は絶対読むぜー。

さらに勢いに乗って、
『狐闇』。
これは違うキャラのシリーズ物第1弾。
こっちは古美術鑑定もの。
贋作ネタだが、本格と見事両立させたひねりのきいたエンタメ。
コンゲームもの、最近読みてえなぁと思ってたところだった。

『ギャラリーフェイク』がお好きな方ならご飯3杯はいけるでしょう。
あっちはメトロポリタンの元キュレイターだが、
こちらに出てくるのは、大英博物館ケミカルラボ主任。
これもシリーズ3弾までいってるので、あとふたつあると思うと、まっこと嬉しい。


北森鴻2作、すぐにでも手を出したいのだが、
まずは『生首に聞いてみろ』と『葉桜の季節に君を想うということ』を読んでから!






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