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          2003年12月28日  建築あそび記録 
          菅野裕子 さんによる  建築と音楽
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このスライドが付加的に作られたバラ窓の様式図です。 二つ書いてあるのですが、ロマネスクの時代のバラ窓というのは 大体この二種類の系統に分類できて、一つのものは上のように、全体が花びら型になっていてAとBから出来ている。

もう一つのものが下にある。 花びらではないけれども、真ん中に中心○があって 廻りにも○があって、それが構成しているというものです。

これらの共通点というのは何かというと、一つ一つの模様が完結してた形・・完結した形をこの中に構成することによって絵が出来ている。それを私は付加的と言っていました



 
これが実際の例です。これがその後ゴシック時代の、シャルトルとランという二つの大聖堂ですが、これ一つ一つがこういう綺麗な○とか花びら型の形が組み合わせることによって全体のバラ窓が構成されているというものです。





あ・・まいいや・・ダンダン時代が・・今のこれはシャルトルだからさっきのと同じで細かく見るとこういう風になっています






 

これはパリのノートルダム大聖堂のスケッチですけども、段々時代が後になると 基本的には構成は同じなんですけど、そのパーツの中を細かく分割されて行くようになります。






 これはパリのノートル・ダム大聖堂のスケッチですけれども、段々時代が後になると 基本的には構成は同じなんですけど、そのパーツの中が細かく分割されて行くようになります









 会場 なんか動かないねー・・
s:それ一寸曲がっている、スライドを押す棒が曲がっているんですよ
会場 笑い・・スライド進行がパチパチスムーズに行かない 

これは随分後の時代のもので、基本的な構成は花びら型でもあるのですが、一つ一つまとまりのある形ではなくて、まず最初にこういう形を作って、次に内部をドンドン分割することに出来てきた形であって、一つ一つなんだろう・・最初の○とは違って完結した形ではなくて、全体がまとまることによって一つの綺麗な形になるというようなものになっているとおもいます。

●スライド
sスライド行かないなー・・会場笑い・・最後すこし押してください(笑い

 これがサント・シャペルなんですけど、さっきと同じように細かく分割されています。


これが分割的に作られたバラ窓の模式図ということで、これはシャルトルの形をそもままトレースしたものなんですけど、この中を構成している部分というのは 、例えばCだとかDだとかを見ると、これ一つでは完結した形ではなくて、この○のなかを、例えば最初に○を書いて、その後でこういう形を作ってというように、分割的に作られることによって出来た形だと言えると思います。

最初にみた付加的に作られたバラ窓の模式図を見ると、図と地というのがハッキリしていて○のところが図でそれ以外の空白の所が地だということになるんですが、これは図と地がハッキリしなくて全部が広がっていて、一つ一つだと ちゃんとした形ではないです。このようなものは分割的に作られたバラ窓といえるのではないかと考えました。

●スライド
 今のはバラ窓の話なので・・次が柱・・柱は長くなりますので今日は省略します。

ロマネスクの柱は最初一本の柱だったが、その周辺に付け柱が付けれられて、付加されて行って、そのうちこのような束ね柱になっていった過程があるのですが、それも付加的から分割的といえるのではないかと、そのとき考えました。






●スライド
 


ここから先は実際の建築空間がどう構成されているかなんですけれども、最初は一つ一つのべイを付加することによって出来ていった建築の教会の空間なのですけども、基本的な形がこうだとすると・・




●スライド

・・会場スライドがなかなか送られていかないので笑う・・

 
その後の時代になると、上の所に細かい模様が出来ています。これは先のものは一つ一つのベイが付加されていくことによって出来ていったののに対して、こんどはその一つ一つのベイの間を細かく分割することによって・・・装飾を増やしていったり・・

        画面のピントがブレ出す・

s・田中さん遊ばないでください
t 済みませんなんか無意識のうちにさわっていました

s合いの手入れよう・・・先が曲がっているので・・スライド送りにくいねー・・

●スライド
 

ここから音楽の話なんですけど。これは中世のグレゴリオ聖歌を現代の楽譜にしたものです。これはモノフォニーといって単旋律の聖歌でした。単旋律というのはこの楽譜の通り旋律が一つしかなくて、全員でこの同じ歌を歌うというものです









 その頃の作曲技法としてどういうモノがあったかというと幾つか旋律のパターンがあって、それをこういうふうに順番に合わせることによって音楽全体を構成するという方法がありました。
そしてこのような手法について、さっきの建築と同じように、付加的に旋律を組み合わせているから、付加的な作曲手法というふうに考えました。

それに対してポリフォニーという複数の旋律で音楽が形成されるものがその後の時代に始まるんですが・・9世紀ぐらいから始まるんですが、

そのなかでも 単旋律の旋律の3度離れた新しい旋律を付加してコーラスをするというのが一番古い記録として残っています。

12世紀ぐらいになると、たとえばこれがサン・マルシャルという楽派による音楽なんですが、これは元々の単旋律の基本となるメロデーがあって、そこの歌詞には・・キリスト教の・・いろんな言葉が付いてくるわけですが・・その旋律の一つ一つの音を8個とか10個とか細かく分割することによって新しい旋律を付加して作曲する方法や、あるいは最初あったグレゴリオ聖歌の基本的な旋律の上に細かい装飾的なものを付けることによって作曲するということが始まりました。

最初はこういう二声だったんですがその後ノートル・ダム楽派によると三声、四声というふうにいくつかの、複数の旋律のモノが増えきます。そうすると・・サン・マルシャルでは大体一つから8つ程度の音が分割されるというものだったんですが

12世紀中頃から栄えたノートル・ダム楽派だと一つの音が最大で50音づつぐらいに分割され、さらにその後ペロタンというノートル・ダム楽派の有名な作曲家の作品だと、一つの音が100程度の音に分割されて、そうすると元々のこのグレゴリオ聖歌の曲というのがあまりにも長く引き延ばされてしまって、もう形を成さないぐらいになっているんですが、そういう曲を作っていました。


 
これがレオナンという人の曲なんですが、これもヴィデルントっていう一言なんですがその音がこれだけ細かく分かれてしまっている というものです。


●スライド
 これ一寸見づらいのですが、これもヴィデルントとなっていてそれを本当に細かく分割して、元々の音が全然分からないぐらいになっているんですが、そういうモノを分割的な作曲手法なんじゃないかと考えました。





●スライド
 さっきまでのは曲がどういう風に作られているかということ。旋律の組み合わせの問題たっだたんですが、さらにリズムについて考えてみると。

単旋律のモノフォニーの音について考えてみると、複数の人間でたとえ歌うとしても一つの旋律だから・・いまだったら4分音符、8分音符いろいろ長さがあるけれど・・ここでは一つの旋律の一つの音符の長さがをあんまりハッキリ決めなくても・・まぁあんまり問題はなかったので、その頃の楽譜にはハッキリと音符の長さを決める印は有りませんでした

それに比べて複数の旋律を一緒に歌うと ある程度時間的長さが一致していないと、ズレテいってしまうので、それをどうするかという問題がここで初めて発生しました。

このころはどういう風にやっていたかというと、たとえばここに第一モード第二モードとありますけれども、6個のパターンのリズムの形というモノを作って、全てがこれの中の組み合わせというふうになっています。

 最初の旋律の4つの音がこれで、次はこれでとか・・それは好きなようにやっていいのですけども、あらゆるリズムはこの6個のなかのいずれかになるということになっています。

で一寸この図だと分かり難いのですが、これは私達が普通見る楽譜と同じように書いてあるんですが、中世にはどうやって書いていたかというと 4分音符、8分音符とかではなくてロンガプレヴィスとい二種類の音符しかなかったんですね。

これで言うとこれがロンガでこれがプレヴィスで交互に来ることによって、二対一の割合の音になります。

例えば第四モードを見てもらうとこれは8分音符、4分音符、付点4分音符となっていますが、このように今の楽譜で書くと3種類の音の長さが書いてあるんですが、実際にその当時は長と短のロンガとプレヴィスという二種類の音符しかなくて、どう書かれていたかというと、このブレヴィスという短いものが二つとロンガという長いものが一つだったわけです。

これはロンガとプレヴィスが二対一の割合で割り振っているのに、ここでは一寸分かりにくいかもしれませんが、ブレヴィス・ブレヴィス・ロンガと来るのに一対二対三になって、一対一対三とか一対一対二ではないんですね。

それはどいうことかと言うと、これはただ ロンガとプレヴィスという二つの音符があってそれを付加していったモノでは無くて、基本として全体で6に成るという規則があって、それをまず分割するところから来ています。

それはギリシャ以来の韻律とも関係があるんですが、さらにいうと三という数は三位一体という数と関係させて、聖なる数という考えかたがあったので、足して 三になるというのが重要で。その三+三の六というリズムの形を分割することによって、このリズムが出来ているというふうになっています

でこれを分割的リズムという考えたのですが、結局建築と音楽をまとめると、ロマネスクの時代には建築と音楽は両方とも付加的に部分が作られていたんですが、ゴシックになると分割的に作られて来たと考えられます

音楽のリズムと建築の空間の構成を考えてもロマネスクのころは一つ一つのベイを付加することによって出来ていたのですが、それがゴシックのなかにはその付加された空間の構造はそままにその中が分割されていったし・・

ゴシックの音楽も色んなリズム形を付加することによって全体が出来ているんですが、そのパーツの中を分割することにって細かい部分が出来ているということが類似しているんではなかという事を卒業論文の時にやりました


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