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          2003年12月28日  建築あそび記録 
          菅野裕子 さんによる  建築と音楽
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ここからルネサンスとバロックの話になるんですけど、これはフィレンツェ大聖堂の平面図です。これはゴシックの時代から平面図の計画が出来ていたので、平面図自体は非常にゴシック的なものを残しているものなんですが、こういうラテン十字と呼ばれる、ここが短くてここまでが長い十字架のものがこの時代の教会の平面の一般的なものでした。




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それに対してこれはサンガッロの設計したサンタ・マリア・デッレ・カルチェリ教会の平面図ですが、15世紀以降になるとキリスト教の教会の建築は集中式というように縦と横の長さが長と短とで違うのではなくて、同じ長さの点対称の平面が推奨されるようになりました。
これがギリシャ十字というものです





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円形の平面もよく好まれて作られていました。これが有名な15世紀に書かれた理想都市の絵なんです。アルベルティは建築論で 教会が建てられる時の理想の条件として、美しい広場の中心に位置して、回りに何もなくて・・そういうモノが理想だということを書いているんですけど、これもその理想の一つを絵に描いたものだと考えられます。丸い完結した建物が広場の中心に有って、廻りとは孤立してこれで完璧な一つの形であるというものがその当時の人達の理想の形でした・・次お願いします

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テンピエットの図面ですが当時の人から、ローマ時代の建築に匹敵するような傑作と言われていたんですが、平面図でも丸くて廻りとは関係ない一つの独立した完全な形として表現されています。








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これはレオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチなんですが、このスケッチでも教会の形が、四角に半円を付けてこれだけで綺麗な形というか完結な形で、さらにこれを見るとその一つ一つの完結な形が全体で正方形があって半円が4付いているんですが
、この中にも実は正方形があって半円が4付いているという形で、・・このように一つ一つが形が完全でかつそれを付加することによって全体が出来ているという・・そういうものが理想と考えられていました。その一つ一つという形はお互いに貫入することが無くて独立して存在するといえます


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これはアルベルティのマントヴァにあるサン・セバスティアーノですけど、これもその一つだと考えてます。この平面図で正方形に丸を付けると、外壁でどういうふうな形になるかと考えると、外壁は直線か曲線なんですが、その曲線というのは必ず外側の出っ張っている円弧ということになります





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これは16世紀にできたヴァチカン宮殿ベルヴェデーレなんです。このころになると外壁が外側に出っ張るんじゃなくて内側に凹んだ曲面の外壁というものが現れます








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これも同じ1555年ぐらいなんですが、ヴィラ・ジュリアという建物で・・中庭に面しているところなんですが、このように内側に凹んだ外壁というものが現れます。この内側に凹んだ空間というのがなにかというと、中庭がこの建築に侵入しているような形に成っているとおもいます。




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これはヴィラ・ジュリアの平面図なんですがこういう内側に凹んだ曲面を持つ平面がでてきます








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これも同じくヴィラ・ジュリアのもう一つの中庭なのですが、ここに丸いカーブの曲面がでてきます。








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さっきまでの例というのは中庭に面した所に出てきた内側に凹んだ外壁だったんですが、ここから先は中庭ではないところに凹んだ曲面が出てきたという例で、これはボッロミーニの建築の一部にそういう面が出てきている例です




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 これはフィリッピーニ時計塔です。下は普通の形なんですが、一寸ここが凹んでいて、この塔の所も円柱がもとともあるのにここをえぐったような形になっています。








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これはサンティーヴォ・アッラ・サピエンツァですけれども、この外側は四角なんですが、ここに中庭があって、ここが凹んでいます







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これは内部です








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中庭のところ、こう凹んでいるんですが、さらに上を見ると、円柱があった所をえぐり取った形をしていて、完全ではなく 断片のような形 をしています






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これは別のボッロミーニの作品の・・さっきの塔の部分と同じような部分なんですが、これも最初こういう丸があった所をえぐったような形をしていています。つまりルネサンスの頃にあったようなそれだけで完結した、自立した形ではなくて あるこういう形からえぐられた部分のような不完全な形に見えると考えました






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これはサンタニエーゼ聖堂ですがここにも広場の前にえぐられた曲面が見えます









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これがその平面図です







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これも同じ所です








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オラトリオ会の建物ですけれどもここがえぐれています








・・スライド入れ替えちゅう・・こっちでいいのかなー・はい・・
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これもおなじく外側がえぐられたような曲面です










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そういうものはどういう風に図面に書かれていたかというと、されが先ほどの建物の平面なんですが、えぐった曲面を書くために円の中心がこちら(外部)にあるので、あたかもこちら(外部)に完全な円があって、こっちが(外部)が図で こっち(内部)が地のように見えると思います




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これも同じ建物のスケッチなんですけれども、ここにコンパスの線が見えて外側に完全な形を想定しているように見えます






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これもおなじくボッロミーニの建物ですけれど、こういう曲面が見えます。









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これもいまの建物です。はじめはこういう風に最初は中庭とか、広場に面した所にこうい曲面が出て来たんですけが、そうのうちダンダン普通の外部のところにもこういう曲面が出てきました。





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ありゃ・・つぎお願いします










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これももうすこしあとの時代のグァリーニの建築なんですが、ここもこういう風にえぐられた形をしています。






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これも今の平面図です








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これを見上げるとこういうふうにえぐられているというのが分かると思います






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これはグァリーニの別の建築でフェリッポ・ネーリという建物の平面図なんですがこのところをみると凄く変な形をしているんですが・・










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これはシュルツという人が補助線を書いたダイアグラムなんですけどもこういうモノを組み合わせて考えると、こういう均質なというか、こういう広がっている空間の有る一部分が建築であってそれ以外のところは外部であるわけですが、それ全体をまとめると一つの完全な形なんですけども、建築だけ見ると不完全な断片にみえるような形として設計をしているということが言えると思います。



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これも広場では無いところに面してこういうものが出来ているというものです









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これはいまの見上げです







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これもローマにある広場なんですが、・・広場がこの建物がえぐられているんですけどもいくつかの建物が、ここにあって下から見上げるとキット曲線がつながっているように見えるんですね








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こうしてみるとここが建物の所なんですが、建物は断片でここに仮想の楕円というか完全な綺麗な形があって、これが図と地でいうと図の部分のようにも見えてそれで実際の物質があるところは背景のように設計されています




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これはさっきのヴィラ・ジュリアの中庭なんですが、初期のころに出てきた外側に凹んだ曲面というのは中庭に面したものが多かったのですが・・






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ヴィラ・ジュリアの外観というのはこういう形で、外からみると完全な綺麗な形でした






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さっきのサンティーヴォですけれども中庭の所なので、この凹んだ曲面というのが中庭の空間を包んでいるということが、なんとなく見た人に伝わるという形に成っています。




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これも広場なので広場にこういうふうな空間が有るというふうに考えることができます











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