第一章 第二話     暗闇の中   (投稿者:大阪府 S.T.さん)

 友人4人と居酒屋に飲みに行った時の話です。
 私達は小学生の頃からの友人で、とても仲が良く、たまにこうして、4人、集まって
 いつもの居酒屋で飲んでいる事があるのです。
 その日も、いつもと変わらず、くだらない話題で盛り上がっていましたが、
 時間も夜中3時にもなると、客は私達と3人組の男連中だけとなり、皆、完全に
 出来上がっておりました。 暫くすると、3人組の客も、帰り、とうとう、
 私達だけになってしまい、店の主人も、なにやら、後片付けを始めている様子です。 
 私達も時間が時間なので、お開きにし勘定を済ませ、店を出る事にしました。
 他の3人は、家も近くで歩いてきていましたが、私は方向も逆で少し距離もあり、
 自転車で来ていたので、皆に別れを告げ、一人、自転車に乗って走り出しました。 
 暫く走って国道に出てみると、救急車とパトカー数台が止まっているのに気付きましたが、
 どうせ事故だろうと気にも止めず、救急車の横を通り過ぎようとした瞬間、見るつもりは全く
 なかったのですが、無意識のうちに担架に乗せられている男性の顔が視界に入り、
 「あっ!」と驚きました。 さっき、居酒屋で飲んでいた連中の一人なのです。
 飲酒運転での単独事故かなと推測しながら、横を通り過ぎようとすると、急に背筋に
 冷たいものが走り、誰かが自分を見ているような視線を感じ、ふと担架の方を見たのです。 
 そこには、担架の上で横たわっているはずの男性が、担架の横に立って、こちらを恨めしそうに、
 じっと、見つめているのです。 すぐに、担架に視線を落とすと、確かにその男性は、
 横になっています。 私は怖くなり、逃げるように、自転車のスピードを上げたのですが、
 バランスをくずし電信柱に激突して転んでしまいました。
 それを見ていた警察官がすぐに、駆け寄ってきて、「おい! 大丈夫か!」と、話かけてきます。 
 私は自力で起き上がりましたが、頭を打ったのか、激痛が走り、手で押さえてみると、
 べっとりと、血が流れていました。
 私は、一刻も早く、この場から、逃げ出したく、「大丈夫です。」と言って、
 立ち去ろうとしたのですが、救急隊員が、「これは、出血がひどいようですね。
 病院で見てもらった方がいいですよ。」と言うと、嫌がる私の腕を警察官が強引に掴み、
 救急車に担ぎこみました。 すぐにドアは閉められ、救急車は走り出し、私は椅子に座らされ、
 頭の傷を手で押さえていましたが、私の横にはピクリとも動かない男性が横たわっており、
 恐ろしくて、一人、ガタガタ、震えていると私の目の前にいつの間にか、誰か立っているのです。
 誰だろうと視線を上げていくと・・・横で亡くなっているはずの男性が青白い顔で、
 私を見下ろしているのです。 私は余りにも恐ろしくて声にも出せず・・・
 そのまま、気を失ってしまいました。

 次に気付いたのは、その日の夕方近くでした。
 結局、私は頭に3針を縫う怪我をしてしまいました。
 たまたま、同じ居酒屋で飲んでいた私を、あの男性は道連れにしようとしたのでしょうか・・・