第四章 第三話  アベック幽霊の恐怖 (投稿者:愛知県 K.T.さん)

 私が20歳の頃、友人達4人で海へキャンプへ行った時の話です。
 私達は思い切り、騒ぎたかったので、他の人の迷惑にならないよう、出来るだけ、人のいない所で
 テントを張る事にしたのです。 昼間は海水浴で盛り上がってた浜辺も夜には、すっかり、
 ひとっこ一人、いなくなって、波の音だけが聞こえてきます。 夜の海を見ていると、
 なんとなく、闇に引きづり込まれそうな、そんな恐怖感もありますが、私達は持ってきた花火で、
 とても盛り上がっていました。 もう花火も終わりに近付いた時、私は暗闇の中で人の気配がし、
 ふと、振り返りました。 そこには、若いカップルが立っており、二人とも、青白い顔でこちらを
 じっと、見つめているのです。 私は、「うわぁ!」と、悲鳴を上げ、後ずさりし、友人にも
 見るように言いましたが、友人達には見えない様子で私がふざけているのだと思い、相手にも
 されません。 私は恐怖で震えていましたが、暫くすると、すぅーと消えていなくなりました。
 花火が終わると、皆、昼間の疲れがでたのか、それぞれ、眠りにつき、私一人だけが、
 先程の恐怖感が尾を引いているのか、なかなか寝つけずに、何度も寝返りをうっていました。
 仰向けになり、目をつぶっていると、誰かが、私を見ているような視線を感じて、ゆっくりと
 目を開けました・・・先程のカップルが、私の顔を覗き込んでいたのです。
 私は叫び声をあげようとしたのですが、声も出ず、体も金縛りで動かないのです。
 心臓の音だけが異常に大きく聞こえ、動悸が激しくなっているのが、分かりました。
 私は、怖くて、どうしうもなく、目を閉じましたが、まぶたにこびりついた二人の寂し気な
 青白い顔が離れようとしません。 必死に心の中で、早く消えてくれるように、
 一心に念じましたが、消えては、くれません。 二人は私の目の前で、ぼそぼそ、
 会話をしているようなのです。「こいつか?」、「わかんないけど・・・
 似てるような気がする・・・でも、違うかな?」と言い終わると、すぅーと体の自由が
 きくようになり、私は、恐る恐る、目を開けると、二人の姿は消えていました。
 私は安心したのか、そのまま、眠ってしまい、朝になり、皆に昨夜、見た事を話しましたが、
 皆、実感がわかないのか、首を傾げています。
 でも、私は本当に見たのです。
 今でも、あのカップルの姿を、思い出して、背筋が、ゾッとします。