第七章 第二話     死神     (投稿者:埼玉県 T.I.さん)

 私が看護婦になって、もう15年になります。
 この15年間には現実では考えられないような体験が何度もありました。
 入院患者の中には霊を連れてこられる方もいらっしゃいます。
 私はどちらかというと霊感が強い方で人には見えないものを何度も
 見てきました。 その中でも一番、恐ろしかった事をお話します。

 これから起こる何かを予感される程、激しく大雨が降った日の事でした。
 深夜1時を過ぎた頃でしょうか、どしゃぶりの雨の中、1台の救急車が
 病院に到着したのです。 急患の男性はバイクに乗っていて、この雨の中、
 カーブを曲がりきれず、ガードレールに激突したようで右足は完全に
 切断してしまわなければいけない程、ひどいものでした。
 体中から血を流していて、この仕事に付いて何年も立っていたとはいえ、
 何度もこういう患者さんを見てきてはいますが、いたたまれない程、
 気の毒な思いがしました。 その患者さんは意識もなく非常に危ない
 状態で私は何か嫌な予感がしていました。 なぜなら、その患者さんは
 すでに死霊を連れてきていたからです。 若い女性の霊で髪はロングで
 胸の下辺りまである黒髪、右目は潰れていて顔は青白く、完全に
 腰から下はありません。 女性の霊は患者さんから離れようとせず、
 手術室に入って手術が始まっても、患者さんの頭の横に立ち、ずっと、
 無表情のまま横たわった男性を見つめているのです。
 多分、ガードレールで事故にあって亡くなった女性の霊で誰か事故に
 あった人を連れて行こうとしているのだと思いました。
 全力を傾けて手術をしていましたが、残念な事に患者さんは、手術中に
 息を引き取りました。 その瞬間、女性の霊は、薄気味悪く笑みを浮かべ、
 消えていったのです・・・。
 私は今でも、時々、こういう現象に遭遇しています。