17 十念寺
浄土宗のお寺です。元は三重郡菰野町にありましたが、室町時代に後の桑名城付近に移り、慶長の町割りの際にこの場所に移りました。建物は戦災で焼失しましたが、室町時代からの寺宝は残りました。「祭礼図屏風」(江戸時代、県指定文化財)、「当麻曼荼羅図」、「仏涅槃図」(いづれも室町時代、市指定文化財)があります。
昨年、新本堂が完成しました。
慶長の町割りでは寺院を計画的に城内への入り口付近に集めました。これは寺院は敷地が広く、武士が集結しやすい。炊飯の設備がある。最悪の場合には墓石が盾となったり、武器として使用できるなど城の防備のためです。桑名城下では美濃街道の入口である寺町付近と、東海道が城下に入り込むこの伝馬町、新町附近に寺院が集中しています。
なお、伝馬町の由来は伝馬年寄(幕府や藩主の公用輸送を担う馬の調達の責任者)丹羽籐九郎をはじめ伝馬持ちの者が屋敷を与えられたことにちなみます。
このお寺の西側道路を隔てた墓地に森陳明(もりつらあき)の墓(市指定文化財)があります。森陳明は明治維新の際に、桑名藩敗北の責任を負って切腹した人です。栴檀(びゃくだん)の樹の下に「うれしさよ尽くす心のあらわれて 君にかわれる死出の旅立ち」と刻まれた碑が建っています。
なお十念寺の境内には七福神がまつられており、11月23日に七福神祭りが行われます。