商売繁盛で笹もってこい!
2003年1月11日
商売の町、大阪今宮神社のえべっさん(大阪の人はえびす様のことを、えべっさんと呼ぶのです)に残り福をもらいに行った。えべっさんは御祭神の事代主(コトシロヌシ)の別名でもあり、縁結びの神さまで有名な大国主(オオクニヌシ)の長男。七福神の一人としても有名ですね。

今年の福娘さんたちも笑顔いっぱいの美人ぞろい! 応募者は多い年は六千人もあって、その中から50人選ばれていたのですが、今は人数が減ったようです。福娘に縁起物を付けてもらう人と、福娘の写真を撮る人で、授与所の前はごった返していました。なかには福娘の手をギュッと握って離さないお兄さんもおりました。(^_^;)

そのような人がいても少しもいやな顔をせずに、笑顔で接しているのをみるとさすがだと感心してしまいます。そのうえ、寒さに耐えて座りつづけながら縁起物を付けているので、指先はバンソウコウだらけです。

見た目の華やかさとは裏腹に、結構ハードな3日間のお勤めが終わった福娘には、お揃いの振袖や豪華景品がもらえるそうです。
境内の中で一番福運の強そうな福娘に負けないパワフルな「福ねえちゃん!」、威勢のいい掛け声を上げながら縁起物を売っていました。この人から縁起物をつけてもらった人はきっと大繁盛間違いなし。

今宮戎の特徴は十日の昼間に行われる宝恵駕籠(ホエカゴ)行列です。大阪ミナミの芸者さんたちが派手な紅白の駕籠に乗って参拝したのが始まりとのことですが、今は文楽人形や吉本のタレント、福娘などが神社から戎橋商店街までにぎやかにパレードを繰り出して祭りを盛り上げています。

今年は残り福の日(十一日)の夜に行ったので、その写真がなくて残念。最初は10日に予定をしていたのですが、ある事情があって11日に出かけることになりました。その事情というのを皆さんちょっと聞いてください。

みどりさんが奈良で仕事をしていたので終わってからえべっさんへ行こうと決めました。4時頃に仕事が終わったとの電話があり、地下鉄大国町の駅の出口で待ち合わせをすることにしました。しかし、約束の時間が過ぎてもみどりさんはなかなかやってきません。遅いなぁ〜と思っていたところに携帯の電話が鳴りました。

ようやく来たかと思い、「3番出口のところに居るからね」と言おうとしたところ、先にみどりさんが「どうしょう」というではありませんか。何のことだろうかと思っていると、

「京都に来てしまったの」。

大阪行きと京都行きを間違えて乗ったとの事です。

……唖然。(@_@)。

ぼくは「もう帰る!」と言い放ってすぐに電話を切りました。せっかくえべっさんへお参りに行って、屋台でおでんやうどんなんか食べようと頭の中でいろいろと楽しいことを考えていたのに、そのすべてがおじゃんです。仕方がないのでぼくは帰ってインスタントラーメンを食べました。

というわけで気を取り直して11日の残り福に参拝することになったのです。
話が脱線しました。えべっさんに戻ります。

こちらのコーナーでも、昔の福娘? 「福おばちゃん」たちが重量級の存在感を示しながら、「福笹どうですかぁ〜! 」と大きな声を張り上げていましたが、やっぱり人だかりで一杯なのは福娘のほうです。

神社の氏子さんや奉賛会のみなさんが総出で福俵、絵馬、タイ、大判小判などを笹に付けてくれます。値段は大体1個千五百円〜。調子に乗せられて派手にぶら下げるとすぐに一万円札が飛んで行きますよぉ〜。

福笹に付ける縁起物の「吉兆・きっちょう」は神社でしか授与されません。「吉兆」には、あわびのし、銭袋、扇子、小判、大福帳、打ち出の小槌、米俵、鯛、神社のお札などの小さなミニチュアが十種類ほど一まとめになって付いている(1500円)のでお買い得かも?。笹は無料でもらえます。

いっぱい縁起物をぶら下げて重そうな笹を自慢そうに持って歩いている人は、見るからにお金がありそうな感じです。

ぼくたちが、えべっさんに毎年通うようになったのは4年前、本を出版した時からです。人ごみの境内の中でふと下を見ると、手のひらに乗るぐらいの小さなえべっさんの人形が踏まれておりました。体中がキズだらけ。かわいそうだと思い拾って帰って祀ることにしました。その日を境にサン・グリーンは順調に発展しているのです。めでたし、めでたし。
今宮神社の十日戎の神事は本当は七日から始まっているそうです。餅撒きや献茶式などもあるのですが、一般の人はこのご神事をほとんど知りません。九日の宵戎、十日の本戎、十一日の残り戎だけがえべっさんのお祭りだと思われているのです。この三日間で神社は一年分のおさい銭を稼ぎます。一番の商売繁盛は神社側だという評判です。が不景気の波はここにも押し寄せているようです。

残り戎のファン(残り物には福がある)も結構多くて、わざわざこの日をめがけてお参りする人々も多いのですよ。
俗にえびす様は耳が遠いと言われています。だから、本殿裏側の左と右に掛かっている大きなドラを叩いて「えべっさぁ〜ん、今年もたのんまっせぇ〜! 」と大声で叫ばなければお願い事が聞き入れてもらえないそうです。

ドラを叩くために長蛇の列を押し分けながら、「サン・グリーンのこと、今年もたのんまっせぇ〜」と声のかぎりに怒鳴ってきました。すると「まかしとき」という声がもどってきました。一安心です。
本殿に向かって右側の神楽殿では、巫女さんに神楽をあげてもらえます。ただし、3000円、5000円、10000円コースに分かれています。神頼みもお金次第? ということでしょうか?

茶髪の二人が神妙に巫女さんのお鈴を受けているのが、印象的でした。
午後6時を回ると、いつのまにか境内の人並みは益々増えて大賑わい。

雑踏の上に、すごい「たまゆら(霊魂)」出現? の神霊写真? と思ったのですが、余りの人出でホコリが舞い上がってそれがデジカメに反射して写った「ゴミユラ」でした。参拝者はこの埃の中を歩いているということにまったく気がついていません。
去年えびす様から授かった福笹や宝船などの古い縁起物やお札などを返すための大きな桶が境内に設置されています。

後から後から参拝客がほり込んですぐに満杯になるので、えびす様のハンテンを着た何人もの係員が、すくい出してはどこかに持ち去っていました。

中には、新品同様の立派な宝船などが惜しげもなく捨てられているので、「欲しい!」という衝動にかられて拾ったら、みどりさんにいきなりその手をパシッとはたかれて、「止めときやぁ〜」と言われました。でもまだまだ福が残っていそうなぐらい立派なのに一年だけで捨てるなんてもったいないと思いませんか。
本殿前の大きな大きなお賽銭箱。まるでプールのようですね。

毎年、1番前まで行って後ろの方から勢いよく飛んでくるおさい銭に頭をかばいながら中を覗き込むのですが、今年は景気を反映して少し寂しい感じです。

いつもは一万円札が何枚か見え隠れするのですが、今年は一枚もお目にかかれませんでした。

カメラを写しているぼくの隣の女性の頭にお賽銭が強く当たったようで、悲鳴をあげました。ぼくもそろそろこの場を引き上げましょう。
境内の外には、賑やかな露店がずらっ〜と勢ぞろい。

値札は付いていないので、店先での値段交渉が参拝客の、ひとつの楽しみでもあるようです。大きな恵比寿大国の絵馬は一体いくらぐらいするのでしょうねぇ?
十日恵比寿の露店の商品は、お正月や夏祭りと違って、商売繁盛に関するものばかり。今宮神社の十日戎のお祭りはにぎやかで、派手好きな大阪人に欠かせないイベントになりました。若い人たちの姿が毎年増えているように感じてうれしいです。
「不景気でお客さんの財布の紐が硬くて、あきまへんなぁ〜、この大きな縁起物買ってくれまへんかぁ〜」

そんなことを言いながらも、今年もえべっさんのおかげでホクホク顔のようですね。「まあ、ぼちぼちでんなぁ〜」
いつもは、神社からナンバまで、ずらっ〜と並んだ露店を冷やかしながら歩くのですが、今年は反対側の通天閣方向に向かって歩きました。

アーケードもすっかり化粧直しされて、見違えるように都会的? になった夜の通天閣にびっくり! というのも20数年前の夜の新世界は怖くて歩けないような感じの町で、おかまさんやポン引きがずらっと並んでお客をとっていました。今はどこへいったのでしょうか。

初めての町に来た観光客気分でキョロキョロしながら、あつあつの揚げたてコロッケをほおばって帰路についたのでした。

今宮戎神社・大阪市浪速区えびす一丁目6番10号

2003年1月11日えべっさんレポートへ
2004年1月11日えべっさんレポートへ
2005年1月11日えべっさんレポートへ


もどる