伊勢神宮/冬至の日の出 平成20年12月21日
 


冬至の日の出 

伊勢神宮(内宮)では冬至の日に鳥居の真正面から太陽が昇ります。

前々から冬至の日に宇治橋から昇るお日様を、この目で拝みたいと願っていました。


「冬至まいりと注連縄作り体験」
ちょうど伊勢神宮崇敬会が会員に向けて「冬至まいりと注連縄作り体験」のツアーを毎年企画してくださっていたので、今年初めて参加することができました。

太陽が地球から一番遠くなり、日の光が弱まる冬至の日を、古代の人は一年の締めくくりと考えていたようです。

古い太陽がこの日を境にして一度死んで蘇える「一陽来復」の日。
太陽の光がこの日を境にして再び回復することを喜び豊作を祈る日でもありました。
「逆境・不運などが続いた後、ようやく幸運が向いてくること」と書かれている辞書もありますね。

つまり冬至の日が、一年の最後の日・大晦日で、次の日から新しい年が始まる(太陽の力が復活再生する)と思っていたのです。

自然のサイクルと共に生きていた古代人は大自然の動きを鋭い観察力で把握していたのですね。

実際にこの日から昼の長さは少しづつ長くなり始め、太陽の輝き・パワーも強まってくるのですから。『古事記』の天の岩戸開きのお話も冬至と日食が重なったのではないか? とか、古代ローマでも冬至を新しい太陽の誕生日とするお祭り・冬至祭が行われ、クリスマスも本来は「冬至のお祭り」だったのではないかという学者さんもおられるようですよ。

今も昔も、人々にとって太陽の恵みはとても大きなものだということですね。

午前6時40分に宇治橋の前に行くともうすでに100人ほどの参拝者やカメラマンが続々と集まってきていました。

宇治橋前からの日の出の予定時間は7時40分頃、いよいよ鳥居の真正面が茜色に染まり始め、寒さに震えながらみなさん固唾を呑んで見守ります……

ところが・・・空は一度だけ写真のように真っ赤になったのですが……待てども待てども厚い雲に覆われて一向にアマテラスさまの本体は拝めません。

伊勢地方の冬至の日の天気予報は、午後から雨だったので、もしかしたら午前中はなんとか日の出が拝めるかも? と少し期待していたのですが。残念でした!。

それでも望みをすてずにわずかに雲が切れるのを待っていたら、

「おぜんざいの用意ができました〜」
という拡声器の声が。

駐車場の端に用意されていたお接待の「冬至ぜんざい」でした。

「先着300名でーす」

鳥居の前の人垣が一気に崩れ、ほとんどの人が「ぜんざい」を食べに走っていきました。

崇敬会のお世話をしてくださっている神宮会館の支配人も申し訳なさそうに、「せっかく空が茜色になったので、一瞬期待したのですが、どうやら今日はお顔が拝めないようです。しかし、間違いなくアマテラス様は雲の向こうに昇って私たちを見守ってくださっていますので、これから揃って内宮の正式参拝に参りましょう」

と参加者をなだめてくださいました。

そして御垣内での参拝と荒祭りの宮への参拝を全員で済ませて、清々しい気持ちになって、帰るために宇治橋を渡りかけた時(九時前ごろ)、背後が余りに明るいので振り向いてみるとなんと、写真のように燦々と太陽が雲間から顔を出して見送ってくださっているではありませんか! 

おもわず崇敬会の人たちから拍手が起こり、そして橋の上で手を合わせてアマテラス様を拝むことができました。

おまけにまるでアマテラス様が橋の上まで降臨してくださったように紫色の光が写りました(^o^)丿 もちろん太陽を写せば露光の加減でこのような写真はいくらでも撮れることは判っているのですが・・・・・。

冬至の日の、この瞬間と、このタイミングで、このような写真が撮れたことが何よりアマテラス様からのご褒美だと感じています。



冬至まいりで食べた夕食(神宮会館)


 
注連縄作り体験

さて、冬至前日の20日午後三時半から神宮会館講堂で注連縄作り体験がありました。

参加者は約70名ほど、毎年参加の常連組に加えて、年々参加者が増えているそうです。

玄関用の注連縄はすでに7割ほど写真のように完成していて、後は飾り物を自分で付けるだけなので、思ったよりも簡単でした。

でも、今年は自分で作った注連縄を玄関に飾れると思うと、なにか誇らしい気がします。それに伊勢の注連縄は一年中飾って置くのが流儀なので、一年間楽しめるのです。


これは、昔スサノオの命が嵐に合い、一夜の宿を所望したところ、金持ちの巨旦将来の家で断られ、貧しい蘇民将来の家では快く迎えられた。あくる日、スサノオの命は身分を明かし「茅で縄を結い、この札をかければ疫病や水害から難を逃れると言って出立した。その後、巨旦の家は滅び、蘇民の家は栄えた」という故事に習い伊勢地方では一年中「蘇民将来の子孫」と書いた注連縄を玄関に飾るようになったということです。


来年はスサノオ様の年、丑年なので、このお札を玄関にかけていれば、疫病や鳥インフルエンザも避けてくれるかもしれませんね。


参加者全員の玄関用注連縄が完成した後、次は自分でわらを束ねて小さな注連縄を実際に作る作業を教えて頂く事になりました。

しかし、見るとやるとでは大違い!、先生となってくださる沖塚さんやスタッフのみなさんはさすがベテランなので、なんの躊躇もなくわらを束ねてすばやく三つに別け、あっという間に正月用の左綯いのわら縄がくるくるっと完成するのです。

まるで手品をみているようで、参加者のみなさん、なんどもなんども自分の目の前で手を貸して頂き、わらを束にして三つに別け、手を擦り合わせて縄にする作業をやってみるのですが、なかなか上手くいきません。

私も悪戦苦闘しながらやっと土台になる縄が編めた時には、思わずため息がでました。そしてそのわらに足として五本、別のわらを括りつければ完成です。私は、まえまえから念願だった、高千穂地方に今も伝わる七本・五本・三本の足が付いている特製の七五三縄(注連縄)を作成してみました。我が家のマイイワクラに飾るつもりです(^o^)丿 (写真下の左)

伊勢神宮の崇敬会に入会すれば、その他にも古殿地清掃奉仕と御塩殿見学など会員の方々に伊勢神宮のことを身近に感じて頂く為の様々な企画がありますよ。第十回会員研修会第十一回会員研修会。みなさんもぜひご入会くださいね。問い合わせ先、伊勢神宮崇敬会・神宮会館電話(0596−22−0001)ちなみに神宮会館の書籍販売コーナーに「古事記のものがたり」の本を置いてくださっているので、ぜひお土産に買ってくださぁ〜い!

いよいよ年の瀬となりました。
テレビや新聞ではいい事が起こっていないような平成20年の年末ですが、こんなときこそ高天原の神々の知恵に習ってみんなで楽しく笑い遊べば「えらぎあそぶ」{歓喜咲楽}(^o^)丿きっと岩戸は開くことでしょう。

みなさま良いお年をお迎えくださいね。
 


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