あきこの俳句
NO:4
2003年 7月〜
ラベンダー風の丘陵尽きるまで
一本の柏涼しき美瑛かな
幾千の風呼ぶ丘や夏の果
ロープウェーいくつ乗りつぎ雲の峰
海の家もうがらんどう秋の風
島国の海鳴り遠し鰯雲
どの背にも秋風乗せて通し鴨
柳散る一人に長き木のベンチ
秋うらら大きな影を連れ歩く
開墾の祖父はるかなり今日の月
獺祭忌空へ白球打ち込めり
癒ゆることひたすら祈る夜の長き
目つむれば故山の銀杏黄葉かな
秋耕の影動き出す石狩野
秋燈や輪の中にゐてあたたかし
ひとつぶに一つの宇宙露光る
淋しくば夢みつづけて銀河濃し
み仏は微かに笑まひ秋深し
太陽の明日をもらふ枯野かな
生き様を寒夕焼に問はれけり
明日へと繋ぐ約束寒夕焼
読み返す母の手紙や十二月
雪の夜のボジョレヌーボー赤深し
厚着してもう青春の戻らざる
霜の夜の石狩平野遠汽笛
ゆっくりと目覚むる天地霜の花
胸中に星の煌めき聖菓切る
今生の祈りは深きクリスマス
暦なき母の生活や年暮るる
言はざりし言葉のゆくへ冬銀河
言い足りぬ言葉に悔ひて悴めり
雪嶺となりて親しき余市岳
煩悩のゆらり溶けゆく柚子湯かな