あきこの俳句
NO:5
2004年 1月〜
冬木立明治の母に気骨あり
一月の真青なる空鏡とす
冬籠一人遊びのやじろべえ
青春に孤独の日々や冴返る
うつし世を隠してしまふ春の雪
愛憎のすこし薄れし春ショール
制服の襞千本に卒業歌
恋文はひらがなばかり春の雪
万華鏡まはして春のあふれけり
身の丈を生きて明日の黄水仙
雪解ける明日のあしたクロッカス
夜は夜の華やぎありし雛の間
水温む女人高野の橋赤き
母の眸に力戻りし彼岸かな
洋々と洋々と海卒業期
ふるさとの空あふれけり卒業歌
肩書きは生涯無縁梅の花
這へば立つ日はもうまぢか山笑ふ
望郷の思いは止まず啄木忌
胸中も揺るる夜汽車や啄木忌
たまゆらの命と思ふ桜かな
太閤も広げし 花の筵かな
花に酔ふ花のトンネルくぐりきし
母の日や言葉少なき母と居て
母に笑む千の花びらカーネーション
生国へトンネル幾つ遠霞
ほっこりと土甦る花菜雨
この先は桜へ続く道標
信号の先に緑苑鳥の声
杉の花弾けばこの世けぶりけり
子規庵の玻璃戸透かして夏立てり
浜茄子や駿馬育む牧の風
明易し夢の切れ端あつめけり
ラムネ玉孤独の音を鳴らしけり
立て膝の岩戸観音夏衣
空知野の畦くっきりと秋に入る
絵手紙に切り取る秋の赤レンガ
胸襟を開けばしきり木の実降る
からっぽの空に秋蝶見失ふ
恐竜の頭上に降りし銀河濃し
億年の記憶抱きし菊の石
菊模様一億年を抱きてをり
行く秋や歌碑にルイ子のわかれ歌
億年の海鳴りはるか秋館
博物館出でて三笠の冬近し
目つむればいつも新し芭蕉の忌
白鳥の翔つとき山湖光りあふ
根深汁言葉優しくかはしけり
新雪の足跡ひとつ波郷の忌
合唱の「雪の降る町」年忘