あきこの俳句
NO:6
2005年 1月〜12月
初手水指の先より目覚めけり
微笑めば微笑み返し初鏡
短日の夕日貰ひしリフトの灯
牡蛎割ってふるさとの海滴らす
漆黒の闇へオリオン駆け上がる
病棟に鬼飾られて追儺待つ
郷愁の香り丸めし蜜柑かな
てのひらにのせて親しき土雛
澄まし顔少し緩びし雛の午後
連れ添うて雛は歳を取らざりき
幼子は拍手大好き山笑ふ
千年の後もふるさと雪解風
振り向けば邪馬台国に春の月
掌のかたちに掬ひ涅槃雪
一輪のあをぞら掴み初櫻
板前はみな美男なり木の芽和
東山三十六峰木の芽風
満開の花の上なる天守閣
留守番は柱時計の遅日かな
春昼のからくり時計動き出す
満開の花の上なる天守閣
晩翠の碑洗ふ余花の雨
合掌の静寂満たして朝桜
新緑を樹海に惜しむ一日かな
いくたびも別れし街やなごり雪
悉く光年をきて星涼し
母の名の香水パリに売られけり
ふるさとに愁ひを残し夜の秋
トンネルの繋ぐ漁港や夏盛ん
湿原は風の遍しあやめ草
綿菅の白つくしけり神の沼
碑の詩口ずさむ秋桜
秋草は空の青さを束ねけり
木道は雲に尽きたる草紅葉
ひとり聴くフジコヘミング夜の雪
枯れ芒大き青空残しけり
裸木のあまさず掴む空の青