パイプラインエンジニアリングの事例



天然ガスの輸送形態としてパイプライン輸送が優れている。
・LNGに伴う相変化のエネルギー損失が無く極めて効率が高い
・複数パイプラインの設置により特定地区での天然災害によるエネルギー停止が防止出来る
・供給流量調整も簡便で、圧送ステーションの運転可変・停止で対応出来る


大量に且つ効率良く輸送する方法としては、ガス圧力を高く保ち圧力降下が無いようにするのが最善である。しかし、その為には圧送ステーションの所要数が多くなり、その面での投資資本が多くなることから、双方からの適正な兼ね合いが要求される。パイプライン内の圧力は平均6MPaとし、圧送ステーション出口圧力8〜9MPaで圧力降下が2〜3MPaに達したら新たなステーションを設けるのが通常となっている。 パイプラインルートによっては、種々要求から違ったシステムを構築することはあり、圧力降下を防ぐため、パイプラインを2本敷設することでコンプレッサステーションを省略する方法も採用されている例は多い。 いずれにせよ、最適なパイプラインシステムを構築するには、ルート選定のための敷設空間に関する検討並びに輸送能力を決定するためのパイプライン口径、圧力を如何に設定するかが最大の問題となる。

ロシアからの天然ガスを北海道を経由して日本全国各地に供給する計画例である。




第1期計画は後期計画と重複しない様に、鋼管サイズ・流送圧力・圧送ステーション位置を定める。
・北海道以北は陸上輸送、本州以南は基盤整備と干渉の少ない沿岸輸送を採用する
・陸上輸送は流送圧力7MPa、鋼管サイズ1400mmとする
・沿岸輸送は流送圧力12MPa、鋼管サイズ1300mmとする


第1期での最大天然ガス輸送量2,000t/hrとし、京浜地区には700t/hrの天然ガスを流送するには、北海道外で1ヶ所、北海道内で2ヶ所、本州で1ヶ所の圧送ステーションを設置することで可能となる。勿論、後年の流送量増加に伴う圧送ステーション位置にはピグランチャ・レシーバを設けて後年の投資重複が無い様にして置かねばならない。

各地区での天然ガス需要は
・北海道地区 300t/hr   ・東北地区 600t/hr
・北関東・京浜地区 1,200t/hr



第2期計画は新たな鋼管の敷設を行わず、ガス需要を賄える様に計画する。
・流送途中での圧送ステーションを追加する
・圧送用圧縮機を駆動するガスタービンは高効率を誇る航転型を採用し、ガス消費を最少にする
・圧送ステーション出口には冷却器を置きガス温度を低くして、輸送効率改善を図る


第2期での最大天然ガス輸送量3,400t/hrとし、京浜地区には1,400t/hrの天然ガスを流送するには、北海道外で1ヶ所、北海道内で3ヶ所、本州で2ヶ所の圧送ステーションを追加設置することで可能となる。東海地区での鋼管サイズは大きいが、後年の中京地区への流送開始に見合う様に選定しており後年の投資重複が無い様にして置いた。

各地区での天然ガス需要は
・北海道地区 300t/hr   ・東北地区 700t/hr
・北関東 700t/hr ・京浜地区 1,400t/hr
・東海地区 700t/hr





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