・急行の中でも数少ないディーゼルカーを使用した列車である。

かつては全国のいたる所でディーゼル急行が見られたが、1980年代から急行そのものが

廃止または特急格上げ等で一気に激減し、さらに地方の路線も相次いで電化されたため、

この列車もそう言う意味で貴重な存在となり、いよいよ日の目を見るかと思いきや、やはり

時代の流れには逆らえず、1982年11月15日のダイヤ改正でその生涯を閉じたのである。

使用車輌はキハ58系。

東北本線内では停車中に、磐越西線では走行中にディーゼルエンジン音の響きと唸りが

まるで自分というものの存在をアピールしているかのようであった。

このように上記の特徴をいくつか挙げてみたが、当時の私の耳に届いた「いいで」の情報は、

あまりいいものでは無かった。

まず、ホームに入線してきた車輌を見た乗客の一部は・・・・・

   「うわー ボロッチイー! 中もきたねー もう最低!!」

   「今どきクーラーもついてねえのかよ! 勘弁してくれよ!」

「何でこんなに通過待ちするんだよ! これだったら特急に乗った方がよかった!!」

「通過待ちするぐらい長く停まるならば扇風機でなくクーラーにしろよな! ふうー 暑い!!」

次に途中駅で特急列車数本に抜かれる様子を見た乗客の一部は・・・・・

他の乗客に何故この列車に乗っているかとたずねたところ・・・・・・

「本当は特急で行きたかったんだけど、指定席がとれなくてねえー 仕方なくこれにした。」

「どの列車でも良かったのだけど、ちょうどいい時間帯を走る列車を探したらこれになった。」

どこまで乗るのかをたずねたところ・・・・・・

「黒磯だよ。」  「白河。」  「ああっ郡山だー。」 とまあ東北本線の駅が圧倒的に多い!

逆に聞かれる時もあったので、すかさず 「津川です!」 と元気に答えるのたが、

返ってくる言葉は決まって 「津川? どこにあんだ、そんな町?」

でも私が「磐越西線の奥の方にあるよ!」というと正確な位置を理解しなくても

「ちいさいのにそんな遠くさ行くんかー! すっんげーなあー 気いつけて行けやー。」と

言ってくれるのが唯一の救いであった。

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