中学校のサッカー部
現在の中学生はどうか分からないが、私が中学生の頃の先輩・後輩の上下関係は、ハンパじゃないぐらい厳しかった。
それが練習そのものにとどまるならまだしも部の規律や個人のしつけにまで及んでいたので、言葉遣いや
態度には十分過ぎるほどの気遣いが必要であった。
そのためか、先生にはキレても先輩にはあまりの怖さにキレることが出来ない生徒がほとんどで、
もしキレるものなら(先生の体罰より怖い)リンチが待っていた。
練習そのものにも息を抜けないメニューが組まれ、そのメニューに耐えられない生徒は次々と退部していく。
まず始めに準備体操、これは全員まじめにこなしているので先輩たちの鉄拳制裁はないが、問題はその次からである。
学校周辺の道を10週・坂道をおよそ20往復・校庭に戻った後は腕立て伏せ50回・腹筋30回・仰向けの体制で足を
斜めに上げたまま約3分(それを5セット)・・・・・とまあこんな感じであるが、これだけならば少し辛抱すればこなせるよと
思われる方もいるかもしれない。
しかしサッカーは集団で行うスポーツであり、このような練習でも全員がこなせないとそれを何度でも繰り返し行わなくては
ならず、日によっては1度もボールを蹴らずに1日の活動が終わったり、蹴ることは出来てもすぐに先輩達から号令がかかり、
延々と説教をされる日もめずらしくなかった。
ある時は、学校周辺を走る練習で、足の速い部員が足の遅い部員をかばって一緒に並んで走った所を先輩に見つかり、
校庭に戻った後に先輩以外の部員が全員一列に並ばされ、尻に強烈な蹴りを受けた。
またある時は、足を斜めに上げる練習で、必死に耐える部員を故意に笑わせたり腹の真上に思いっきりボールを
たたきつけたりしている先輩のほくそ笑んだ顔を見て、キレそうになることもあった。
「こんなことされて本当にお前はいいのか・・・・? 体を鍛えるならともかく、レギュラーになる為だけなら辞めたほうがいいぞ!」
「いや甘い! レギュラーとして公式試合に出たいならば、あらゆる屈辱にも耐えろ! わかったか!」
頭の中で二つの心が激しく葛藤していた。
試合に出る・・・・・試合に出たい・・・・みんなを見返したい・・・活躍するんだ・・そう!耐えなくては!!
私の意志は、どうやら耐える方を選んだようだ。 あんなつらい練習ばかりのはずなのに、あんなにも先輩が憎かったのに
わずか数ヶ月の間にも関わらず耐えることが出来たのである。
「よし! この調子で3年生まで頑張るぞ!!」
今思えば、1度耐えただけなのにこんなに有頂天(今流に言えばテング状態)になってしまったことに後悔している。
なぜならば、この気持ちが後に万年ベンチメンバーのきっかけとなってしまうからである。
部員の間に忍びよる悪夢を感じ取れずに・・・・・・・・・・。
先輩・後輩の厳しい上下関係