いじめ・・・・そして挫折
現在でもいじめは深刻な社会問題となっているが、人間である以上恨み・妬み・怒り・恐れ・悲しみは誰でも持っている。
残念なことを言うようであるが、それらの感情を全員が制御出来ない限りいじめというものは絶対無くならない。
重要なのは、それに直面したときに全身で立ち向かえるかである。 他人にでは無く自分に対してだ!
決して他人に対してキレて殺人・傷害を起こしたり落胆して自殺するようなことは避けるように努めるべきであり、
自分自身をそのような形で追い込む必要は無い。 それを守れなければ、改善しない限り永遠に華やかなステージに立てない。
私の場合もそれを守れない為にステージに立てなかった者の1人である。
私は先輩からの強烈な試練には耐えたが、先輩達以外の部員の間で起こっている欲求不満には気が滅入っていた。
「何かイヤな予感がする。」 そしてその予感は的中した。
感情を抑えつけられない1人が、他の同級生をいじめるようになったのである。 ターゲットは・・・そう! 私。
先輩の前では技術力をアピールしながら(くやしいが、技術面はそこそこ良かった)、裏では私を倉庫に閉じ込めたり、
みんなの見ていない所で痰を私の顔に吐いたり練習用のユニフォームを引き裂かれたり・・・と様々な屈辱を受け続けた。
私はこの屈辱に耐える事が出来ず、次第に部を休みがちになってしまった。
それからというもの、放課後すぐに帰宅しようと昇降口の前まで来ると(いじめる奴とは)別の同級生が来て私につかみかかる。
「テメー なんで練習出ネんだよ! ふざけんじゃねーよ!! ばっくれんじゃねーぞ この野郎!!!」
こんなとこでくい止められるなんて冗談じゃない!
私はその同級生の制止を強引に振り切って逃げた。 そんな状態が半年以上も続くとは思ってもみなかったが・・・・・。
しかし、こういうことは必ず決着をつけなくてはならず、あることをきっかけにその同級生と私は職員室で話し合うことになった。
いつも通り昇降口で言い合っていた時、たまたま担任の先生が目撃し、職員室で私たちに話し合いの場を持たせたのである。
「まてよ、顔を口調もヤクザっぽいけど本当はいい人なのかも? 通常なら半年以上も私を引き留めないのでは・・・・・・。」
そんな思いが話し合いのなかで芽生えてきた。 そして彼に謝りたいけど、どう言えばいいのだろう。 そう感じる余裕が出てきた。
「先生、彼の言うことも分かります。 分かるんですよ彼の気持ちが。 なにも告げずに逃げようとした自分が悪いんです。」
きれいごとで言っていないことは自分自身で感じていた。
担任の先生は呆気にとられていた。 無理もない、私が何時もいじめられないように温かく見守っていたのだから。
結局その同級生とは仲直りし、私は再び部に参加するようになった。
いじめをする奴の方は相変わらずであったが、それに屈することもなく練習をこなしていった。
しかし、もともと先輩達から(技術面で)高い評価を得ていなかった上に1年近く部から遠ざかっていたので、その代償は
あまりにも大きかった。
中学校のサッカー部