中学校のサッカー部
2年生になった私は、今までの遅れを取り戻そうと練習に打ち込んだ。
そして3年生が部活から身を引き、いよいよ主力となる時が来たのだ。 そのメンバーは自分を含め8人、レギュラーメンバーに
手が届きそうな位置まで来ている。
「何とか練習でテクニックを磨いてみんなにアピールしないと・・・・。」
私の心のなかで、今度はあせりと期待が入りまじっていた。
なぜならば、入部した新1年生が自分達の頃の入部数より多く(だいたい15名前後)、その3分の1程が
サッカー経験者で巧みなテクニックを持っていたからである。
「どんなに1年生が頑張ってもこちらは部に在籍しているだけ苦労しているんだ。 レギュラーの座は頂く!」
かくして自分達(の学年)が主力になって最初の公式試合が始まった。
顧問の先生から1回戦のメンバーが紹介される。
私の目指すポジションはハーフバック(攻めと守りの両方をつとめる位置で、現在のMF(ミッドフィールド)に値する所)だ。
先ほど言っていた巧みなテクニックの1年生は全てフォワード(前衛に位置し、攻撃の要となる所)希望である為、
自分の名前は確実に呼ばれるであろう。 ・・・・・・・・今で言う自惚れた考えが頭のなかでギンギンによぎっていた。
しかし・・・・・なんということだ! 自分の名前が呼ばれるどころか控え(5名)の中にも入っていなかったのである。
これは今まで受けてきたもので最大の屈辱! あまりにも落胆しすぎて試合展開などロクに見ることが出来ず、
その夜は自室で1人寝床で泣きじゃくっていた。
「こんなはずは・・・・・こんなはずはない! 今回はこんな結果であったが、この次こそは試合に出たい!」
自分にそう言い聞かせながら、次の大会を待った。 しかし・・・結果は変わらなかった。
その次もまたその次も自分の名前が呼ばれるのを辛抱強く待った。
もちろん待っているだけでなく、効果的な練習方法をこなし、相変わらず止むことの無いイジメにも耐えた。
レギュラーメンバーになる為ならば、どんな試練にも乗り越えられる。 そう感じるまでに至っていた。
しかし・・・・・・しかし! どうあがいても自分の名前が呼ばれない・・・・。
後輩のなかにも自分をバカにする者が出始めてきた。
そう! 部員の多くが自分に対しての信頼を無くしていたのだ!!
しかし気づいた時はもう3年生、強制引退まで数ヶ月・・・・・タイムリミットであったのである。
結局私は公式試合に1度も出場することなく(控えも2〜3試合程度)、退部届を顧問の先生に提出して中学時代の
サッカーから身を引いた。
公式戦未出場