*今回は食事の時間ギリギリなので「食事作法」の経頭は私がする。たぶんS氏には着いて来れないと思うが、タイム・オーバーと成るより、定められた時間内に行をこなす事も行の内だ。現在十一時四十五分。一気に食事を平らげ後作法を済ませ、再び食事中のS氏を後目に「施食作法」を行う。終了して十一時五十八分、何とかセーフ。午後からは例によって「新滝」に出向く。
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*慎れたせいか案外早く後かたずけ等が終わった為、本日は「清滝」「新滝」のニつを稼ぐ事にする。体力的にS氏は遠慮するとの事なので、私一人でたっぷり楽しむ。何故か「新滝」に比べてたっぷり「塩・酒」を使用してしまう。それだけ此処の滝は「行者」が数多く来て、落として「汚れている?」と云う事なのだろうか…‥。落差も「新滝」と変わらない程有るし、水量も超度級の有様で、厳しさは「新滝」と変わらないはずなのだが、此処の「清滝」は柔らかく、優しく、「観音様」に包まれている様な感覚で、非常に心地良くつい長居をしてしまった。「清滝不動を始め、勧請の諸尊の皆様」有り難う御座いました。
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*さて、いよいよ本番「新滝」である。昨日とは時間帯が違うせいなのか?雲が被ってないせいなのか?結構木洩れ陽が差し込んでいる。肌寒い事には変わりがないが、気分的に気持ちがいい。毎度カメラマンのS氏には可哀想だが、S氏を滝に人れている私には、「S氏の滝行」の写真を撮る事が出来ない。物足リないだろうけど、でもまァ仕方が無いか!悔しかったら早く一人で入滝出来る様になりなさい。常の如くに「御法楽」を挙げ「塩・酒・九字」と結界を張り入滝する。
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*先程の「清滝」で行衣を使用した為に私は褌姿で有る。「清滝」に比べ水は冷たいし、水の勢いも強い。「ヒーヒィーッ」言っているS氏を早めに出し私が入る。昨日より厳しく又、先程の「清滝」に慣れていた私には結構な試練、やはり「行者の滝」と云われる所以だろう。滝の勢いに負けそうに為る自分に「何クソ…‥。負けるものか!」ではなく、もう一歩進んで一切を「新滝の御不動様」に任せた。側で見るなら「開き直り」だが、本人の心境は多いに違う。チッポケな自分の考えを一切捨てて、「滝行」する事をキッチリして結果は「御不動様」に任せる。…‥っと言った心境で有る。
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*だから一心に滝行して、「御不動様」から「もう、いいョ!」と言われた気がする迄出滝しない。本来なら未だ未だの筈なのだが、何故か滝から追い出される。不思議に思いながら着替えていると、下から「講中」がやって来た。「ハハァーンこれだったのか!」と合点しながら「今日はこれにて帰ります。」の御挨拶に行くと、砂糖を焦がした様な甘くて非常に香りの良い臭いが、辺りー帯に漂っていた。S氏もこの香りを嗅いで「何の香りだろうネ!」と会話をしつつ下山する。 |
*車中に於いて「今日は御風呂に入りたい!」とS氏に提案され同意する。確かにキャンプ場常設のシャワーだけじゃァね。早速風呂の道具を取りに戻り、来た道を引き返す。何故か「行」以外の動作は素早い!これは気のせいだろうか? |
*程なく銭湯?を見つける。旅館の風呂には入りたくなかったので、丁度良い処を見付けた様だ。是も佛縁?入浴料は六百円と少々高いような気もするが、石鹸・シャンプー等も常設で、内湯・外湯(露天風呂?)の温泉なら仕方がないか。後で聞いた処「源泉は十一度なので、沸かしているんですョ!」との事だが、長いこと湯冷めせずに良い湯だった。ちなみに「賃しバスタオル」が三百円、温泉の効能書きを読んだが、大分長い文章だったので忘れてしまった。折角帰ってから御嶽山の温泉効能の、うんちくをたれようと思っていたのに。 |
*長湯のS氏を待つ間にチラッと目の行く雑誌を見た。記事に「松葉の効用」と題して「中風が治った・卒中の半身麻痺が治った・呆けが回復した…‥。」「松葉…‥。神變さんも確か常食してたョなァ!」此処でピィーンと来て、服用の方法を書き写して来る。後で何かに役立つだろう。 |
*陽が暮れる前にキャンプ場に戻り、暗くなる前に夕食の支度を始める。宿泊者が大分多いせいか大分騒がしく、あちこちから自炊の大分良い香りが漂って来る。定番の「カレー」やら「バーベキュー」等、精進の私達にとっては酷な臭いだ。 |