北極圏を超えよう! アラスカ コールドフット 



2005年3月19日 その1

今日は、この旅の目的地、コールドフットへと向かう日だ。

コールドフットのことを少し説明しておこう。
コールドフットは、フェアバンクスから248マイル(約400キロ)、ダルトンハイウェイを北上したところにある人口17人の町だ。
1900年代初頭のゴールドラッシュの頃には、砂金目当ての人たちがここに移りすむようになり、ピーク時にはカジノや宿泊施設、バーなどができ、かなりの賑わいとなった。もともとはスレートクリークと言われている町だったが、ゴールドラッシュ時代の金鉱堀りの足があまりに冷え過ぎて、この地でやむなく折り返したというエピソードが村落名となったとされている。
ゴールドラッシュで栄えたこの町も、金が取れなくなると人々はこの町を出て行くことになる。そして、1912年頃にはゴーストタウンとなったしまったのである。
しかし、1960年代のアラスカパイプライン建設により、コールドフットはトラックステーションとして復活し、今では世界で一番北にあるドライブインとして、ホテル、レストラン、郵便局、ガソリンスタンドや修理設備などが作られている。
人口17人のうち、14人はホテルのスタッフとして働いているそうである。



今朝のピックアップは、午前7時。
昨晩はオーロラを見に行っていたので、寝たのが3時過ぎ。早起きはちょっとつらい。
コールドフットからの帰りは小型飛行機を使うので、大きなスーツケースは持ち込むことができない。レンタル防寒具が入っていたバッグに荷物を詰め替えて、スーツケースはここのホテルに預けて行くことにした。
荷台一杯の荷物!
迎えに来てくれたのは、コールドフットのホテルスタッフ、チャドだった。
早速車に乗ろうとすると・・・10人乗れるバンは荷物で一杯だった。コールドフットには商店などない。だから、こうして誰かがフェアバンクスに来るときには、持って帰れるだけの荷物を買ってくるんだそうだ。各種ドリンク、プラスチックのフォークやナイフ、果物、ペーパーナプキンなど、ありとあらゆるものが荷台一杯に積まれていて、私たちのバッグ2個のスペースを見つけるのが困難だった。
この車には、先客がいた。テキサスから観光に来たというメアリーとマーリーンというオバサマ(というよりおばあちゃん)2人。アメリカ本土から、冬のアラスカに遊びに来るなんてとても珍しいのでちょっと驚いた。過去2回の冬のアラスカでアメリカ人観光客って殆ど見なかったもの。
さて、このメアリーとマーリーン、とっても気さくで楽しいおばちゃんたちなのだけど、体型はしっかりアメリカンサイズ!3人がけのシートの2.5人分以上は使っていたはず。
おかげで、8時間のドライブ中、私は半ケツ状態の無理な姿勢で座っていたので腰が痛くなっちゃった・・・。

ダルトン・ハイウェイ」は、北極海に面したプルトー湾から、南アラスカの港バルディーズを結んでいる道路である。
高速道路といいながら、フェアバンクスを過ぎると未舗装道路になり、レンタカーの保証外の道路となる。
ツンドラを切り開いて造ったダルトンハイウェイは、路肩が弱く、永久凍土を砕いて敷いた路面から表面からゴツゴツとした石が路面に突き出し、決して運転しやすい道とはいえないそうだ。私たちが行ったのは冬だったので、土煙や砂利道はわからなかったけど。

ただ、除雪はしっかりしていて道路上は走りやすい状態だが、もちろん凍結している。
この日はとてもいいお天気で、楽しい北極圏のドライブとなった。
この道路、ほとんど車がいない。たまーに見かける車の99%以上が大型トラックやトレーラーなど、アラスカパイプライン関係の車両だった。夏には野生動物を見にくる観光客も多いそうだが、冬の間は観光に来る人は殆どいないのだそうだ。


道路の両側には→こんな風景が広がっている。
木々に雪が積もっている様は、何かのオブジェのように見えた。雪の重みで折れてしまった木も見受けられた。

アラスカパイプライン 総延長は約800マイル(約1280Km)
フェアバンクスから118マイル(190キロ)のところに、ユーコン川が流れている。
ユーコン川は、カナダからアラスカにかけて流れる長さ3700キロの川で、全米4位の長さである。この川に唯一架かる橋を渡る。橋の上は車を停めることが禁止されているので、写真は撮れなかった。
この橋を渡った道路脇にトイレを備えた無人のインフォメーション・センターがあった。トイレといっても、もちろん水洗ではなく、簡易トイレであるが。
また、その道を挟んで向かい側には、レストランや小さな民宿の他、給油設備、タイヤ交換等を行う簡素な整備場などを備えられていた。これは、この道路上に2つしか存在しない給油施設のうちの一つなのである。
ここでトイレ休憩を取り、ランチタイム。朝買ってきたもので昼食をとる。

ユーコン川を出発して間もなくすると北極圏に突入した
道路脇に設置された駐車スペースには、北極圏に入ったことを示すモニュメントがあり、ここで小休止。
北極圏に自分が立っているってことがすごいことに感じてしまう。
「すごいところまできちゃったわー」って感じだろうか。
ここには小さな展望台もある。
北極圏の景色はこんな感じです。
私たちの声以外は何の音もしない。
まさしく静寂の世界・・・。
遠くに見えるブルックス山脈の山の連なりがとても綺麗だった。





そして、ここから2時間ほどで、ダルトン・ハイウェイの約半分の地点、つまりフェアバンクスから約248マイル北に位置する北極圏にある「コールド・フット(Coldfoot)」に到着した。


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