北極圏を超えよう! アラスカ コールドフット 



2005年3月21日

今朝はモーニングコールで起床。
といっても、部屋には電話などない。隣や前の部屋をツアーの添乗員さんがノックして回っている声でこちらまで目が覚めてしまったのだ。
大きな音でドアをノックし、「○○さーん、おはようございます〜」なんて大声を出されたら、否が応でも起きてしまうってば。
電話がないのだから、ドアをノックするモーニングコールは仕方ないにしても、他のお客さんだっているのだから、少しは考慮して欲しいよねと、朝からちょっと嫌な気分になる。

今日は、ロッジ主催の「マウンテンサファリ」に予約を入れている。
マウンテンサファリは、コールドフットからダルトンハイウェイをさらに北上し、ブルックス山脈の景観を楽しみながらアチガン峠というところまでのドライブである。運がよければ、カリブーやムースなどの野生動物を見ることもできるのだ。

やっぱり、ツアーご一行様と一緒の車だった。というか、私たち2人のほかは、ツアーの皆様だけ。当然彼らは、自分たちの貸切車だと思っているので、「昨日と同じ車でいいんですね〜」とさっさと車に乗っている。私たち2人が並んで座れる席は残っていなかった。(泣) 彼らにとっては、「我々の車に乗せてやっている」っていう感じだったんだろうな。
私たちだって、ちゃんとお金を払って参加しているんだけど、この居心地の悪さったら・・・。
ツアー参加者は13名+添乗員さん。そして私たち2人は2台の車に分譲して10:00過ぎに出発した。
私は2号車の助手席に、ダンナは2列うしろに席になった。
ツアーの添乗員さんは1号車に乗ったので、2号車の助手席に座った私が、この車のにわか添乗員になってしまった。(汗)
我々の車のドライバーは、ブレットという青年。コールドフットに移り住んで4年になるそうだ。

ダルトンハイウェイの両側には、冬のアラスカの光景が広がっている。
コールドフットから35マイルくらい走ると、大きな山が見えてきた。(→)これはスカクパック山というのだが、実はこれは山ではなく、大理石の岩なんだって。(スカクパックとはイヌイットの言葉だそうです)
魚眼レンズを使わないと、全景が入らないほど大きな岩だ!



これは、北限の木。
この大陸で、一番北に生えている木である。







カリブーの群れに出会った。
群れといっても、10数頭くらいの群れだったけど。年によっては、何百頭もの大きな群れに出会えることもあるそうだ。
他にも、キツネやウサギの足跡を見ることができた。
しかし、こんなに寒いところでどうやって生きていくんだろうと思ってしまう。


車は「シャンダラーシェリフ」と言われるビューポイントについた。
見渡す限り一面の白銀の世界。色も音もない世界だ。
雪を被ったブルックス山脈の山々が、陽の光を浴びてきらきらと輝き、時折、風が雪を舞い上がらせる。
何にもない、でも本当に美しい美しい光景だった。
冬のアラスカの美しさを初めて感じたような気がした。




シャンダラーシェリフを出て、車は峠を登っていく。
アチガン峠の頂上で、ランチとなった。私たちは、朝のうちにカフェでサンドイッチを頼んで作ってもらい、それを持っていったのだか、ツアーの皆さんは昼食つきということで、私たちもそのランチに便乗させていただくことになった。これはラッキー♪
渡されたお弁当箱を開けると、何と和食の海苔巻き弁当!ロッジのスタッフの手作り弁当である。
豪華なものではないけれど、手作りの暖かさが伝わるようなおいしいお弁当だった。
ここのロッジの従業員は、全部で10人。人数が少ないので、なんでもやらなければならないんだって。
今日はドライバーをしているブレットだが、厨房に入ることもあるし、部屋の掃除をすることもあるし、「何でもできるんだよ」って言っていた。


ドールシープの群れがいた。(小さくてわかりにくいかな)
こんな雪の中で、何を食べているんだろう。
ドールシープは、前足で雪を掘り、雪の下にある草を食べるんだって。

ランチの後は、今来た道を戻ることになる。
帰りも、すばらしい光景を楽しみながらのドライブだ。途中、カリブーの群れがいたり、景色のいいところで車を停めたりしてロッジに戻る。
アラスカの大きな自然はやっぱり気持ちがいい。だけど、どうしてもなじめないものがひとつあった。それは、アラスカパイプライン。
美しい自然の中に、唯一の人工物。無機質なパイプはどうしても異様なものに見えてしまう。
パイプが通っているのわかりますか? メンテナンスも行われていた

人間の豊かな暮らしのために、天然資源開発はとても大切なものだとはわかっている。
しかし、この美しい自然を破壊し、動物たちの生態系を変えてしまうような開発だったら、それは賛成はできない。もちろんナチュラリズムだけでは人間は生活していけないのはわかっているけど・・・。アメリカは、ブルトーベイの新規開発を決定したようだ。このあたりもまた工事が進んでいくのだろう。
でも、なるべくならこの美しい自然をそのままに残してもらいたいと思うのは私だけだろうか。

ロッジには16:00頃ついた。
今日は、オーロラ鑑賞の最後の日だから、やっぱりワイズマンに行こうと思い、ブレットにワイズマンへのツアー参加を申し込んでおいた。
しかし、夜になるとまたまた天気が崩れてきた。昨晩同様、すごい風だ。いや、昨晩よりももっとすごい。だって、道に積もっている雪が風に吹かれて、ロッジ入り口の道がうもれてしまうくらいだったんだもの。
集合時間の10:00にロビーに行く。ツアーの皆さんも一緒だ。しかし、ドライバーがなかなか来ない。どうやら道路状況を確認しに行っているらしい。
そして、戻ってきたブレットは言った。
「風が強くて、道路状況がとても厳しい。今晩、ワイズマンに行くのはとても危険だ。車がスタックしてしまう可能性がとても高い。もし、車が動けなくなったらどうにもならない。明日の朝まで車の中で一晩を過ごすということにもなりかねない。だから、今日は止めたほうがいいと思う。」
オーロラ観測最後の日に、こんな天気なのはとても残念だ。しかし、天気はどうすることもできないのだから仕方ないと私は思う。
それも、ここはアラスカの北極圏である。もし、車がスタックしても助けを呼べる状況にはない。冬のアラスカは時にマイナス50度を越えるほど冷え込むことがある。車のエンジンですら凍ってしまう温度である。そして、もしそんな事態になったら、それは「死」を意味することになる。オーロラは見たいけれど、楽しい旅で終わらせるためには無理をしたくない。
きっと、私たちはまたアラスカに来るんだから・・・。

しかし、ツアーの皆さんは違っていた。どうしても行きたいという人が殆どだったのだ。添乗員さんまで「今日が最後だから、どうしても行きたい」と言い出したのだ。
結局、1時間後にもう一度道路状況を見て、行けるかどうかを判断することとした。が、1時間たっても状況は変わらず。ワイズマンツアーは中止となった。
こんな天気で、明日のフライトは大丈夫なんだろうか?

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