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2003.03
第5回 インターネットの最先端へご招待

Fiber To The Home

 世間では、インターネットと言えばADSLが大人気ですが、その次に来ると言われているブロードバンドの接続サービスがFTTH(Fiber To The Home)、光ファイバーによる接続サービスです。
次世代のインターネットサービスとして期待されている、このFTTHを年末からわが家に導入したんで、今回はその紹介とブロードバンドを使ったコンテンツをご紹介したいと思います。
http://www.ntt-west.co.jp/ipnet/ip/bflets/fami100/


う〜っ、遅すぎ〜〜

数年前、わが家はNTTのISDN常時接続サービス(フレッツISDN)を利用してインターネットに接続していたのですが、そのあまりの遅さに何とかならないものかと、やきもきしていました。2年ほど前にわが家の周辺もNTTのADSL常時接続サービス(フレッツADSL)の提供エリアになったのを知り早速申し込みました。しかしNTTの調査の結果、担当者からADSLは開通不可能との連絡が来て、フレッツISDNのままでがまんするしかなかったのでした。
ADSLはその特性上、NTTの局から自宅までの一部でも電話回線が光収容されているとたとえサービス提供エリアでも開通が不可能なのです。昔から電話の回線は、メタル(銅線)で作られていますが、近年になってNTTは、これを光ファイバーに置き換えるようになりました。電話局とあなたの家の間の電話回線の一部でも光ファイバー化されていると、光収容と呼ばれADSLサービスは受けられないのです。他社ADSLサービスのYahoo!BBにも申し込みましたが、Yahoo!BBも結局はNTTの同じ電話回線を使うようで開通は不可能だったのです。

わが家に光が!

そうこうするうちにNTTが東京、大阪で一部試験的にサービスを始めていた光ファイバーによるインターネット接続サービスが、奈良でも順次開始される事がわかり、まだわが家の周辺はそのエリア外ではありましたがサービスの提供が始まったらすぐに開通されるようNTTに申し込みをしました。
それから数ヶ月、まだまだ何年も先の話だとあきらめていた光ファイバー接続サービス(Bフレッツ)ですが、NTTから突然、「年末に開通できるよう準備が整いました。」と連絡が来たのです。工事は、既存の電話回線とは全く別に、新たに光ファイバを家に引き込みしてインターネット専用の接続を行います。
これは、部屋の中に設置された回線終端装置(ONU)と呼ばれる回線終端装置です。
ONUは、光ファイバーを100Base-TXのEthernet信号に変換する装置で、これにパソコンやルーターと呼ばれる装置を接続します。

どれだけ速いの?

ところで、現在主に使われているインターネットへの接続の種類とスピードを簡単に説明しましょう。

一般公衆回線(アナログ)0.03Mb/sec
ISDN 0.06Mb/sec
ADSL 8 Mb/sec
CATV 8 Mb/sec
光ファイバー 100 Mb/sec

左側が接続の種類で右側がそれぞれの伝送スピードです。一番上のアナログと言うのが従来ごく一般的に使われてきた電話回線にアナログモデムをつなげて接続する形で、ADSLは、その約200倍早く、光ファイバーは、約3300倍速いのがわかります。

速い速いってなんで喜ぶの?

ISDNの時は、Webサイトが表示されるまで時間帯にもよりますが、まったり〜〜と言う感じで、写真や文字が表示されるまでずいぶんと時間がかかっていました。
1画面が表示されるまでに、あまりの遅さに待ちくたびれてしまうって感じです。
それが現在では、どのサイトも一瞬の内に表示されるようになりました。ページをめくるように次々と表示されます。同様に、メールの送受信でも数Mbから数十Mbある写真等を添付したファイルもほんとに一瞬のうちに送受信できます。まさしく「あっ!」と言う間の出来事になりました。
www.microsoft.com/japan/ie/
現在標準的なインターネットブラウザである
Internet Explorer の最新版6 Service Pack 1をマイクロソフトのサイトからダウンロードするには、サイズは約 25 MBとなっていて、今まではダウンロードするのに何時間かかるのか検討もつきませんでしたが、あっと言う間に落ちてきます。紅茶を飲む間もなく手元に届くようになりました。これらは全て1秒間に送られてくるデータの量が、桁違いに多いため可能になったのです。

インターネットで見る映画

このように従来のインターネットの使い方でも時間的に劇的な短縮というメリットを受けれるのですが、他にはないのでしょうか?
あります。光ファイバーが送受信できる1秒間に100Mb(メガバイト)と言う伝送量は、サーバーからリアルタイムで映画を受信したり、テレビ電話をパソコンの大きな画面で使う事ができると言われています。しかし現在、実際に提供されているコンテンツ(番組)は1秒間に1Mb程度のものがほとんどです。光ファイバーがもう少し普及すれば、6Mb以上のDVD並の高品質の動画が配信されるでしょう。


あなたのお家で学術講演会?

さておき、現状でもブロードバンドだからこそ利用できて、薬剤師の勉強になると思うコンテンツを少し紹介しましょう。
これらはオンデマンド放送やストリーミング放送と言われ、インターネットで見る事ができる映像と音声を使ったものです。パソコンで講演会のビデオを見るって言う感じですね。
メディカル・ウェブ・ライブラリー
http://medical.tampa.co.jp/
これは、ラジオ短波が提供している医療関係者向けプログラムで、

○ 虚血性心疾患セミナー
○ 臨床薬剤師のための輸液・栄養療法シリーズ
○ スズケンDIアワー
○ ツムラ・メディカル・トゥデイ
○ キャンサー・トゥデイ
○ 薬学の時間

の6種類の番組を無料で見る事ができます。

その一つ、「臨床薬剤師のための輸液・栄養療法シリーズ」は、テルモが提供、日本病院薬剤師会が企画協力した番組で、ラジオ短波とBSデジタルで放送されたものです。
http://medical.tampa.co.jp/terumo/menu/
臨床薬剤師に必要な栄養輸液療法の基礎やトピックス、実際の薬剤業務などの番組内容です。
番組は、講演内容が音声でスライドや説明が画面に次々と表示されると言った形です。
現在では、70テーマまで視聴する事ができます。

次に紹介するのは、「メディカル・チャンネル」です。
http://www.medch.tv/
これはソニー(株)が運営・提供する、医療従事者のための、インターネット放送局です。パソコンで各種医療セミナーや学会の模様、オンライン医療講座等が好きな時に、何度でもオンデマンドで視聴できます。医療従事者向けの会員制サイトで登録は無料です。
番組は大きく3つに分かれていて、

○ 学会放送
○ セミナー放送
○ 教育講座

となっています。
< 教育講座 > 
金沢大学大学院医療薬学専攻の協力を得てソニーが作製したもので、医療薬学講座と題して「薬物代謝酵素の遺伝子多型と個別薬物療法」、「ファーマシューティカルケアの実践」、「リスクマネジメント」等の8番組があります。
< セミナー放送 >
「肺癌化学療法―最近の話題」「わが国の狭心症治療にβ遮断薬はもっと使われるべきか?」「心血管イベント抑制とカルシウム拮抗薬」等、12番組がそれぞれ数回のパートに分かれて放送されています。

家の前まで「 光 」は来ています

昨年後半から、県内のあちらこちらで、NTTの光ファイバーの敷設工事を本当によく見かけます。なにげなく見ていると普通の電話工事のようですが、クレーン車を使って電柱から電柱へ光ファイバーがどんどん張られていきます。光ファイバーが敷設された一帯の電柱の何本かには、AOクロージャーと呼ばれる光ファイバーを束ねた灰白色の箱(分枝ボックス)が設置されるので、これが近所の電柱にあれば、あなたの家の前にも知らない間に光ファイバー網が来ているのです。
現在のADSLの普及は低コスト化が大きな要因で、反対に光ファイバーが爆発的に普及していないのは、まだコストが割高なのがネックになっているからだと思いますが、このようにNTTの光ファイバー網の構築にかける意欲を見ても、低コスト化が始まるのは目に見えています。この1、2年の間にADSLから光ファイバー網が日本のインターネットの標準インフラになるのは間違いないでしょう。DVDを見るように家のリビングで講演会に参加するのが普通になるのでしょうね。
さあ、あなたも光の世界を見てみませんか?
See you online soon!