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2003.12
第7回 狭心症治療とその周辺の話題

日本人の死因の2位は?

www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei01/
厚生労働省「平成13年人口動態統計」によれば、心疾患は現在日本の死因の2位となっており、今後罹患率は確実に増加することが予想されています。


ACS(急性冠症候群)

虚血性心疾患セミナー
http://medical.tampa.co.jp/sinhp/sin-top.htm
 従来、狭心症は安定度から安定狭心症と不安定狭心症に分けられ、狭心症と心筋梗塞の境界は、心筋壊死の有無で判定されてきました。しかしトロポニンT等の新しい生化学マーカーの出現により、感度が向上するようになり従来のCPKによる判定では不安定狭心症とされたものも、急性心筋梗塞と判定される事もめずらしくなくってきたそうです。
ACS(急性冠症候群)actute coronary syndromeは、病体的、臨床的概念で、代表的な疾患は狭心症と心筋梗塞で、虚血性心疾患の分類や考え方を大きく転換させつつあります。
ACSとは(1回)
ACSの病態と診断(5回)
ACSの治療と予防について(8回)
ネット上で放送されています。
講師の方の音声とスライドで構成されています。


よくわかる循環器病

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/cvdinfo.htm
国立循環器病センターのホームページでは、心疾患全般についての情報が網羅されています。「よくわかる循環器病」と題して循環器病の原因や治療方法、予防、日常生活の注意など、さまざまな情報が一般の方向けに提供されています。
医療従事者向けの循環器病情報提供も順次開始されるようです。
虚血性心疾患の項目には、心臓の働き、冠動脈の働き、心筋梗塞症、心筋梗塞症の合併症、心筋梗塞症の危険因子、狭心症、狭心症と心筋梗塞のちがい、狭心症発作時の対処、日常生活の留意点、食事について、手術を受けられた人、ニトロ製剤の正しい使い方等の情報があります。


http://pharma1.med.osaka-u.ac.jp/textbook2/Pharm-Textbook2.html
以前ご紹介した薬理学電子教科書(下)にもAntiaginal drugs(狭心症治療薬)の薬理の説明があります。
血管平滑筋の弛緩作用の模式図では、血管内皮細胞に、Achやbradykininが作用した後myosin-light chainが脱リン酸化され平滑筋が弛緩するまでを詳しく知る事ができます

岐阜県薬剤師会

http://www.gifuyaku.or.jp/kyousin.html
岐阜県薬剤師会のホームページに、「狭心症と薬剤−Ca拮抗剤・亜硝酸剤について−」という題で 、
*狭心症の薬物療法
*Ca拮抗剤の作用機序と効果
*Ca拮抗剤の分類と特徴
  (第一、第二、第三世代Ca拮抗剤)
*Ca拮抗剤の使い方
*亜硝酸剤の作用機序
*亜硝酸剤の使い方
等の資料を見る事ができます。


ハートニュース病院壁新聞

http://www.jhf.or.jp/index.html
日本心臓財団のホームページに、患者さん向けですが、ハートニュース病院壁新聞と言うシリーズがあり、VOL33「狭心症:治療のための基礎知識」には、カナダ心臓血管協会(CCS)が作成した「狭心症の重症度分類」や、1999年に米国心臓学会議(ACC)、米国心臓協会(AHA)など関連学会が共同で作成した安定狭心症ガイドラインのなかの「安定狭心症治療のA to E」として、治療に必要な薬と日常生活の注意がアルファベット五文字で紹介されています。


高齢者の虚血性心疾患

http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/kouenkai/koza/48koza_2.html
東京都老人総合研究所のホームページで、東京都老人医療センター内科部長 大川 真一郎先生の「第48回 老年学公開講座狭心症・心筋梗塞をいかに克服するか」という講演の内容を読む事ができます。高齢者の虚血性心疾患の実体や特徴について話されています。
以下、少し抜粋してみます。

冠状動脈の硬化狭窄の程度を冠状動脈狭窄指数(CSI;満点15点)というもので表現すると、老人の心臓約1000例の統計では、平均CSIは9.1/15で、その内訳は軽度39%、中等度34%、高度は27%でした。全剖検例の22.5%に心筋梗塞が認められ、その平均CSIは11.2/15でした。冠状動脈狭窄指数が高い程、心筋梗塞の発症率が高頻度であると認められています。また高齢者の心筋梗塞は急性期でも胸痛を自覚する人は40%くらいで、逆に無痛性梗塞(無症候性心筋虚血の一つ)が稀でないこと、一般成人の梗塞に比べて後・下壁梗塞や心内膜下梗塞の多いこと、心破裂の頻度の高いことなどが特徴とされています。


経皮的冠動脈インターベンション

冠動脈インターベンション:percutaneous coronary intervention(PCI)はカテーテルを用いた内科的手術で、バルーン、ステント、ロータブレーター等を用いた治療と言った方がなじみがあると思います。
PCIは、薬物治療、冠動脈バイパス術とともに、狭心症治療の3本柱と言われており、近年日本では、欧米に比べ非常に件数が多くなって来ています。
しかし、PCI後の再狭窄率は、40%とも言われ、また不必要としか考えられないインターベンションやバイパス手術の適応であるのにインターベンションが行われるのが時にみかけられるとも言われているようです。

http://e-medicine.sumitomopharm.co.jp/e-medicine/e_video/t_020919.html
住友製薬の「e−VideoOnline」というサイトには、「わが国の狭心症治療にβ遮断薬はもっと使われるべきか?」と題して、安定狭心症に対する治療として冠インターベンション治療が広く行われているが、薬物治療がPTCAに匹敵する予後改善効果を示すとの日本心臓病学会での報告を視聴する事ができます。


www2.kpu-m.ac.jp/~med2/group/cardio/01.html
京都府立医科大学の循環器内科部門−冠動脈インターベンション治療部のホームページの「これからの冠動脈インターベンション」という項目にも、これまで発展に継ぐ発展を重ねてきたインターベンション治療は曲がり角にさしかかっているという情報が載せられています。


www.jnj.co.jp/press/pr/pr021010/pr_021010.html
しかし、技術の進歩は急速に進んでいるようで、薬剤を溶出する冠動脈ステントが開発されつつあります。これは、ステントから免疫抑制剤であるシロリムスが放出されることで新規冠動脈病変の再狭窄を著しく減少させるのが目的で、再狭窄が数%に減少したとの報告も出ているようです。
www.so-net.ne.jp/medipro/nankodo/xforeign/nejm/346/346jun/34623tw.htm
再狭窄率が、標準ステント群で 26.6%,シロリムスステント群では 0%だったいう
New England Journal of Medicine (NEJM)
への報告があります。日本でも実用化が待たれる技術です。


と言う事で今回は、狭心症とその周辺の話題について書きましたが、いかがだったでしょうか?
See you online soon!