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みゅーじんFile.


〜 第14回 〜 2006.01.14 Sat

作曲家・ピアニスト

西村由紀江

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みゅーじんファイル、西村由紀江。






初めの頃はもう毎日、家に帰ったら落ち込んで、
泣いてっていう繰り返しだったんだけど。

「あなたこの業界向いていないね〜」
って、いつも言われてたし。(笑)






今年でデビュー20年。

今思えば、幼くして才能を認められながら、
自分では何ひとつ自信がもてなかったというあの頃。

彼女はその後も多くの壁にぶつかっていったのです。






私が、うん それなりに、あの〜、
ぶつかっていきながら、ピアノを弾いてる
っていうことが、すごくその、いろんな人の心に
こう共感を持ってもらえるのかなって思うんですよ。

あたしがすごく恵まれた環境の中で、
何の苦労もなく弾けたら、なんか
その心に届くものにはなかなか
ならないような気がする。






彼女は今、自らのライフワークとして、
日本各地で学校コンサートを行なっています。

この日やってきたのは、岩手県盛岡市にある小学校。

幼い頃から多くの壁を乗り越え、ようやく
人に伝えられるものを手にしたという彼女は、
そこで 子供たちに 何を与えようとしているのでしょうか。






私が音楽を、届けて、提供してるんじゃなくて、
いっぱいもらってるの。

子供たちのすごいまっすぐな、あの純粋な心に触れると、
ちょっと私の中で、迷っていたことがなんか
「スコーン」と答が見えたような気がするときもあるし、
こういうふうに 純粋に生きていければいいな〜って
あたしもこんなふうになりたいな〜って思って。

心の、なんか整体をしてもらってるみたいな。
うん。感じがするし。

あとで感想文もらったときに、あの
「僕は柔道をやってるけど、西村さんの
頑張ってる姿見たから僕は柔道、やります」って。
「西村さんも頑張ってください」っていうね。(笑)
なんか、それぞれの道で、なんか「頑張りたい」とかね。
もうなんかそういう〜、前向きな気持ちに、
なってもらえるのが、一番うれしいかな。






また彼女はライフワークとして、
病院でのコンサートも行なっています。

それは、子供たちと接するときと全く同じ想いから。


さらに今年の3月には、彼女が音楽を担当した映画、
「子ぎつねヘレン」が公開されることになりました。

この物語は、ただひたすら懸命に
生き抜いていこうとする者の、
強さを描いた命への賛歌。

彼女はそのひたむきさに惹かれ、
自らのピアノを重ね合わせていったのです。






ピアノのおかげで、デビューをして
すごく 大変な思いしたんだけども、
大変な思いして家に帰ってきたときに、
やっぱり向かうのはピアノしかなくて。

「もう今日は大変だったんだよ〜」って言いながら
ピアノ弾くと、ピアノが「そうだよね〜大変だったね」
っていうふうに、なんか私を励ましてくれるような感じがして。






あるときはピアノに悩み、あるときは
ピアノに励まされて歩んできた 果てしなき道のり。

これからも純粋に。そして、ひたむきに。



音遊人
西村由紀江


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