音遊人
みゅーじん
〜 第13回 〜 2004.06.25 Fri
音楽家
坂本龍一
音遊人(みゅーじん)
この番組は、YAMAHAの提供で お送りします。
世界が認める音楽家、坂本龍一が、
ニューヨークで過ごしたこの1年とは。
このニューヨークのダウンタウンの
自宅のスタジオで、もうほんとに毎日コツコツと、
俳人が俳句でもつくるように、(笑) あるいは
陶芸家が陶器でもつくるようにこう、
ほんとにじっとこもって、(笑) その日、その日、
思いついたことを、ほんとに 音を刻むようにね。
そういうことをだいたい繰り返してたんですね。
そうしてできあがったアルバムが、
この「 CHASM (キャズム) 」。
世界中の一流アーティストが
参加してできたのが このアルバム。
その制作中に起こったのが、
イラク戦争でした。
犠牲んなる必要のなかった人たちが
たくさん犠牲んなってるわけだから、
ほんとに、おかしいと思った。
理由なき、大義なき戦争ってまぁ、
あちこち誰でも聞きますけど、
ほんとにそう思います。
すごく、すっごくなんていうのかなぁ、
それを止められないことにこう、
フラストレーションを感じていたし、
かといって僕は政治家でもないしね。
物書きでもないんで。
ギターでコードが弾ければ
高田渡かなんかと歌いたいぐらいなね、
感じだったんですけど、(笑)
それもできないので、まぁ
ああいうかたちになったんですけど。
弾けちゃったらやっちゃってた
かもしれないんで、(笑)
そういう自分もいるんですけど。
毎日のように報告されるイラクでの悲劇に、
今や反戦ムードも高まるニューヨーク。
そんなニューヨークを舞台に、
坂本さんは一人の音楽家として、これから
何を追い求めてゆこうとしているのでしょう。
まぁ、「CHASM」っていうものを、
単発で出してそれで終わりにしちゃうんじゃなくて、
発展させていきたいな〜とは、思って。
「1.5」とか「2.0」とか、
今後出していこうと、思ってるんで、
まぁだから、今年の音ですよね。
まぁ「今の音」。というものを、ちょっと
探求してるところなんですけどね。
彼が探求している今の音には、きっと、
たくさんの感情やメッセージが
潜んでいるに違いありません。
音遊人
坂本龍一
この番組は、YAMAHAの提供で お送りしました。