夢惑う世界・昆虫たち 昆虫館<万華鏡> 昆虫万華鏡 |
46 昆虫万華鏡<チリ> | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第1回:2002年12月22日 〜 2003年 1月 3日
1 北部
(1)自然について アタカマ砂漠にあるカラマは、川沿いに発達した町である。町周辺には、草木は皆無に近く殺伐とした風景が続く。町の縁を流れる川沿いは、2〜300mの緑地帯となっていて牧草?が植えられているだけであった。ちょうどこの時季は、イネ科植物は枯れていて枯れ草色の草地が広がっていた。
砂漠では、人為的に植えた物以外は非常に僅かな草(多分、マメ科植物)が窪地に生えている程度であった。
(2)昆虫について カラマでの昆虫は、紹介するほどいなかった。砂漠の中の昆虫を少しでも見たかったので、少しでも緑のある場所を目指したのだが。
チョウは、ウラナミシジミに似たトリゲッマトゥスカクモンシジミが1種、そしてアントファガスタで見たタテハ(多分アカタテハの仲間)だけである。
ここでもヒメルリボシヤンマを1種掴まえた。川沿いと言うこともあってかヒメルリボシヤンマは、意外と多く見受けられたがオスを採ることができなかった。但し、ヤンマの餌である蚊などの昆虫は、殆ど見受けられなかった。アブ、ハエ、ハチも非常に少ない。
アタマス砂漠に棲むというゴミムシダマシを見てみたかったのだが、結局歩き廻っている甲虫と1匹も出会さなかった。発生時期が違うのか、ちゅっと寂しい。バッタ、イナゴの類も見ることがなかった。
2 中部
(1)自然について サンティアゴより80kmほど北に行ったロス・アンデスは、緑豊かとは言えない場所だった。山々は、疎らに灌木で覆われているに過ぎない。アカシア科、イネ科、マメ科の乾燥に適した植物が茂っている。北部同様、この時季は、イネ科植物は枯れていて枯れ草色の草地が広がっていた。
気温は汗をかくほどの暑さではないのだが、紫外線はここでも強い。遠くに白い雪を被ったアンデスの山々を望むことができる。
(2)昆虫について ロス・アンデス周辺では、数少ないながらも楽しめるだろう。昆虫相は、アンデス東部側と、そう変わらないものと思われる。
チョウは、キオビアオジャコウアゲハ(未採集)、シプリスオオキチョウ(未採集)、メルケディスアミメモンシロチョウ、カリエアカタテハ、ヤニロイデスベニヒカゲモドキ、モラニアチリギンジャノメ、そして数種類のセセリとシジミがいる。
トンボは、アンデスに多いヒメルリボシヤンマの1種、そしてアカネ?(未採集)である。
これ以外には、セミが2種類いたことである。1種類だけ採ることができたが、アルゼンチンのパタゴニアで採ったフトヒメゼミの仲間であった。そして、大きなコオロギの仲間と、白い毛で覆われたアリバチも嬉しい虫たちである。
3 南部
(1)自然について サンティアゴから飛行機で南下を40〜50分もすると、黄褐色の大地から緑の大地へと移ってゆくのが分かる。チリ南部は、緑の大地である。森林の多い南部の民家は、木造家屋である。この時季草地は、白いマーガレットや黄色いジシバリで覆われ、北半球で言うところの北国のお花畑の風景そのものとなり美しい光景である。
朝の気温は、10度台前半で肌寒いくらいだが、日中は暖かく陽が傾いてくると西日が非常に強くなってくる。しかし、木陰はいつも涼しい。
南部では、夜10時頃まで明るく、街中は夜でも人々で賑わっていていい光景である。
(2)昆虫について 緑が豊かなので、昆虫もさぞ多いだろうと思っていたのだが、然に非ず、昆虫は数も種類も少なかった。
チョウは、オオモンシロチョウ(人為的?)、メルケディスアミメモンシロチョウ、ウァウティエリモンキチョウ、テレプシコレアカタテハ、カリエアカタテハ、そして4種のセセリチョウと3種のジャノメチョウである。このうちジャノメチョウだけが森林性のチョウである。シジミチョウは、バルディビアの街中で、ちらっと見ただけである。
トンボは、ここでもヒメルリボシヤンマ(中部にいた種と同じ)が草地にいっぱいいた。特に、ここにいた小形のアンデスエゾトンボは、なかなか美しい種である。他に、4種類のイトトンボがいた。
セミは、ここでもフトヒメゼミがいた。フトヒメゼミとしては、ちょっと珍しく長いフレーズの啼き声だった。
それ以外の昆虫も非常に少ないのだが、特筆すべきは、世界最大のマルハナバチ、インカマルハナバチだろう。数は、多くないが近付いてくると大きな羽音で分かる。草地が多いのに、バッタ、イナゴを殆ど見ることがなかったのは不思議である。
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