第1回:2004年12月28日 〜 2005年 1月 7日
 1 南部
 (1)自然について
 アフリカ大地溝帯にあるエチオピア南部は、高地エチオピアとしては低地になるがそう暑くなるようなことはなさそうだった。ただ乾燥した気候であることには間違いない。多くの土地がサバンナのようであるが、山が発達したところでは、緑が茂っている。しかし下草も生い茂った森林とまではいかない。
 サバンナ地帯であるアワサ湖周辺も湖の周囲に僅かに森林があるが、やはり周囲はサバンナである。アワサ湖で特筆すべきことは、鳥が非常に多いと云うことである。大空には大きなアフリカハゲコウを含めた猛禽類、そして湖畔の水草には水鳥、岸辺には絶え間なく囀り続ける小鳥たちと驚くほどの種類の鳥がいた。
 山腹の森林地帯であったウォンド・ゲネットは、山から流れる渓流もあったので森林には恵まれていた。山の方へ行くと乾燥していたので、山腹がちょうど良さそうである。
 (2)昆虫について
 サバンナ地帯では、主にツマアカシロチョウを含めたシロチョウが多かった。
 アゲハチョウは、アフリカオナシアゲハ(未採集)だけを見た。
 シロチョウは、エウィッペツマアカシロチョウ、?ツマアカシロチョウ、ロゲルシツマアカシロチョウ、クリソノメツマアカシロチョウ、レギナツマアカシロチョウ、クレオナヘリグロシロチョウ、?ヒメウラナミシロチョウ、そして何処にでも出没するフロレッラウスキチョウなどである。
 マダラチョウは、カバマダラかなと思ったのはいたけれど、多分ホソチョウだろう。
 ジャノメチョウは、ちらっとコノマチョウ位の大きさのジャノメを湖畔で見ただけである。
 タテハチョウは、アンワタラヒメキマダラタテハ、アフリカタテハモドキ、カバマダラによく似たエンケドンホソチョウなどがいたがやはり多くない。
 セセリチョウは、マティアスチャバネセセリとちらっと見ただけなのだがチビチャマダラセセリ(未採集)がいた。
 トンボは、イトトンボが4種、そのうち1種はベニイトトンボの仲間のようであった。斑紋がミヤマアカネに似たヒメトンボ、ショウジョウトンボのように真っ赤なトンボ(未採集)、多分アフリカ大陸では初めて掴まえたハネビロトンボの1種、そして汎世界種のウスバキトンボ、そしてアフリカに広く生息しているイムペラトルギンヤンマがいた。一年中水を湛えている湖だからもう少しいると期待していたのだが、思ったより少なかった。
 その他の昆虫は、余り見つけられなかった。クマバチの仲間が、3種ほど飛び回っていた。
 山腹森林地帯では、全く期待してなかったエチオピアの森林昆虫を見ることができた。
 アゲハチョウは、アフリカオナシアゲハ(山の上など乾燥したところに多くいた)、オスジロアゲハ、ミクロプスアゲハ、ウィルソニアゲハである。ミクロプスアゲハ、ウィルソニアゲハは、久しぶりに見たルリアゲハの仲間である。
 シロチョウは、?クロテンシロチョウ、アガティナネキシロチョウ、アサギシロチョウみたいなタラッシナウスアオシロチョウ、そしてフロレッラウスキシロチョウなどである。
 マダラチョウは、エケリアシロモンマダラ、?シロモンマダラ、ニアウィウスシロモンマダラに似たシロモンマダラ(未採集)、カバマダラ、そしてコモンマダラの仲間では一番美しいと思われるフォルモサコモンマダラがいた。
 ジャノメチョウは、ここでも少なく?アフリカコジャノメを掴まえただけである。
 タテハチョウは、カンディオペフタオ、アウビニフタオ、?フタオ、パラッススシンジュタテハ、ドリオペハガタオビタテハ、ヒアルバスハガタオビタテハ、エウリティスウラベニヒョウモン、アガタミスジ、オピオネミスジモドキ、テレアタテハモドキ、ソピアタテハモドキ、アフリカタテハモドキ、小形のホソチョウ3種と今まで見たホソチョウの中では一番赤く染まって見えたオスカリホソチョウがいた。エチオピアでフタオチョウに会えるなんて思ってもいなかったので幸運である。
 テングチョウは、これまたエチオピアで見るなんて思ってもいなかったので嬉しい限りである。ラブダカテングチョウがいた。
 シジミチョウは、2種のカクモンシジミ、カリケマダラサカハチシジミ、2種のニセキララシジミなど東アフリカとしてはこんなところかも知れない。
 セセリチョウは、オリエンタリスアフリカタカネキマダラセセリ、ガレヌスキコモンセセリなど小形種が主であった。
 トンボは、ここにもニジイロハナダカトンボがいた。イトトンボが2種、ポルティアヒメハラビロトンボ他トンボが5種ほどいた。そしてルリボシヤンマの仲間が2種類飛んでいた。
 セミは、1種類啼いていたのだが、数も少なく樹上高くだったので見つけることさえもできなかった。
 その他の昆虫は、なかなか見つけることができなかった。多分ヒトリガの仲間だと思うが、美しいガを一匹見つけた。また緑と茶色のツートンカラーのカナブンも良かった。
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エチオピア南部サバンナの採集地 |
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イムパルティタヒメキトンボ |
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エチオピア南部森林の採集地 |
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オリエンタリスアフリカタカネキマダラセセリ |
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 1 中部高地
 (1)自然について
 アジス・アベバ(標高2300〜2500m位)の裏手にある小高い丘(ウントット山3000m)は、一昔前オーストラリアから移植したユーカリが林を構成している。林内は、ユーカリのせいか放牧のせいかは知らないが、下草はほとんど茂っていない。ウントット山は、山頂まで人が住み着いているのでゴミも多かった。
 アジス・アベバは、朝晩の気温は10℃近くまで下がるが、日中は20℃強と云ったところだろうか。高地なので紫外線は、強い。
 (2)昆虫について
 ウントット山の林内で2時間ばかり採集した。
 寒さに強そうなエレクトモンキチョウ、モンシロチョウより2回り大きいエチオピアオオモンシロチョウ、寒さにも強かったフロレッラウスキシロチョウ、ルリボシタテハモドキ(未採集)、アフリカタテハモドキ(未採集)、アビッシニカアカタテハモドキ、ステッラタシロゴマシジミ、ディストラクトゥスツマジロシジミ、パレモンヒメルリクサシジミなどであった。多くのチョウが高地に特化したという訳ではなさそうである。
 シオカラトンボの仲間もいた。
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