第1回:1998年12月23日 〜 1998年12月28日
 (1)自然について
 12月下旬アンタナナリボの上空より見下ろすと、川は氾濫し水田は水で溢れていました。森林は、残念ながら周辺には見当たりません。
 アンタナナリボの街並みは、擂り鉢状の所に縁までびっしりと家々が立ち並んでいます。高層ビルの新しいのは、見かけませんでした。夕方6時半になると、店もレストランも全て閉まってしまい、食事のためにホテルを出たのですが、結局しょんぼり帰ったこともあります。ビルの軒下には、多分田舎から出てきた人たちだと思いますが、段ボールを敷いて夜を過ごす用意をしている人たちがいっぱいいました。
 人は、東南アジア系、アフリカ系の顔立ちをしていて、ここがアフリカの一部であることを忘れてしまいます。
 アンタナナリボより東へバスで3時間の所に、ムラマンガという町があります。町の周囲には、疎林はありますが乾燥した土地が広がっています。マダガスカル島部は、熱帯雨林地帯と言いますが、この辺りもまだ森林は見つかりません。アンタナナリボの標高は高く、そして、このムラマンガは、1ステップ標高が下がります。だらだら低くなるのではなくて、高原から斜面を一気に下ります。この斜面上部から下部にかけて、大分伐採されていますが、森林は少し残っていました。しかし今も、伐採は続いています。遠く山道を下って、角材を担いだ人たちが下りてきます。国道の周辺には、森林はありません。谷間の湿ったところには、バナナが植林されています。人々は、奥深くで加工された角材を数時間かけて担いできます。すごいものです。
 ここは亜熱帯地方ですが、日中もそんなに暑くありません。夜は、少しひんやりする位です。
 (2)昆虫について
 アンタナナリボの東へ120kmの所に、ムラマンガという町があります。周囲は、乾燥していて、チョウの種類は、少ないです。日本でも、たまに見られるブリギッタキチョウ、朱色が美しいエバンテツマアカシロチョウ、トガリシロチョウの仲間、やはり青い紋が光を受けて美しいオエノネタテハモドキ、ちょっとここのは小形でした。
 テレプシコレホソチョウがひらひらと舞っています。そして時々、デモドクスアゲハが翔んでゆきます。疎林の中には、赤い紋のタマテバエウラナミジャノメがいます。ニイニイゼミが啼いています。路上では、山でも見られたエクエストゥリスハンミョウが走り回っています。トンボが多く、アフリカで初めて見たチョウトンボ、ハネビロトンボなどが飛び回っていました。
 ムラマンガからアンタナナリボの方へ約30kmほどの所から高原への上りとなりますが、この地点から森林も始まります。トンボが非常に多く、ミナミトンボの仲間が3種、うちわを持ったヤマトンボやサナエトンボ、鮮やかな青が何とも美しいギンヤンマ、そしてベニトンボ、シオカラトンボなど、アフリカではこんなに見たことはありませんでした。セミは、やはりここにもニイニイゼミがいます。そしてクサゼミ位の小さなセミも啼いていました。そして非常に多くのハナムグリが花や果実に群がっています。
 チョウは、これぞアフリカというフタオチョウは見ませんでしたが、尾っぽのあるルリアゲハ・オリバズスアゲハやデラランディアゲハ、ミナミコモンタイマイに似たキルヌスタイマイなどのアゲハがいます。トガリシンジュタテハは、ごく普通にいて、そしてカバイロシンジュタテハも、時折翔び出してきます。ここにもタテハモドキが多く、特に、青いマダガスカルタテハモドキは、マダガスカルにだけ棲む美しいチョウです。同じくハガタムラサキも、ここだけの大きく贅沢なタテハです。ホソチョウは、ジチャホソチョウ、マサンバホソチョウなど、サクラバミスジ、エレガンスイシガケチョウなどもいます。ネキシロチョウ、クロテンシロチョウと、やはりここはアフリカです。ウラナミジャノメとフチナミコジャノメの仲間は、各々似た種類がいっぱいいて、もういいやなんて思わないで採っておかないと後で後悔することになります。セセリ、シジミは、今ひとつですがカクモンシジミ、ヒメルリクサシジミの仲間やラマナクアフリカアオバセセリは、普通にいます。
 そしてカマキリも2種掴まえました。カマキリは、なかなか成虫を見つけるのは難しいのですが、今回運良く2匹も掴まえました。ラッキーです。
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