第1回:1995年11月24日 〜 1995年11月26日
 (1)自然について
 1990年6月の大地震の影響は私には、見て取ることができませんでしたた。標高1600mの台地に広がった街は、坂が多く、非常に不安定に思われましたが、人々が行き交い街は賑わっていました。周囲には、歩いて行けそうなところには、森林は存在しないので車で行くほかありません。有名な採集地であるサント・トーマス山は、山頂付近まで殆ど森林はなく、車で上っていくと途中で心配になってしまいます。途中で車を降りて採集しようとしましたが何もいませんでした。山頂付近は、通信の中継点みたいでアンテナが所狭しと立ち並んでいましたが、頂上から見た景色は、これまた格別です。
 一方、街から下って行くと植生は見る見る熱帯色豊かになり暑くなってきます。しかし道が悪いので、のらりくらりと進むことになります。アシン・ホットスプリングの周辺は、森林の中に入ってゆくような径はなく、採集には向きません。アシン・ホットスプリングより先にも道は続いていますが、さっぱり駄目です。でも、もう少し下ってみる価値はあるかも知れません。また日曜日は、ここのプールにバギオの人たちも押し掛けて賑わっていて、昆虫採集どころではありません。しかし、ここの人たちは、網を持って歩いていても、何ら気にするところはないみたいです。国民性(民族性)の違いは、様々です。アシン・ホットスプリングの手前2km位のところに川があり、川に沿って少し径が続いているし、川にも下りることができます。少しは、フィリピンを感じさせてくれるでしょう。
 (2)昆虫について
 バギオ周辺は、昔から有名な採集地です。でもその昔のことは、私には分かりません。
 サント・トーマス山の手前で車を降りて歩きます。尾根沿いの道には、カザリシロチョウ、ベンゲットアゲハが吹き上げられてきます。最初の塔があるところにも、頂上付近にベンゲットアゲハが翔んでいました。更に上には、日本で馴染みのルリタテハやピレアサギマダラ、そして頂上の雑然とした塔の間をベンゲットアゲハ、カザリシロチョウ、トガリシロチョウやルリシジミの仲間が翔んでいます。高い山の上で、のんびりとチョウを採集するのも、これまた風情があっていいものです。
 アシン・ホットスプリングは、森林への道が見つからなかったせいかあまり成果はありませんでした。アカネアゲハ、キシタシロチョウ、ピンプレアダマシヒカゲ、ソトグロカバタテハ、コルメラトガリミスジ、オルフェウスモリノオナガシジミ、タガリカウラギンシジミ、そしてアシン・ホットスプリングの手前の渓流でダマキンミスジ、アルフェノールアゲハやフィリピンオビクジャクアゲハが見受けられました。
 トンボは渓流沿いを中心に、ミドリカワトンボに似た翅が紫色のカワトンボ、スキバハナダカトンボ、フィリピンコシアカトンボなどです。
 セミも採集しているのですが、声はすれども姿は見えずでなかなか採ることはできません。
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