 1 南東部
第1回:1999年 7月18日 〜 1999年 7月22日
 (1)自然について
 アメリカ南東部のジョージア州に行って来た。アトランタから北へアパラチア山脈の南の端に位置するダルトンである。アトランタ郊外から、すぐ緑豊かな森林が始まり、見渡す限り森林が道路沿いに連なっていた。ダルトンの街周辺も森林で囲まれていて、家々の庭には、自然のままの大木が、どっしりと構えている。しかし、騙されてはいけない。多分歩かない人は、豊かな緑を絶賛するだろうが、この緑は非常に多くの道路で分断された自然林を形成している。街周辺が、既に郊外の別荘地みたいで、素晴らしいのだが、何処まで行っても立派な道は延々と続いている。この国は、やはり車社会である。
 この時期は、非常に暑く大気は不安定である。街中でさえ歩く人は殆どいないので、山中を歩いている人なんて一人も出会うことはない。道路沿いに生えているセリ科の花などを見ていると、やはりここも温帯地方であることを感じ取ることができた。
 (2)昆虫について
 ダルトンの街中でもセミが、喧しく啼いている。そして道端には、カプレオレスミヤマクワガタやキベリコツノヒシムネハナムグリなどが転がっている。なかなか緑豊かなのだが、昆虫採集となると、やはり山へ行くしかないだろう。山側は、少し乾燥気味で、そのせいか昆虫は、非常に少なかったのだが、森林内では、アオイチモンジがゆっくりはばたいていたり、葉上に止まっていたりしてした。
 そしてベニヒカゲを大きくしたようなペガラオオモンヒカゲは、すばしっこく木々の間を縫って翔んでゆく。炎天下の開けた場所には、花々にアメリカカラスシジミ、コミンタスツバメシジミ、ニキッペキチョウ、オオアメリカモンキチョウ、そしてニクティスホソバタテハ、タロスミナミヒョウモンモドキなどが蜜を吸いに訪れている。他にもアタランタアカタテハやウェルギニエンシスアカタテハもいる。セリ科の花に、アゲハチョウの仲間の一令の幼虫が5〜6匹へばり付いていたのだが、最後まで成虫は見ることができなかった。セミも2〜3種類が啼いていたのだが、手中にすることができなかった。しかし、エゾハルゼミ風のぺっちゃんこになったセミとチッチゼミ風のアリにすっかり食われたセミを見た。日本のスジクワガタによく似たクワガタ、2種類のハンミョウ等々甲虫類も拾ったり、山頂でナンベイコカブトムシまで拾ったりした。
 平地の川沿いの道では、いっぱいイトトンボが群れ飛んでいて、似たようなイトトンボが6種類もいた。その他にもトンボやヤンマも川面や上空を飛んでいたが、網の届く範囲には来てくれなかった。チョウは、余り多くなく、クスノキアゲハ、エノキタテハ、クエスチョンマークタテハ、バティマニイテングチョウに混じって新熱帯区のセンナエオオキチョウが翔んでいた。そして道端には、いつの間にかメタルグリーンのムツモンミドリハンミョウが来ていた。
 2 中西部
第1回:2003年 7月19日 〜 2003年 7月25日
 (1)自然について
 緑が鬱蒼と茂った大森林が続いていることを想像してきたのだが、山々は、ごま塩状態で所々に木々が茂っているだけである。そして、山全体が枯れ草色に染まっていた。大陸の内陸部だけあって、7月8月の夏季は、日中40度近い気温になるので、乾燥に強い木々が優勢になると思われる。
 多分5月から6月にかけてが、素晴らしい世界になるだろう。そう言えば、こんな所にもハチドリがいた。
 (2)昆虫について
 情けなくなるほどの山々の光景であったが、とにかく谷間などの水のありそうな場所を訪れた。そこには、数は多くないがチョウやトンボも訪れていた。
 アゲハチョウは、カナダでも見た大きなムルティカウダタアゲハだけであった。シロチョウは、モンシロチョウ、アメリカシロチョウ、2種のモンキチョウである。マダラチョウは、頭上高く翔んでいったオオカバマダラ(未採集)がいた。ジャノメチョウは、結局1種ペガラオオモンヒカゲだけであった。タテハチョウは、幅の広い白帯が美しいウェイデメイエリイイチモンジ、後翅裏の銀紋が美しいギンボシヒョウモンが3種、2種のアカタテハ、クラウディアトケイソウヒョウモンだけである。シジミチョウは、エピザンテベニシジミ、メリッサヒメシジミ、紅色の紋が美しいロッキーシジミなどである。セセリは、アルボマルギナトゥスミヤマセセリやルリコラアカセセリなどがいた。
 トンボは驚いたことに、オニヤンマの仲間がいた。他には、2種のルリボシヤンマ、トンボは数少ないがハネビロトンボの仲間(未採集)を見た。イトトンボは、やはり青の体色が好きみたいである。
 セミは、チッチゼミの仲間(未採集)が1種啼いていただけである。
 甲虫は、残念ながら余り見かけなかった。ただ、ナナホシテントウにそっくりなテントウムシがここにもいた。
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