夢惑う世界 雑記帳 随想録<澪標>
夢惑う世界4.1.1.6 ポイ捨て
2001年5月4日  森みつぐ

 自然は、循環系である。40数億年の間、生命もこの枠組みの中で進化してきた。しかし、ここ数10年の間に、ネズミ算的に増え続けてきた人間が、ゴミを大量生産して、廃棄処分している。ゴミを生産した人間は、いつしか死んで循環系の中に取り込まれてゆくのだが、生産されたゴミは、いつまでもその存在をアピールし続ける。
 私は、しばしば発展途上国を旅する。そして、バスに乗る。そこで良く目の当たりにすることは、車窓からのポイ捨てである。ひと昔前までは、包装はバナナの葉など自然の賜物であった。ポイ捨てをしても、短い期間に自然の循環系の中に取り込まれてゆく。しかし、今は、ペットボトルだったり、ビニール袋だったりで、自然にとっては、手に負えない物が増え続けている。自然と一体になって生きている人々は、不必要な物は自然に戻せばいいのである。その不必要な物の本質が変わった今、新しい倫理観の構築が求められるが、先進国からの輸入は、金儲けのための物しか入ってこない。それどころか、先進国のゴミ事情も似たり寄ったりである。アメリカなどは、山などで舗装された道を歩いていると、脇の草むらは、プラスチックからビンなどのゴミが散在している。酷いものである。当然、日本も同じ状況であるし、それ以上でもある。
 便利さを追求しようとすると、効率性を追求しようとすると、更にゴミを増やし続けることになる。不必要な物から必要な物への循環(リサイクル)は、自然の循環とは、また別の循環系を構築する必要性が求められているのである。そして、私たち個人には、如何にして、この新しい循環系を成り立たせられるように支援できるかにかかっている。ポイ捨ては、この2つの循環系を破壊する行為であるという認識を持つ必要性があろう。
 それにしても、発展途上国でのプラスチックゴミは、どうなるのであろうか。美しい国土が、ゴミに埋もれている。

Copyright (C) 2001 森みつぐ    /// 更新:2001年6月10日 ///