三岐鉄道 ワ1形
ワ1形(1〜47)
 ワ1形は10トン積車で47輌存在したが成り立ちは様々で、グループ別に紹介する。

●新造グループA(1〜10)
 ワ1〜8は1931(昭和6)年6月、三岐鉄道の開業に合わせて梅鉢鉄工所(→帝国車輌工業→東急車輌製造大阪工場)で新製した木造車で、ワ9は1941(昭和16)年1月、ワ10は1947(昭和22)年9月にワフ1形1・2から改造されたもので、うちワ2〜9は昭和30年代に鋼製改造されている。1965(昭和40)年12月にワ1・3・7、翌年9月にワ2・5・6・10、1967(昭和42)年9月にワ4・8、1970(昭和45)年2月にワ9が廃車解体されている。

●譲受グループB(11〜13・17〜46)
 ワ11・12・25・28〜36は鉄道省ワ1形を、ワ13・17〜24・26・27・37は鉄道省ワ22000形を1949(昭和24)年4月〜翌年12月に、ワ38〜46は国鉄ワ21600形を1952(昭和27)年4月に譲受している。車輌の経緯を下表にまとめる。ワ11・12・25・28〜36は全車木造車のため1952(昭和27)年〜1960(昭和35)年に鉄道省ワ22000形に準じた鋼製改造されている。救援車化されたワ27と名古屋臨海鉄道へ売却されたワ31を除いて、1965(昭和40)年12月から1970(昭和45)年6月に廃車解体されている。最後まで救援車として残ったワ27は、当初袋詰セメント輸送で活躍したが、晩年は電車故障時などの救援車となった。小型のため1986(昭和61)年2月に廃車となったが、車体は沿線の会社倉庫として現在も使用されていたが、現存しない。一方、ワ31は1965(昭和40)年11月に名古屋臨海鉄道へ売却されワ1形1となり、救援車として現在も在籍している。
表1(ワ11・12・25・28〜36)
製造所 製造年
国有化 鉄道院
1911.1.改番
鉄道院
増トン改造所
下段へ
山陽鉄道兵庫工場 1906. 山陽鉄道 1906.12. ワ17013形17234 大宮工場
山陽鉄道兵庫工場 1905. 山陽鉄道 1906.12. ワ17013形17184 名古屋工場
日本鉄道盛岡工場 1898.9. 日本鉄道 1906.11. ワ7817形8314 小倉工場
日本鉄道大宮工場 1901.12. 日本鉄道 1906.11. ワ7817形8646(推定) 不明
汽車製造 1904. 鉄道作業局
ワ10343形10843 長野工場
日本車輌製造本店 1905.12. 鉄道作業局
ワ10343形12051 四日市工場
鉄道局新橋工場 1889. 鉄道局
ワ9868形9951(推定) 不明
松井工場 1898.7. 北越鉄道 1907.8. ワ15110形15125(推定) 不明
天野工場 1899. 鉄道作業局
ワ15529形15592 釧路工場
東京車輌製造所 1899.6. 九州鉄道 1907.7. ワ15679形15769(推定) 不明
山陽鉄道兵庫工場 1905. 山陽鉄道 1906.12. ワ17013形17067 大井工場
平岡工場 1898.12. 中国鉄道 ワ4 1944.6.

上段より 鉄道院
改造年
鉄道院
増トン改番
鉄道省
1928.改番
譲受認可 三岐鉄道
ワ1形
鋼製化 廃車
1927.8. ワ57000形58515 ワ1形8130 1949.4. ワ11 1960.8. 1965.12.
1927.11. ワ57000形58601 ワ1形8212 1950.4. ワ12 1955.3. 1965.12.
1920.3. ワ50000形50512 ワ1形534 1950.8. ワ25 1954.10. 1970.4.
不明 ワ50000形50828 ワ1形822 1950.8. ワ28 1954.1 1966.9
1919.9. ワ50000形52677 ワ1形2547 1950.8. ワ29 1954.10. 1970.4.
1919.10. ワ50000形53851 ワ1形3654 1950.8. ワ30 1954.10. 1970.2.
不明 ワ50000形54986 ワ1形4712 1950.8. ワ31 1954.10. 1965.11.
不明 ワ50000形55886 ワ1形5556 1950.8. ワ32 1952.6. 1965.12.
1919.12. ワ50000形56641 ワ1形6405 1950.8. ワ33 1955.6. 1970.2.
不明 ワ57000形58087 ワ1形7770 1950.8. ワ34 1955.3. 1966.9.
1927.9. ワ57000形58556 ワ1形8167 1950.8. ワ35 1952.6. 1965.12.


ワ1形9685 1950.8. ワ36 1955.1. 1970.6.
表2(ワ13・17〜27・37)
製造所 製造年 鉄道省
ワ22000形
譲受認可 三岐鉄道
ワ1形

廃車
汽車製造 1936.5. ワ24607 1949.4. ワ13
1966.9.
日本車輌製造 1937.11. ワ26267 1950.8. ワ17
1965.12.
日本車輌製造東京支店 1940.3. ワ27944 1950.8. ワ18
1967.2.
川崎車輌 1938.2. ワ26439 1950.8. ワ19
1966.9.
汽車製造 1937.3. ワ25597 1950.8. ワ20
1965.12.
日本車輌製造 1938.3. ワ26952 1950.8. ワ21
1967.2.
日本車輌製造 1938.3. ワ26924 1950.8. ワ22
1966.9.
不明 不明 不明 1950.8. ワ23
1966.9.
不明 不明 不明 1950.8. ワ24
1967.2.
不明 不明 不明 1950.8. ワ26
1966.9.
不明 不明 不明 1950.8. ワ27
1986.2.
鉄道省新潟工場 1973.12. ワ26690 1950.12. ワ37
1967.3.
表3(ワ38〜46)
製造所 製造年 阪和電気鉄道 南海鉄道
1940.12.合併
鉄道省
1944.5.買収
下段へ
梅鉢鐵工所 1930.5. ワ100形107 ワ150形157 ワ21600形21606
梅鉢鐵工所 1930.5. ワ100形115 ワ150形165 ワ21600形21614
日本車輌製造本店 1930.5. ワ200形203 ワ200形203 ワ21600形21617
日本車輌製造本店 1930.5. ワ200形208 ワ200形208 ワ21600形21622
日本車輌製造本店 1930.5. ワ200形209 ワ200形209 ワ21600形21623
日本車輌製造本店 1930.5. ワ200形210 ワ200形210 ワ21600形21624
田中車輌(現近畿車輛) 1930.5. ワ200形211 ワ200形211 ワ21600形21625
田中車輌(現近畿車輛) 1930.5. ワ200形212 ワ200形212 ワ21600形21626
梅鉢鐵工所 1930.10. ワ200形216 ワ200形216 ワ21600形21630
上段より


譲受認可 三岐鉄道
ワ1形

廃車



1952.4. ワ38
1966.9.



1952.4. ワ39
1970.6.



1952.4. ワ40
1970.6.



1952.4. ワ41
1966.9



1952.4. ワ42
1967.9.



1952.4. ワ43
1968.1.



1952.4. ワ44
1966.9.



1952.4. ワ45
1970.6.



1952.4. ワ46
1970.2.

●無蓋車改造グループC(14〜16)
 ワ14〜16は無蓋車ト300形303・302、ト200形203を1951(昭和26)年1月に日ノ出車輌で改造した鋼製車。全車1966(昭和41)年9月に廃車解体されている。

●不明確グループD(47)
 ワ47は詳細不明であるが、1954(昭和29)年3月に大鉄車輌工業で改造の上増備され、翌年6月にはワフ1形(2代目)3に改造されたという記録が残っている。しかし、実際にはワフ3(2代目)は後述のワ50形52から改造されているため、実態がはっきりしない。

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2011.7.18 更新
主要諸元
形式 車号 最大寸法(長巾高) 自重(t) 荷重(t) 実容積(m3) 軸距 備考
ワ1
グループA
1〜10 6230×2743.2×3332 7.20 10.00 24.30 3000 木製時
2〜9 6230×2743×3332 7.20 10.00 24.75 3000 鋼製化後
ワ1
グループB-1
11 6560×2510×3367 7.52 10.00 23.90 3658 木製時
6560×2737×3280 8.50 10.00 24.91 3658 鋼製化後
12 6560×2510×3367 7.46 10.00 23.85 3658 木製時
6560×2530×3348 7.70 10.00 25.13 3658 鋼製化後
25 6337×2540×3480 6.46 10.00 23.07 3048 木製時
6337×2826×3344 7.96 10.00 23.38 3048 鋼製化後
28 6337×2540×3480 6.28 10.00 23.07 3048 木製時
6314×2826×3344 7.50 10.00 23.38 3048 鋼製化後
29 6337×2540×3480 6.80 10.00 23.07 3048 木製時
6337×2826×3344 7.96 10.00 23.38 3048 鋼製化後
30 6337×2540×3480 6.58 10.00 23.07 3048 木製時
6337×2826×3344 7.96 10.00 23.38 3048 鋼製化後
31 不明 不明 10.00 不明 3048 木製時
6337×2826×3344 7.96 10.00 23.38 3048 鋼製化後
32 不明 不明 10.00 不明 3120 木製時
6230×2725×3326 6.80 10.00 23.42 3120 鋼製化後
33 6560×2484×3367 7.35 10.00 23.53 3658 木製時
6560×2826×3344 7.85 10.00 24.48 3658 鋼製化後
34 6350×2540×3405 6.46 10.00 23.48 3048 木製時
6350×2826×3344 7.98 10.00 23.00 3048 鋼製化後
35 不明 不明 10.00 不明 3500 木製時
6700×2725×3326 7.40 10.00 25.46 3500 鋼製化後
36 6337×2540×3480 7.06 10.00 23.07 3048 木製時
6337×2826×3344 7.96 10.00 23.38 3048 鋼製化後
ワ1
グループB-2
13 6230×2750×3330 7.74 10.00 24.62 3000
17・37 6230×2737×3330 7.80 10.00 24.62 3000
18 6230×2737×3330 7.82 10.00 24.62 3000
19 6230×2737×3330 7.84 10.00 24.62 3000
20・22 6230×2737×3330 7.68 10.00 24.62 3000
21 6230×2737×3330 7.76 10.00 24.62 3000
23 6230×2737×3330 7.56 10.00 24.62 3000
24 6230×2737×3330 7.52 10.00 24.62 3000
26 6230×2737×3330 7.96 10.00 24.62 3000
27 6230×2737×3330 7.70 10.00 24.62 3000
ワ1
グループB-3
38〜46 6325×2644×3235 7.60 10.00 22.66 3050
ワ1
グループC
14 6270×2530×3339 6.80 10.00 21.26 3048 旧ト303
15 6270×2530×3339 7.21 10.00 21.26 3048 旧ト302
16 6270×2478×3321 7.10 10.00 20.94 3048 旧ト203
ワ1
グループD
47 不明 不明 10.00 不明 不明
車輌画像

坂内定比古氏 撮影

ワ27

1978.5.14

保々車両区

ワ27(除籍後)

1987.3.30

保々車両区

松本清次氏 撮影

名古屋臨海鉄道ワ1
(三岐ワ31)

2010.7.5

東港機関区

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