三岐鉄道 ワム200形
ワム200形(200〜253)
 ワム200形は15トン積車で54輌存在したが成り立ちは様々で、グループ別に紹介する。

●1937(昭和12)年譲受グループA(200〜207)

 ワム200〜205は1924(大正13)年5月に日本車輌製造東京支店で製作された鹿島参宮鉄道(現鹿島鉄道)ワム32〜37で1937(昭和12)年1月に譲受している。ワム206・207は1924(大正13)年5月に梅鉢鉄工所(現東急車輌製造)で製作された芸備鉄道(現JR芸備線)ワム106・112で1937(昭和12)年6月に譲受している。このグループは全車木造のため、1954(昭和29)年から1956(昭和31)年に鉄道省ワム23000形に準じた鋼製改造されている。その後、1967(昭和42)年2月にワム202、同年9月にワム201・203・206・207、1970(昭和45)年2月にワム200・205が廃車解体されている。

●1950(昭和25)年譲受グループB(208・211〜214)
 ワム208は1922(大正11)年に日本車輌製造東京支店で製作された鉄道省ワム32000形38058で、1928(昭和3)年の車輌称号改正でワム3500形9352となった。1950(昭和25)年4月に国鉄から譲受したもので、1956(昭和31)年7月に木製から鋼製改造されている。その後、1967(昭和42)年9月に廃車解体されている。
ワム211〜213は1950(昭和25)年8月に国鉄からワム23000形を譲受したもので、ワム211は1939(昭和14)年2月鉄道省新潟工場製ワム25728、ワム212は1931(昭和6)年川崎車輌(現川崎重工業)製、ワム213は1938(昭和13)年日本車輌製造本店製。ワム214は1950(昭和25)年12月に国鉄からワム2000形2363を譲受したもので、1948(昭和23)年帝国車輌工業(現東急車輌製造)製。1973(昭和48)年3月に全車廃車解体されている。

●無蓋車改造グループC(209・210・215〜218・252)
 このグループは無蓋車トム500形から改造した鋼製車で、1951(昭和26)年1月に大鉄車輌工業でトム505・508をワム209・210、同年6月に三協商会でトム504・506・507・501・502をワム215〜218・252にそれぞれ改造している。1966(昭和41)年9月にワム209・210、翌年2月にワム215・218、3月にワム216、1968(昭和43)年1月にワム217・252が廃車解体されている。

●新造グループD(219〜232)

 このグループは、全車1951(昭和26)年6月に製造された鋼製車である。
 ワム219〜228は若松車輌で製造された国鉄ワム23000形の検査不合格品を譲受改造したものである。ワム229は書類上、日ノ出車輌で新造されたことになっているが、実車台枠に1942(昭和17)年製の日本車輌製造東京支店の銘板が残っているため何らかの台枠以下流用の新造と予想される。ワム230は小糸製作所で新造、ワム231・232はカテツ交通工業で新造されているが、何らかの台枠流用されている可能性が高い。
 このグループのうち、ワム219〜230のみ1969(昭和44)年2月に東洋工機で二段リンク改造されている。その結果、全車1986(昭和61)年2月まで、東藤原〜富田の袋詰セメント輸送に使用されていたが、国鉄ワム80000形を譲受したワム700形700〜711にバトンタッチし、ワ1形27に代わって救援車化されたワム229以外は廃車となった。しかし、ワム225・226はワ27と共にいなべ市大安町にある会社倉庫として使われていたが、現存しない。一方、ワム227・228・230は保々車両区で倉庫として使用されている。ワム231は1968(昭和43)年1月、ワム232は1970(昭和45)年2月に廃車解体されている。2005(平成17)年4月に最後まで残っていた救援車ワム229も2005(平成17)年4月に除籍され、作業用備品となっているが、救援活動や訓練として本線走行することもある。

●鉱石車改造グループE(233〜251)
 このグループは、日本車輌製造本店で製造された石原産業に保管されていた鉱石車セ1形1〜4・10・31〜40、セサ100形104・105・112・116を1951(昭和26)年8月に譲受し台枠以下を流用して同年12月に製造された鋼製車である。ワム233〜242は小糸製作所、ワム243〜251はナニワ工機(現アルナ車両)で製造されている。1967(昭和42)年9月にワム233・235〜237、翌年1月にワム238・240・241、1970(昭和45)年2月にワム234・243〜247・249・250、同年6月にワム239・242、1973(昭和48)年3月にワム248・251が廃車解体されている。

●1957(昭和32)年譲受グループF(253)

 ワム253は1916(大正5)年に川崎造船(現川崎重工業)で製作された鉄道省ワム1形781で、1953(昭和28)年4月に有田鉄道が譲受しワム500形502として竣功している。その後、有田鉄道で廃車となり、1957(昭和32)年6月に譲受している。1965(昭和40)年11月に廃車解体されている。

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2011.7.26 更新
主要諸元
形式 車号 最大寸法(長巾高) 自重(t) 荷重(t) 実容積(m3) 軸距 備考
ワム200
グループA
200〜205 7970×2740×3724 8.30 15.00 38.70 3962 木製時
7970×2740×3724 8.50 15.00 39.56 3962 鋼製化後
206・207 7970×2740×3724 7.94 15.00 38.70 3962 木製時
7970×2740×3724 8.14 15.00 40.39 3962 鋼製化後
ワム200
グループB
208 7791×2769×3718 8.94 15.00 38.78 3962 木製時
7791×2740×3718 8.94 15.00 40.39 3962 鋼製化後
211 7850×2742×3740 9.90 15.00 37.64 3900
212 7850×2742×3740 9.58 15.00 37.64 3900
213 7850×2742×3740 9.76 15.00 37.64 3900
214 7850×2742×3740 8.94 15.00 37.64 3900
ワム200
グループC
209・210 7791×2742×3760 8.88 15.00 37.64 3962 旧トム505・508
215〜217 7791×2742×3760 8.60 15.00 37.64 3962 旧トム504・506・507
218・252 7850×2742×3744 8.40 15.00 37.64 3962 旧トム501・502
ワム200
グループD
219〜232 7850×2742×3740 9.50 15.00 37.64 3900
ワム200
グループE
233〜251 7816×2742×3735 9.00 15.00 37.65 3900
ワム200
グループF
253 7830×2585×3728 9.00 15.00 38.80 3960
車輌画像

吉岡心平氏 撮影

ワム219

1980.9.21

大広田

吉岡心平氏 撮影

ワム219

1984.8.1

東藤原

吉岡心平氏 撮影

ワム221

1982.7.17

東藤原

キハ55-7氏 撮影

ワム224

1982.2.21

富田

三岐鉄道 所蔵

ワム225(竣功)

1951.

富田機関区

吉岡心平氏 撮影

ワム225

1982.7.17

東藤原

ワム226(除籍後)

1987.3.30

保々車両区

吉岡心平氏 撮影

ワム228

1982.7.17

東藤原

ワム229(救援車)

2002.10.17

保々車両区

ワム229(救援車)

2006.12.23

保々車両区

ワム229(救援車)

2011.7.23

保々車両区

吉岡心平氏 撮影

ワム230

1984.8.1

東藤原

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